第15話 銀髪男子、デュール谷へ
「良い身体つきはしてるのにね~力がないよね~持ってきた剣見せて。」
マーティンは剣術の教師から譲られた剣をクライヴに渡した。
「これは、レ・ナンに負けるよ~子供用の練習剣じゃないか~」
マーティンは驚いた。これは彼のための取り寄せた逸品だと聞いていたのに。
ジェドがクライヴに話しかけていた。
「どうする?クライヴ。」
「デュール谷に半年ほど、行って特訓しておいで~」
クライヴは、騎士団長にしておくには勿体ないほどの美貌で言った。
「レフってもう一人の団長ですね!?」
「そうだよ」
クライヴ団長は笑って言った。
♦
レフの妻が、助からない病にかかった時に、彼は騎士団を後にして故郷のデュール谷へ帰った。
程なくして、妻が亡くなってもレフは、騎士団に戻ってこいコールに答えることなく、谷に残ることを選んだ。
騎士団から定期的に出来の悪い劣等生をレフの所に送り付けていたのも、ジェドやクライヴの優しさだった。が、とうのレフには、迷惑この上ないことだった。
「マーティン・ラルク、16歳です」
レフはジロリとマーティンを一目見て、
「剣は当分持たなくていい。治療院にまわって水運びして来い。明日から、毎日水運びはお前の仕事だ。」
「出ました~フレイドル家名物の水運び!マーティン、明日から君、五刻起きね」
マーティにくっついてきて、古い友のレフを訪ねてきたジェドは、大笑いである。
「あの!?」
「この館の裏に神殿と治療院があるんだ。そこの水汲みね。井戸もあるけど、近くの泉の水が万病に効くって言われてるの。」
「それは、良いんですけど……ここへは剣の鍛錬に来たのですが?」
「今のお前に、剣を持つ腕力があると思ってるのか!?」
レフは冷たく言った。
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