妹の誘い

昨日と同じように神楽と向き合ってご飯を食べる。


「......」


「......」


さっきのこともあってからか沈黙が続く。


「...//」


神楽は俺が思いっきり胸を触ったから少し顔が赤くなっている。

相変わらずかわいい。


「に、兄さん。あ、あのっさっきの行動はどういう」


このタイミングでそれ聞く!?


「あ。あーちょっとついな」


「え、とそれって私とそういうことがしたいと...」


「え」


食事中に何言ってるんだこの娘は。


「に、兄さんの気持ちはよくわかります。最近は栄那さんがそういうことをしてくれないから欲求不満というか...」


最近ってことはちょっと前まではそういうことをしていたというわけか!?

しかもそれを妹に見られてる!?


「で、ですが私たちはやっぱり血の繋がった兄弟なのでそういう行為は」


行為とかいうな。


「ちょ、ちょっと神楽いったん落ち着け」


「は、はい」


さすがにそれから先のことを妹に言わせるわけにはいかない。


「あ、あれはだなお前と栄那を引き離すための不可抗力だったというか...」


うまく言葉が出ない。

俺はほんと大学生だったのかと思うほどの語彙力だ。


「まぁつまりお前とそ、そういう行為がしたいわけじゃない」


「そ、そうですか」


なんでそこでちょっと残念そうな顔するんだよ。


「ふーん、そうなんだ」


そのいかにもヤンデレが言いそうなフレーズやめてくれませんかね?


「兄さんは別に私とそういうことをしたかったわけじゃなかったんだ」


当たり前だろっていうのは変か。

一応この世界はエロゲの中だから近親相姦なんて日常茶飯事なのかもしれない。


「い、いやー今日の芯珠さんの料理は格段とうまいな」


「...つまりいつもとあまり変わらないとおっしゃるのですね」


話題を変えるために芯珠に話しかけたが芯珠も少し機嫌が悪い。


「そんなことはありませんよ芯珠。日々日々料理の腕が上達しているのが感じられる味です」


どうやら神楽は怒るとより丁寧口調になるらしい。


気まずい食事が終わり逃げるように自室に戻る。


「今日は疲れたからこのまま寝ちゃおうかな」


そう思いベットに寝転んでいると。


「澪未矢様、お風呂の準備ができました」


そうだ。お風呂の存在すっかり忘れてた。


大浴場につかりながら明日のことを考える。


「明日は絶対に秋葉美沙祢に会いに行くんだろうな」


ただ会ってどうするのかが全くわからん。

引きこもりを部屋から出すのはなかなか骨が折れる行為だ。


「てかそもそも何時のどこ集合とか何も言われてないんだよな」


とりあえず学校に行けばいいのか。

そもそも学校までの道がまだよくわかっていないのだが。


いざとなったら芯珠さんに送ってもらおう。


お風呂を上がり自室まで戻る。


「...なんか眠気が覚めたな」


そういえばこの部屋にはテレビがないな。

こんな無駄な飾りをつけている暇があったらまずテレビつけろと思うのだが。


「ん?」


突然スマホの電話が鳴る音がした。


音をたどってみると勉強机の引き出しの中から聞こえてきた。


「誰だこれ?」


当然この世界に来てから初めてスマホを使うため電話をかけてきたのが誰かとは分かるはずもないが。


「はい?」


「もしもし先輩ですか?」


恐る恐る電話に出てみると聞いたことのある少しとげが入ってそうな声が聞こえてきた。


「言い忘れていましたが、明日は7:00時ぐらいに先輩の家に行くんでそのつもりで」


「え?俺の家に直接来るってこと?」


「なんですか?どうせ学生ニートの先輩のことだし家で一人でエロゲをプレイしてデュフることしか予定ないんでしょ?」


こいつほんとエロゲって言葉好きだな。

あとデュフルっていう言い方は全国のオタクを敵に回すことになるからおやめなさい。


「まぁそういうわけでよろしくお願いします」


一方的に電話を切られた。


「7:00時って平日よりも早いやん」


ならもう寝なくては。

そういえば転生してから朝の目覚めがよくなった気がする。

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