第21話  メアリ・タオのお勉強

 メアリ・タオは学び舎に復学して、授業を受け直していた。

 以前だったら、チンプンカンプンだったが、今はラルク家での教育のおかげで、先生が何を言っているのか理解できたし、教科書も読めた。

 でも、窓の外の精霊に目がいってしまい、すぐに気が散ってしまうのだった。


「こら!!メアリ・ミラベル!!どこを見てるんだ!!今は魔法学の時間だぞ!!

 そんなに精霊と仲良くしたいなら、精霊と契約して来い」


 教師に怒られた。

 クラスメイトには笑われた。


 メアリ・タオはベソをかきながら、教室を出ようとしたら、今度は


「何処へ行くんだ。廊下に立ってろ」


 と、言われた。

 このレスター師は、メアリ・タオに厳しかった。

 ここで魔法学を学んでいる者すべてが、魔法使いになれるわけでもないのだ。

 今は、神がいない世界と呼ばれている時代である。

 今の魔法使いは古い時代の残り香のような存在であって、今から魔法使いを目指すのは、霞の中を登山するようなもので、メアリ・タオのような精霊が視える子の方が稀である。

 メアリ・タオには才能があるのだ。

 精霊が視えるのに、精霊の方がタオに寄ってこない。

 これは一体どういうことなのだ。

 魔法学の教師の間では、疑問視されていた。



 ♦


「……で、今日もベソかいたわけ?メアリ」


 同室のレフスリーアがタオの顔を見るなり言ってきた。

 彼女は、部屋に入るなりいつも三つ編みをほどく癖があった。

 余程良い子ブリっ子でいろと、親に言われていたのか、レフスリーアは、完璧な模範生で授業に出ていた。

 学び舎に髪の毛を規制する規則はない。なのに、レフスリーアは、頑なに毎朝、二つのギチギチの三つ編みを編んでいた。

 寮のメアリ・タオの前でだけ、素顔でいられた。


「なんでわかるの?レフィシア」


「涙のあとがあるわ。泣き虫ね。母様っだら、そんな先生ぶっ飛ばしているわよ!!」


 タオは、ビックリである。

(「カリナの母ちゃんて、どんな母ちゃんなんだ?」)と。


「ねぇ、レフィシアの母様ってどんな人なの?」


 レフスリーアはちょっと困った顔をして、


「私的には、普通の母様だと思ってるわ」


「うん……?」


「世間的には、凄い人らしいわよ。」


「どういうふうに?」


「昔ね、四大精霊と光の神を喚びだして出して、闇の神を天界に帰した光の魔女よ。今は、三賢人になってるわ」   


 しれッと、レフスリーアは言った。

 タオは、書いていた反省文のペンを落としてしまった。

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