第20話 メアリ・タオとレフスリーア
メアリ・タオが、学び舎に戻って来ると、セルグ師が待っていた。
セルグ師と一緒に物凄く可愛い女の子がいた。
明るい金髪とクリッとした茶水晶の瞳が印象的な子だ。
メアリ・タオと目が合うと、にこりと笑ってくれた。
「お前と一緒の新入生だ。だが、3学年に編入する、レフスリーア・フレイドルだ。三賢人の娘さんだ。お前と同室になる。仲良くするように」
「はい。」
すると、レフスリーアが言った。
「お部屋は何処ですかぁ?私、待ちくたびれましたぁ~」
レフスリーアは、親に再三人様に迷惑をかけぬようにと言われて、ウンザリしていたのだ。
早く、部屋に行きたがっていた。
タオは、また同じくらいの年の子だとすぐに分かった。
(「また、苛められるかもしれない……」)そう思った。
「二百五十六号室だよ。こっち。」
部屋に着くなりレフスリーアは、
「狭い!」
「暗い!!」
「臭い!!」
「何より、辛気臭いわ!!」
文句の言い通しである。
「あなたはよくこんな所に、居られるわね。私なんて、30分もいられないわ!!」
「タオも、今日からだよ。それにここは、貴賓室だって。今まで使ってなかったからカビ臭いのかも」
「よね~~あ~~!!もう我慢できないわ~~!!窓を開けて、アロマを焚いてやるぅ~~!!」
一通りの作業が済むと、レフスリーアはドレスを脱いで、身体にぴったりの巫女風の服に着替えた。
四角い布の両端を縫っただけのシンプルなデザインに白い色の腰紐を付けただけの服だったが、レフスリーアの美貌には映えていた。
良い子ブリっ子だったのか、固く結んでいた三つ編みをほどき、メアリ・タオに話しかけてきた。
明るい金髪が光に溶けてしまったように見えた。
「改めて、よろしく。レフスリーア・フレイドルよ。レフィシアと呼んでちょうだい。レフィだと困る人がいるの」
「?メアリ・タオ・ミラベルだよ。」
「あなた、十歳なの?」
「うん……」
レフスリーアは、タオの荷物を見てクスリと笑った。
「荷物が多すぎじゃないの!?全部服なの?」
「ルルティア姉様が持たせてくれたの。」
「あなた、どこのお嬢様!?」
タオの答えにレフスリーアは、眉をひそめて聞いてきた。
「タオは、カルガ谷から来たの。」
「聞いたことないけど、どこにあるの?」
「山ん中!!」
レフスリーアは、同室の不思議な子が同じ年には見えなかったが、なぜか親近感を持った。
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