ファミレスで雑談
「これで二年生も一通り確認し終わったわね」
二年生全部のクラスを確認するのに一時間ぐらいかかった。
「しかし驚きました、まさか先輩のクラスの出し物が女装メイドカフェだなんて」
「お、俺が発案したわけじゃないがな」
「いいんですよ先輩、別にそっち系の趣味があったとしても何も恥ずかしがるようなことではないんですから」
「一応言っておくがBLゲーをプレイしたことはないぞ」
俺はこういうクラスでの話し合いに耳を傾けていなかったからまさか本当に女装メイドカフェになるとは思わなかった。
冗談だと思っていた。
それにしてもこれを提案したのが長谷川だということもなんとも言えない気味の悪さを醸し出している。
「で、お二人ともこれからどうするの?まさか今日はもう帰るとか言わないでしょうね」
午前中に帰る気満々だったなんて言えない。
確か赤条寺も午前中に終わらす的なことを言っていた気がするが。
「まさか、さすがに私もそこまで非常じゃないわ。そうですよね先輩?」
この野郎裏切りやがったな。
「とりあえずお昼にしましょう」
「お昼って言ったって、学食も購買も閉まっているでしょ?」
「この近くにファミレスがあるからそこに行きましょう」
また俺の奢りなのか?と身構えつつ
「私が奢るわよ」
と、赤条寺らしからぬことを言った。
ファミレスに三人で入る。
「もちろん先輩は私の隣です」
普通は赤条寺と秋葉が隣に座って、先輩である俺が向こう側に座るべきでは?
「じゃあ私はこのなんか高級そうなステーキで」
「先輩はどうします?」
「そうだな...」
さっき赤条寺は自分が奢ると言ったが、ここであまりにも高いものを頼むと後で返金要求されたりしそうなので怖い。
「オムライスで」
「...ヘタレですね」
「ヘタレね」
赤条寺だけでなく秋葉にまで言われた。
店員を呼んでちゅうむんを伝える。
「秋葉さんはあれからクラスメイトと仲良くやっているの?」
赤条寺には珍しく、真剣なことを訊いてきた。
「まだ話せる友達は多くないけど、別に不自由はない」
「そう。でも、友達は多ければ多いほど自由というものが機能するわよ」
「それ、あんたが言う?」
どうやら秋葉も赤条寺のクラスの子とは知っているそうだ。
「あんた、クラスで恐怖政治みたいなことやってるんだってねぇ」
「...誰から聞いたのかしら?」
否定しないっていうことは図星か。
「周りからどういわれていようが、私みたいな完璧な人間がクラスを支配して何が悪いんですか」
開き直った。
「この前あんたに自分のことを過大評価していないか?と聞かれたけどアンタの方がよっぽど自分のことを過大評価してるじゃない」
正論パンチ来た。
「過大評価も何も私は事実を言っているだけ。現に一年生で生徒会長を務めているっていう肩書が全てを物語っていないでしょうか」
確かに一年生で生徒会長を務めているっていうことは普通じゃ考えられない。
よっぽど赤条寺の演説が上手かったんだな。
「どれだけ完璧人間であろうとボッチって言うだけでスクールカーストは最下層ね」
「言うじゃない。どっちが友達多いか対決でもする?」
「どうせあんたの友達はそのエロガキ先輩しかいないでしょ」
先輩に向かってエロガキとかいう?
「先輩がエロガキって言うのには私も同意するけど、私は先輩以外にも友達はいるわよ」
「へぇ~。例えば誰よ」
「二次元の存在」
「......」
秋葉があきれるのも無理ない。
「...ごめん。これからはあんたにとってこういう話題は禁句だって覚えておくわ」
「ええ、そうして」
料理が来たことで会話が途切れる。
そこからはただ黙々と料理を食べるだけになった。
「ところで先輩、この後はどこのホテルに泊まりますか」
「ちょ、ちょっといきなり何言っているんだ!?」
「...やっぱりアンタたちはそういう関係!?」
「い、いや違うぞ!これは大きな誤解だ!」
なぜいきなりそんなことを言う!?
「見たかしら秋葉さん?」
「...何よ」
「私には友達はいないけどセフレならいるのよ」
「「......」」
確かにセフレも言葉通りなら”友達”なんだけどな。
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