第2話 こんな会話してていいのか

 勉強の前後とか、休憩時間とかに、生徒の男の子と色々な話をするようになった。この子をとりあえずRくんと名付けておく。Rくんは中学から男子校に通っているので、異性が身近にいないとのこと。男女の違いはあれどかつての私と一緒だ。


 学校のこといろいろ聞いてみたりする。女の子いないってどんな感じ?私も女子校だから異性がいないって環境、よくわかるよ。とか。彼女とかいるの?あ、それとも彼氏いるとか?そういうの普通だよね。女子校でも同性ってけっこうありだったよ、と聞いてみる。

 いないとの返事。いないって、どっちが?好きなの女の子?それとも男の子?と真顔で聞くと、女の子が好きという答え。なぜかちょっとほっとした。憧れてる女の子とかもいないの?と聞いてみるといるというのでどんな女の子?と追求するとRくんは真っ赤になってうつむいてしまった。

 かわいい。

 男子高校生って、可愛い生き物じゃないか。性欲の塊だとか、一日中勃起しっぱなしだとか、周囲の男子からそんなこと言われて脅されたけど、全然そんな感じじゃない。少なくともこの私の生徒のRくんは。


 別の日にもこんな会話。

「男子校って、やっぱみんな集まると女の子の話とかするの?」

「あ、はい。」

「えー じゃあえっちな話とかもするの?」

と聞くと、小さい声で、

「はい。」

という返事。ちょっといじめたくなった。

「Rくん、やばいよ、それやらしいよ。で、どんな話するの?」

とちょっとプッシュしてみると、また真っ赤になって俯いてしまった。


 こういう会話を重ねるごとにRくんの私に対する緊張度がとけてきたのが感じられた。しかも休憩の時間にこの手の話題をすると、後半の時間、課題に取り組むPくんの集中力が高まるような気がする。元来、この手の話題が嫌いでない私としては、こんなことで勉強に集中してくれるのであれば嬉しいことだ。しかし、家庭教師の生徒の男の子とこんな会話してて本当にいいのか不安になる。


 とりあえず、二学期の学校での成績順位を上げてほしい。そして模試での偏差値を上げてほしい。R君もやる気になってきたので私もやりがいが出てきた。

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