三人で屋敷で寝泊まり

屋敷の中に入ると、赤条寺がまるで品定めをするような目で辺りを見渡してる。


「...先輩のくせにこんな豪邸に住んでるなんて生意気ですね」


「赤条寺様、お言葉ですが澪未矢様だからこそこの夜崎亭に住めるのです」


よくぞ言った芯珠。


「まぁ私もタワマン住なので張り合えるレベルですけど」


確か駅の近くに大きいタワマンがあったな。

赤条寺の家はあそこか。


だがさすがにタワマンと屋敷じゃ張り合えるレベルじゃないぞ。


「とりあえず今日は先輩の部屋で寝ますね」


「「は?」」


また芯珠と声が重なる。


「なんですか先輩?まさか私と芯珠さんが一緒の部屋で寝る百合展開でも期待してるんですか?」


確かにそれは見たくないわけでもないが。


「...赤条寺様、さすがにそれはご許可しかねます。赤条寺様は何か澪未矢様に不純行為を強いる可能性があるので」


芯珠にしてはズバリ言うな。


「先輩は後輩ものの同人誌を普段読んでるので私が襲われる側になるはずです」


確かに後輩ものの同人誌やSSは読んだことあるがどれもハッシュタグにドMホイホイと書いてあったから俺からは襲わない。


「とにかく赤条寺様が澪未矢様と一緒のお部屋でお休みになるのは許可できません。赤条寺様は一階の使われてない部屋で寝泊まりしてもらいます」


階は別に同じでいい気が...


「...芯珠さんがそこまで言うのなら仕方ありませんね。では早速そこに案内してください。さすがに蜘蛛の巣とかがあるのは嫌ですよ」


「澪未矢様、私は赤条寺様を部屋まで案内してきますので先にご部屋に戻っていてください。お風呂の時間になったらお呼びします」


そう言うと芯珠と赤条寺が一階の奥の廊下に歩いて行った。


部屋に戻ってこれからのことを考える。


「明日からまたあの勉強スケジュールなのかぁ」


今日もだいぶ疲れたが、普段の勉強ルーティーンよりはマシだ。


「いや、でも赤条寺がいるんだからもう勉強ルーティーンは終わりじゃね?」


特に神楽もそのことについては言及してなかったし。


芯珠さんはなんだかんだ言って俺を一番に考えてくれるからもうあの一日中勉強からおさらばだな。


と考えると赤条寺には感謝しなくちゃな。


てか今赤条寺ルートだけど俺の赤条寺への好感度が上がりまくっている気がする。


「まさか俺が逆に攻略されるのか?」


そうなればそれこそが逆NTRだろう。


「澪未矢様、お風呂の準備ができました」


芯珠の声がする。


早速大浴場に向かおうとする。


「そういえば赤条寺はもう寝たの?」


「いえ、テレビどこ?と訊かれたので遊び場にあると教えたらそこに籠ったまま出てきておりません」


多分今日俺にクレーンゲームの時に死にゲーをクリアしてないだろと指摘されたことを気にして今再プレイしてるんだろうな。

でも


「遊び場なんかあった?」


「はい、一階の廊下の奥の方にあります。親族会議の時に小さいお子様が来るのでそこで遊ばせています」


なら遊び場といっても大人がするようなギャンブルとかではなさそうだ。

多分おもちゃやテレビゲームが置いてあるのだろう。


...ゲームとはいってもエロゲはおそらくないと思うが。


「ふぅー」


お湯につかりながら今日の疲れをとる。


相していると洗面所に誰かが入ってきた。


「先輩」


「赤条寺?」


どうして男風呂の洗面所に赤条寺が?

まさかそういうプレイなのか?


「さっき遊び場にエロゲがあるのを見つけました」


「本当か!?」


この屋敷の遊び場にエロゲが!?


「はい、どうやら妹もののエロゲみたいです。多分神楽さんが隠し持っていたんでしょう」


あの神楽に限ってそんなことあるわけが...ないとは言い切れない。


「とにかく風呂に出てきたら遊び場に来てください」


「分かった。あれ?そういえば芯珠さんは?」


芯珠はいつも俺が出ると体をふくために洗面所にスタンバイしているはずだが。


「今芯珠さんはタオルを取ってくるためにここにはいません。それではまた後で」


赤条寺が出て行ってから数十秒後に芯珠が戻ってきた。


「それでは澪未矢様、おやすみなさい」


俺の体をふき終わって部屋に入る時に芯珠が頭を下げる。


「ああ、お休み芯珠さん」


まぁお休みしないんだが。


消灯時間から5分ぐらいたった時にこっそり部屋から抜け出し、一階の遊び場を目指す。


「おーい、赤条寺?来たぞ」


「あ、先輩やっと来た」


赤条寺はずっとテレビゲームに熱中していたらしく俺が入ってきてから数秒経ってからこっちを振り返った。


「それで?エロゲはどこだ?」


「これです」


赤条寺がテレビゲームの方を指さす。


赤条寺がプレイしてるのは、見た感じ完全な死にゲーでどう考えてもエロゲーではない。


「...これのどこが妹もののエロゲーなんだ?」


「?何言ってるんですか先輩。今戦っているのはもともと主人公の妹だった魔物ですよ」


だからそれのどこが妹もののエロゲーなんだよ。


「それよりも先輩、こいつなかなか強いんでマルチプレイをして一緒に倒しましょう」


最初っからそれが目的か。


まぁ赤条寺には借りがあるしそれぐらいは付き合ってもいいな。


それから俺たちは約5時間をかけてようやくボスを撃破した。

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