四人でゲーム

今日も不快すぎるアラーム音で目が覚めた。


「なんか目覚めが悪くなってる気がする」


まだ勉強漬けの日だったときは気持ちよく目覚めることができたのだが最近は起きるのがつらい。


ん?なんで勉強漬けの日々が過去形かって?


まぁそれは今から行くところの光景を見れば一目瞭然である。


一階に降りると食堂には行かず遊び場に行く。


ドアを開けるとそこには


「......」


「......」


気持ちよさそうに眠る栄那と赤条寺の姿があった。


なぜこの二人が遊び場でだらしなく寝てるかというとそれは昨日の出来事だ。


昨日、栄那が屋敷に来た後、俺は3人の監視のもと昼までずっと暗記科目を勉強していた。


12:30を過ぎると全員で食堂まで行き昼食を食べた。


「なんか先輩の勉強をただ見てるだけなんて退屈ですね」


いきなり赤条寺がそんなことを言い始めた。


「赤条寺様、澪未矢様が一生懸命勉強している中で水を差すようなことをおっしゃるのはご遠慮ください」


「そうですわよ赤条寺さん。本当デリカシーのかけらもないお方なのですわね」


俺としてはありがたい限りだが。


「決めました、もう勉強なんてやめてみんなで楽しくゲームしません?」


「「「は?」」」


三人の声が重なった。


「じゃちょっと私家に帰ってPC4台持ってきますね」


4台も持ってるのかよ。


「ちょっと待ちなさい。あなたは何をおっしゃってるんですの?わたくしにゲームなんて低俗なことをしろと?」


ゲームに対する偏見がひどい。


「なんですか栄那さん?まさか先輩の許嫁の身で私に負けるのが怖いんですか」


「ほうほうほう。わたくしをお煽りになるんですわね。いいですわよ、その言葉後悔させて差し上げますわ」


栄那意外とチョロいな。


「赤条寺様、栄那様。お言葉ですが私の立場からして澪未矢様にゲームという娯楽を与えるわけにはいきません」


「あ~そうですか。夜崎亭のメイドさんはたかがJKたちにゲームで負けるのが怖いと?」


「とんでもないヘタレメイドですわね」


「へ、ヘタレメイドとは何ですか!いいでしょう、そこまで言うのなら私も少し本気を出させてもらいましょう」


芯珠も意外と感情豊かなんだよな。


そこから15分ぐらいで赤条寺がPC4台を持って帰ってきた。

どれも普通のノートPCというわけじゃなく全部それなりに高そうなゲーミングPCだ。


「で赤条寺さん、ゲームといってもなんのゲームをプレイしますの?」


「さっきは対戦するみたいなこと言っていましたが、ここは4人で協力しましょう」


4人で協力するゲーム?だとしたら今はやりのあれだろうな。


「バトロワやりましょう」


「バトロワ?赤条寺様、そのバトロワというのはどのようなゲームなのでしょうか?」


「100人で最後の一人になるまで生き残るという内容ですが、4人までのチームを作れるんです」


はっきり言ってバトロワは俺の一番嫌いなゲームの種類だ。

まぁノベルげー以外ほとんど好きじゃないが。


そこから俺たちは4人で一位を取るまで熱中してプレイした。


「七桜さん、そこは削除エリアですよ!早く戻ってきてください」


「ちょっと赤条寺さん!この銃全然敵にあたりませんわよ!?」


「澪未矢様、大丈夫ですか!今医療セットをご用意いたします」


こんな感じで俺たちが一位を取るまでに深夜の2時ぐらいまでかかった。


俺と芯珠は部屋に戻る体力が戻っていたが、赤条寺と栄那はそのまま寝てしまった。


「おーい、赤条寺、栄那、起きろ」


「...ん」


「もうこんな時間ですの澪未矢さん」


意外に目覚めがいいな。


「とりあえず芯珠さんがもう朝食を作ってくれていると思うから食べに行くぞ」


食堂に行くと本当に真珠がもう朝食を作って待っていた。


「おはようござます、澪未矢様、栄那様、赤条寺様」


あんなに遅く寝たのクマ一つないのは本当に凄いことだと思う。


俺たちは素早く食事を済ませ、皆で遊び部屋に移動する。


「今日は格闘ゲームをやりましょう」


格闘ゲームかぁ。

俺も小学生の頃にやったことがあるけどねっと対戦で8連敗ぐらいしてやめたな。


「...負けませんわよ皆さん」


「澪未矢様、主を全力で叩き潰してしまうことをご許し下さい」


「まぁそんな心配しなくてもこの格闘ゲームで相手を凹し過ぎて最終的には途中で切断されてそのあとすぐに暴言メールが届いたことがある私には勝てませんよ」


皆バチバチだな。


早速開始する。


まずこういうのはキャラ選びが重要だと言われるが今回はランダムという設定だ。


さぁ間もなく開始するというときにスマホの電話が鳴っていることに気づく。


「...こんな時に誰だ」


イラついた俺は誰からかかってきているか確認せずにスマホを耳に当てる。


「もしもし」


「もしもし、兄さんですか?」


詰んだ。


「昨日も電話かけたんですけど出てくれなかったので...久しぶりに兄さんの声が聞きたいなって」


久しぶりにとはいっても一昨日会っただろう!


「それで兄さん。ちゃんと勉強はしてますか」


「はい、七桜さんざんねーん!」


「...わたくしの道ずれ作戦が失敗しましたわ」


「兄さん、今のって」


「澪未矢様、コントローラを握られていないようですがここは決めさせてもらいます」


「...ふーん。兄さん、夏祭りの次はゲームですか。相変わらず夏休みENJOYしてますね」


「か、神楽?これには深いわけが」


俺が言い訳をする前に電話が切れた。

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