寮生活3

「はぁ...」


バッテリー切れなら電話なんてできませんよね。


「...誰に電話しようとしてたの?」


するといきなり松瀬さんが話しかけてきました。


「兄に電話しようとしたんです」


「昨日会ったばかりなのにもう寂しくなって兄の声が聴きたくなったの?あんたって木野田が言っていた通り本当にブラコンね」


「ぶ、ブラコンなんかじゃありません!」


なんなんですか木野田さんも松瀬さんもブラコンブラコンって!

私はただ兄さんの声を聴いてホームシックを解消したいだけなのに!


「ていうかそんな兄貴に電話してる暇があるんならアンタもちょっとは掃除手伝ってよ」


「掃除?」


よく見れば松瀬さんと吉岡さんが部屋の掃除をしています。


「...正直意外でした、松瀬さん、掃除するんですね」


「はぁ?掃除ぐらいするに決まってるでしょ?それにアンタ知らないの?今日は四三川先輩による各部屋のチェックがあるのよ」


掃除チェック!?

どうやら本当に四三川先輩はこの寮を牛耳っているようです。


「分かりました。それで私は何を?」


「そんなんどこか汚れてそうな場所を自分で見つけて掃除するだけよ」


「な、なるほど」


「......」


「......」


「ねぇ?」


「な、なんですか?」


「アンタもしかして普段掃除してない?」


「!?」


確かに屋敷の掃除は芯珠にやってもらっていますが部屋の掃除ぐらいは...

いや、思い出してみると部屋の掃除も芯珠にやってもらってました。


「......」


「えーっと、じゃそこの掃除機でベットの周りを綺麗にしてもらえる?」


「そ、掃除機?」


「いや、そこにあるでしょ」


「は、はぁ。これが掃除機ですか」


何ですかこのいかにも重そうな機械は。


「で、これをどうしろと」


「どうするって、普通に電源を押して掃除すればいいじゃない」


「電源?」


「ちょっと待って?アンタまさか掃除機使ったことない?」


「...はい」


実際には見たこともありません。


芯珠はいつもモップやほうきを使って丁寧に掃除してくれるため掃除の機械は初めて見ました。


「はぁー。じゃもう吉岡と一緒にお風呂掃除でもしといて」


「分かりました」


なんと部屋から追い出されてしまいました!


「失礼します...」


「あ、よ、夜崎さん。わざわざ一緒に風呂掃除をしに来てくれたんですか?」


「はい。なんか掃除機?という機械の使い方が分からなかったから追い出されてしまいました」


「え、掃除機の使い方が分からない...?」


なんですか吉岡さんその若干引いてる目は!


「ま、まぁそういう人もいますよね...」


無理して言っている勘が凄いですかそういうことにしておきましょう。


「でも、もうお風呂の掃除も終わるところなので神楽さんはどこかで休んでいていいですよ」


「そ、そうですか」


これじゃ私が図々しい居候みたいじゃないですか!


私は言われた通り寮の広場のようなところで休むことにしました。


「...少し仮眠をとることにしますか」


幸いにもベンチがあるので横になることにしました。

ベンチで寝るなんて不本意ですが眠気には勝てないので眠ることにします。


「兄さんの夢が見られますように」


横になるとすぐに深い眠りにつくことができました。


「...ちゃん」


「......」


「ぐらちゃん」


「......」


「神楽ちゃん」


「...兄さん?」


「兄さんじゃないわよ。私よ私」


「よ、四三川先輩!?」


どうしてここに四三川先輩が?

というか今何時!?


「もう夕食食べ終わった時間よ。もうみんなであなたのこと探していたんだから。部屋のチェックも終わったし早く部屋に戻りなさい」


「す、すみませんでした」


「そういえばあなた寝言でずっとお兄ちゃん...お兄ちゃんとか言っていたわよ」


「//」


わ、私が兄さんのことをお兄ちゃんなんて呼ぶわけがありません!


腹を立てて走って部屋まで戻っていった。


静かにドアを開け恐る恐るベットまで足を運ぶ。


「...明日は絶対に兄さんに電話しよ」

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