非常勤教師と授業

今日もまた栄那の車で登校した。


朝のこともあってからか今日はかなり不機嫌だった。

普段のお嬢様口調も所々崩れていた。


「それにしてもあの神楽とかいう自称澪未矢さんの妹本当に気に入らねえですわね」


こんな感じ。

というか自称じゃなくて実の妹なんですが。


学校の門に到着したのでここからはまた手をつないで登校する。


「では澪未矢さん、またお昼に」


昼飯の約束をして別れる。


「お坊ちゃま。今日は早いな」


やっぱりこいつ優等生キャラやん。


今日はなぜか栄那が早く家に向かいに来たからこんな時間に登校できたが、なんで見た目不良な長谷川君はもう教室に入ってんの?


「なんでお前こんな早く登校してるの?」


「俺か?実は寝不足でさー。家にいると親とかがうるさくて眠れないからさ、学校で寝たいんだよな」


嘘つけ。

なら保健室行っとけって話。

というかこいつ授業中もずっと起きて一生懸命ノートとってるやん。


「あーそういえば今日1,2時間目は公民だったよな。だりぃーな」


「公民?」


公民ってことは釖竜さんの授業か。

しかも2時間連続か。


「あの釖竜先生だっけ?俺あの先生苦手なんだよね。いつもニコニコしてるけどクラスの奴があまりにも騒がしかったらちょっとあの笑い声が殺気を帯びるというか」


よくわかってるな。

まぁそんないやなら長谷川君みたいな不良は保健室に行っとけと思うのだが。


それから続々とクラスメイトが登校し、ホームルームの時間になった。


「...夜崎澪未矢君」


やっぱりあの担任の先生俺の時だけ声が冷たくなっている気が。


俺はこう見えて結構年上の人には可愛がられたりしてたんだけどな。


ホームルームが終わり先生が去っていく。


「そういえば澪未矢、お前テスト勉強した?」


「え?」


テスト勉強?


「ほら、今日公民の法律の小テストだろ。まぁ小テストとはいってもあの先生のことだし普通の定期テストと変わらない問題数が出そうだけど。


いや聞いてないぞ。


法律の小テスト?

そんなん高校でやった覚えがない。


「これでもしひどい点数とかだったらまた再テストとかやらされそうだよな」


出た再テスト。

ただの教師からのいじめとしか思えないテスト。


てか今日小テストなら昨日一緒に帰った時小言でもいいから言ってくれよ釖竜さん。


「まぁお互い頑張ろうぜ」


多分この口調からしてこいつはもう十分勉強してきたんだろうな。


チャイムが鳴り釖竜さんが教室に入ってきた。


「皆さんおはようございます。それでは先週予告したと折に小テストを行いますので机の上を筆記用具だけにしてください」


前置き短か!

もう少し雑談とかしてくれよ。


それからすぐにテスト用紙が配られ小テストが始まった。


「.....」


全くわからん。


長谷川が言った通り明らかに問題数が小テストじゃない。


しかもさっきから釖竜さんが俺の方を向いてニヤニヤしている。

もしかして結構S?


それなら大歓迎だが...


ほとんど回答を埋められずに終わった。


「はい、では採点しますので皆さんは予習でもしていてください」


もう採点するの?


「おい、澪未矢。お前どうだった?」


わざわざ煽りに来やがった。


「いやー俺は全然ダメだった。ほぼ適当に書いたからな。テストがあるの思い出したのも今日の朝やもん」


典型的な自称不良やん。

絶対めっちゃ勉強しただろ。

多分今日の小テストもすらすらかけただろ。


「もう俺絶対再テスト組や。最悪」


どんだけ勉強してないアピールするねん。


「はい、採点が終わりました。平均としては皆さんよく頑張った方だと思います」


この皆さんに俺は含まれているのだろうか?


「特に満点の長谷川君はよく頑張ったと思います」


「え?俺が満点!?適当に変えただけなのに?」


あのアピールだんだん腹立ってきた。

そもそも今日の小テスト記述式なんだから適当に書いて当たるはずないやろ。


「ただ残念なことに中には一桁台な人もいましたね」


俺の方をニヤニヤしながら見るのやめてもらえませんかね。


「まぁ誰かとかは言いませんけど、心あたりのある人はしっかり勉強するように」


さっきのテスト勉強しても高得点獲れない気がする。

せめて選択式にしてくれ。


「それでは授業を始めていきます」


釖竜さんが教科書を開き授業を始めようとする


「そういえば澪未矢君、再テストの詳細ですが」


思いっきり晒してますやん。

あとみんなの前で名前呼びは危ない気がする。

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