寮生活2
「...ん」
朝のチャイムで目を覚ます。
時計を見ると6:30だ。
屋敷にいるときは7時高度に起きているため30分早い。
「おはよう夜崎」
もう木野田さんは起きていました。
少し意外です。木野田さんは絶対に寝坊するようなタイプだと思っていたのに。
「おはようございます木野田さん、それに松瀬さんと吉岡さんも」
「......」
「お、おはようございます」
松瀬さんは無言で吉岡さんはたどたどしく挨拶を返す。
「ほら、夜崎も早く準備しろ」
「準備?」
部活のことでしょうか?
でも私部活なんて入っていませんが...
「朝食の準備だよ」
「朝食?まだ早くないですか」
「私もそうは思ってるんだがこの寮じゃ全員朝食は大食堂に集まって食べるって決まってんだよ」
何ですかそのめんどくさい規則は。
まぁ私もいつも朝食は兄さんと食べてるから人のこと言えませんけど。
とりあえず顔を洗い、髪を整えて食堂まで向かいます。
食堂に向かう途中でほかのグループとも会いました。
どうやら思った以上に寮生の数が多そうです。
大食堂につくともうほとんどが待っていた。
正直屋敷の食堂の方が綺麗です。
「あら、木野田さんに松瀬さんに吉岡さん。それと神楽ちゃん。おはようござます」
私たちを笑顔で迎える四三川先輩。
「おはようございます四三川先輩」
私も負けじといつも兄さんに放っている笑みを浮かべる。
「!?」
するとそれを見ていた何人かは息を飲んだ。
四三川先輩は私のことを真顔で見つめている。
「四三川先輩、おはようございます。ほら夜崎、さっさと席に座るぞ」
木野田さんが小声で話し、私の手を引っ張っていきます。
「それでは皆さん、頂きます」
全員揃ったところで食事が開始される。
「......」
正直芯珠の料理と比べたら足元にも及ばない味です。
「お前あんままずそうに食うなよな。あのメイドさんの料理と比べたらめっちゃまずいかもしれねぇけどよ」
”めっちゃ”とは思っていません!
「それにしてもお前四三川先輩にしたの名前でしかもちゃん付けで呼ばれるとかすげぇよな」
「そんなに凄いことなんですか?」
「そりゃすげぇーよ。でも気をつけろよ。四三川先輩の信者がこの寮には山ほどいるからちゃん付けで下の名前で呼ばれたりなんかしてたらそいつらの恨みを買うぞ」
確か兄さんの許嫁とか抜かしているあの女狐...じゃなくて栄那さんにもそういう集団があるそうだ。
「そういえば木野田さん、今日は練習とか言っていませんでしたか?」
「ああ練習だよ。でもいつも陸上部はこの近くの公園とかを使って練習してるからちょっと遅く出ても大丈夫なんだよ」
公園で練習なんてまさに青春です!
「では、今日の朝礼を始めます」
朝食が終わると朝礼が始まりました。
正直やる意味ありますこれ?
「そうそう、新しい寮生がいるんでした」
そう言うと四三川先輩は私の方を向いた。
「神楽ちゃん、皆の前に来て何か一言」
四三川先輩が私のことを神楽ちゃんと言うと何人かが明らかに嫉妬のこもった目で私を見つめてきた。
「夜崎神楽です。夏休み中は寮にお世話になります。短い間ですが仲良くしていただけると嬉しいです」
わざと可愛らしく言う。
すると以外に大きな拍手が鳴り響いた。
「この神楽ちゃんは常に成績学年一位をキープしている優等生です。皆さんも神楽ちゃんから勉強を教わるように」
そう言っていますがこの四三川先輩も確か二年生で一位のはずです。
多分四三川先輩が普段寮生たちの勉強を教えていると思います。
本当にやる意味がなかった朝礼が終わるとそれぞれ各部屋に戻っていった。
「それじゃ夜崎、また夜にな」
そう言って木野田さんはスパイクを持って部活へと出かけて行った。
夜にということは部活は午前も午後も行うということだ。
こんな暑い中で部活なんてしたら誰か倒れると思いますけど。
「......」
「......」
「......」
ルームメイト同士の気まずい沈黙が続く。
こうしてみるとこの部屋長は木野田さんなのかもしれません。
「あ、そうだ」
こういう時は兄さんに電話してみよう。
本当は帰りたくて仕方ないのだがそういうわけにもいかないので電話で兄さんの声を聴こう。
早速スマホで兄さんに電話を掛けようとスマホを取り出す。
多分今頃兄さんも芯珠監視のもと勉学に励んでいることだろう。
その過酷な日々の中で私の声を聴いたら兄さんのやる気につながるはずです。
でもスマホを見た途端私はあることに気が付きます。
「...バッテリー切れ」
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