不登校の家
秋葉美沙祢の家に着いた。
外見は新築のアパートだ。
俺の家賃5万のワンルームより豪華そうだな。
「先輩、そうやってアパートの人を見下すのはよくないですよ」
「べ、別に見下してるわけじゃないんだけどな」
てか”俺”じゃ見下せない。
早速俺たちは階段を上って秋葉美沙祢の部屋にたどり着いた。
赤条寺がインターホンを押す。
「......」
「......」
反応はない。
もう一度押してみる。
「......」
「......」
もう一回押そうとする赤条寺。
「いや、さすがに押しすぎだ」
「何言ってるんですか先輩、出ない方が悪いんですよ」
「インターホンの音って人間にとっては不快感を感じるようにできてるんだぞ。それを何回も鳴らしたらよけい出る気がなくなる」
「どうせ引きこもりはイヤホンをしてR18ASMRを聴くのに夢中になってるから何回も鳴らさないと聞こえません」
「...なぁ、さっきからやけに詳しいけどお前もそういうの聴いてるのか」
「もちろんです」
即答かよ。
もう少し恥ずかしがるしぐさとかほしかった。
「でも、こういう引きこもりと私の大きな違いは、そういうアダルトコンテンツにしっかりとお金をかけてるかどうかです」
「というと?」
「どうせ先輩やこの引きこもりとかは違法サイトで無料でアダルトコンテンツを楽しんでると思いますが、私はしっかりとコンビニ支払いをして楽しんでいます」
「.....」
図星なので反論できない。
ほとんどの奴は違法サイトでそういうのを観たり読んだり聴いたりしてると思ってた。
「さっきからうるさいんだけど」
赤条寺との会話で気付かなかったが、ドアがもう開いていてそこから秋葉美沙祢と思われる女の子がこちらを迷惑そうな顔で睨んでいた。
「やっと出てきたんですね秋葉さん」
「さっきから何回もインターホン押されてたからさすがにうっとうしくなっただけ。あとなんかめっちゃ不名誉な言われ方をされていた気がしたから」
事実である。
「で?私になんか用?」
「単刀直入に言うわね秋葉さん。学校に来てくれないかしら?」
いきなり言ったな。
もう少し世間話から話してもいいと思うが。
「...別に私が学校に来なくてもあんたに関係ないでしょ」
「そういうわけにもいかないわ。だって私は成陸学園の生徒会長ですもの」
「あーあ。どおりでどっかで見た顔だと思ってた」
一年生の生徒会長の顔を忘れるとは重症だな。
「で、この人は?」
「この人は二年の夜崎澪未矢先輩」
俺が自己紹介しようとしたが赤条寺に先を越された。
「ちなみにこの夜崎先輩はお屋敷に住んでいて、さっきあなたのアパートを見て豚小屋みたいだなとか言っていたわよ」
「は?」
ちょっと赤条寺会長!?なんで捏造してまで俺の好感度を下げようとするんですか!?
「それで話を戻すけど秋葉さん。学校に来てくれないかしら」
「......」
「何か学校に来られない理由でもあるのかしら」
普通は最初にそれを聞くと思うが。
「...なんかいろいろとめんどくさそうだからもう帰って」
そう言ってドアを閉めようとする秋葉の腕を赤条寺が掴む。
「あら、この私があなたに学校に来てくださいって”お願い”するだけなんて思っているのかしら」
「どういう意味?」
「あなた、ずいぶん成績がいいから給付型奨学金をもらっているでしょう」
給付型奨学金というのは返済不要な奨学金だ。
ただこれの対象となる条件は厳しく、相当成績が良くなければいけない。
「でも、欠席日数があまりにも多いと奨学金が止まるんじゃないかしら?」
「...私ぐらい成績が良ければ止まるなんてことはない」
欠席日数が多いと危ない気もするが...
「そう。ところであなた、私のこの学校における権力の強さを知っているかしら」
「...何が言いたいの?」
「話せば長くなるから省略するけど、簡単に言うと私の一言であなたの奨学金なんてどうとでもなるのよ」
出ました赤条寺会長の権力(最大解釈)。
省略したのはただ単にハッタリだったため話が長くなるという理由で誤魔化したのである。
「そ、それは困るかも」
いや信じるんかい。
俺でもこんなハッタリすぐ嘘だと気づくぞ。
「まぁ私も鬼じゃないから来週からすぐに学校に来いとは言わないわ。まずは人と触れ合うことに慣れてもらうわ」
というと?
「秋葉さん。今から私たち3人でデートするわよ」
これ今日いつ帰れるんだ?
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