第24話  神剣の間で……

 翌日、メアリ・タオは光の神殿から、迎えが来てしばらくの間,神剣ので過ごすことを命じられた。

 神官が教えてくれたこの神剣の間は、ご神体の神剣の置き場だったところで、今は神剣は失われているが、歴代の魔法鍛冶の作った魔法剣が数十本ほど、神剣を置く台座の両脇に奉納されていた。


 ここが聖なる光の神の中心部なのだと神官は言った。

 滅多に人が入れるところではないと……


(「どうして、ここへ来ることになったのか?」)


 メアリ・タオは、神官の疑問にも答えられなかった。

 (「昨日、思い切り嫌われてしまった、三賢人のエリサ様に聞いて下さい」)と言う事しか出来なかった。

 その神官は、神殿の間の鍵を預かるという栄誉を受けた者だったので、この前代未聞の珍事を興味深く思っていたのだ。


 タオは、毛布と当面の食料を持って、神剣の間(部屋)に閉じ込められることになった。

(トイレは自由)

 奉納されている剣はみな、魔法の技で作られたもので、ほんのり銀色に光っていた。

 よく見ると、作り手が違うのか、剣の光り方が全部違っていた。


 タオには、その色の見分け方が分かった。古い物ほど光が鈍くなっているのだ。

 新しい剣は、神々しく光を放っている。


 ひときわ、光っていた剣の前に行ってみた。

 神剣の台座のすぐ左にあった剣だった。

 光っていたのは剣の使に埋め込まれていた大きな宝石のような石のせいだった。

 篝火に赤いその石は映えていた。


「うわ~綺麗~ルルティア姉様だって持ってないわ。こんなの!!」


 メアリ・タオはここを寝床にすることを決めて、持って来た毛布を引いて、もう一枚を体に巻き付けた。

 そうしたら、急に眠気がやって来た。


 優しい銀色の光が自分の中へ戻って来るのが分かった。


 夢の中だと思う。


 知らない土地に来ていた。自由自在に飛んでいた。


 たくさんの精霊がいる。


 すごい!!風の精霊が風車を回している。

 水の精霊が、水瓶の水を足している~~~


 あれ…?あの銀髪、マーティン兄さま?水桶持って運んでるの~?

 守護の森のいるんじゃなかったの?


「「ねぇ、お兄ちゃん~騎士団にいるんじゃなかったの?」」


 思わずタオは、声を出してしまった。


「メアリ?」


 マーティンもタオのことが見えたようだ。


「メアリ、どうした?透けてるぞ。」


「タオはね~寝てるだけだよ~これは夢だよね、凄い夢だな~!」


 マーティンは、自分にまた変な力が発動したかと、心配したがどうも、これはメアリの方が変なのだ。そう理解して納得した。


「寝ぼけてないでちゃんと帰れよ~!」


「は~い!」


 帰る前にもうひとっ飛びして、帰ろう。

 そう思ったタオは、寄ってくる風の精霊に挨拶して、自分が風になったように大きな館に吸い寄せられるように入って行った。


 ……が、ここでメアリ・タオの意識は途切れた。


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