神楽視点
「はぁ~」
私は今聖神女子高校の寮に来ている。
ことの発端は期末テスト最終日のことです。
テストの日は大体12:30ぐらいに下校をするため、兄さんと昼食が食べられる数少ない日です。
その日も早く帰ろうと支度をしていたら、突然校内放送で呼び出されました。
内容は理事長室に来るようにとだけ。
早く帰って一秒でも長く兄さんの顔を見るために、急ぎ足で理事長室に来ました。
そして理事長室に入ると一言だけ
「夏休みは寮で生活して寮の治安を安定させてほしい」
「はい?」
私は思わず聞き返しました。
「最近、うちの学校の寮生たちの評判が著しく下がっていることは知っているだろう?だから君にはその原因を突き止めて治安をもどすという役割が与えられる」
正直その時はまだ頭がよく回っておらず、ろくに反論することができませんでした。
ただ理事長直々に生徒に頭を下げてお願いするなど前代未聞です。
私に断る選択肢がないということは何となく察しました。
こうして今私は寮で生活するべく玄関の前に立っています。
一応聖神女子は名門なので量もそれなりに綺麗です。
まぁ夜崎亭に比べれば大したことありませんけど。
ブザーを鳴らし来訪者が来たことを知らせます。
「はいよー、ってなんだ夜崎じゃん」
「ええ、今日から夏休み中お邪魔することになります。
私を迎えてくれたのは同じクラスメイトである
「あー確か四三川先輩がそんなこと言ってたような。まぁーとりあえず上がれって」
「失礼します」
木野田さんが言った四三側先輩というのはいわゆるこの寮におけるボス的存在で、四三川先輩に逆らえる生徒は一人もいない。
「えーっと、部屋は私と同じでいいよな?」
そんな勝手に決めてもいいのかとも思いましたが、木野田さんはあまり恐れを知らない、悪い言い方をすれば礼儀がないので何事も自分で決めます。
「さぁ入って入って」
「お邪魔します」
中はまるでビジネスホテルの拡張版みたいな構造になっていて、四台ベットが置いてあります。
「ここは何人部屋ですか」
「三人部屋だな。ちょうど一台開いてたんだ」
「ほかのお二人はどんな人なんですか?」
「ああーなんつかなー。とりあえず二人とも神楽とはそりが合わないと思っておけ」
ならなぜ私をこの部屋に案内したんでしょうか?
相変わらず木野田さんは変わってる人です。
「とりあえず四三川先輩にあいさつに行った方がよいのでは?」
「いや、確か今は出かけてるんだよな」
そうですか。
まぁ私もあまり四三川先輩には会いたくないですけどね。
「で、夜崎。お前今回のテストどんな感じよ?」
「まぁそれなりには勉強したので。今回も学年上位はキープできると思います」
「やっぱさすがだな夜崎は」
「木野田さんはどうだったんですか」
「私はほら、陸上部じゃん?陸上部は大会が近いから何故かテスト期間中も練習があったんだよな」
「はぁ。それは災難ですね」
そんなの言い訳です!
私もテスト期間中はずっと兄さん観察で忙しかったけど、しっかりと手ごたえはありました!
「それで夜崎はなんで寮に来たんだよ?確かお前あの屋敷に住んでるんじゃなかったっけ?」
「ええ、それはですね」
ここに来るまでの経緯を木野田さんに話す。
「ふぅーん。理事長が直々にお願いしてきたんだな。やっぱお前超優等生だと思われてんじゃん」
「それは当然かと」
自分で言うのもなんですけど私は自分のことをかなり優秀だと自負しています。
だってあの兄さんの妹ですよ?完璧でないはずがありません。
「よっしゃ、じゃあ今日は寮生の奴らと親睦を深めるという意味も込めて夜崎も一緒に夏祭りに参加するか」
「夏祭りですか?」
「あれ?なんだお前知らねぇの?今日このすぐ近くで大規模の夏祭りが開かれるんだよ。今四三川先輩もほかの奴らもそのお手伝いに行ってるんだよ」
そういうことだったんですね。
夏休みなんて小学校の時に兄さんと一緒に行った以来です。
「でもまだ時間あるしなー。よっし、それまでゲームでもするか」
「...木野田さん、確か寮ではゲーム持ち込み禁止っていう規則があったと思うんですけど」
「いいじゃんいいじゃん。こんなのみんなやってるんだから」
「はぁー。仕方ありませんね」
もしかしたら評判が悪いと言われる原因の一つがこれかもしれない。
「夜崎は何がやりたい?格闘ゲームやFPSゲームやすごろくゲームなんかもあるけど」
「じゃFPSゲームでもやりましょう」
「へぇ~意外だな。お前FPSゲームなんてやったことあるのかよ?」
「一応はありますし、自信もあります」
「大きく出たな。じゃまずは私とタイマンでも張るか?」
「望むところです」
こう見えても私中学生まではかなりのゲーマーでした。
いつも兄さんと様々なゲームで遊んでいました。
でも兄さんが高校生になってから兄さんはスマホゲームに没頭するようになり、テレビゲームは一切やらなくなりましたが。
そのあとは一方的に私が木野田さんを凹して夏祭りの時間が来るのを待っていました。
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