男子高校生に勉強以外のことも教えてしまう

岡玲南

第1話 家庭教師始めました

 留学から帰国して、早々にバイト探しをしたのだけれど最初に見つかったのが家庭教師。時給めちゃいい。高二の男の子。志望校は私の通っている大学なのだそうだけれど、そのわりに成績がイマイチ、というかはっきりいってダメなので頑張りたいとのこと。数学と英語を教えることになった。


 真面目だしスマートで可愛らしい男の子。最初は固かったし、言葉も少なかったけど、2ヶ月くらい経って年末が近くなる頃から、緊張が解けたのか柔らかくなってきた。ちょっといじめたくなるタイプだ。


 私は男子高校生という生き物を、実は全く知らない。男をよく知らないといってもよいかもしれない。小学校から高校まで女子校だし、大学は共学だけどでもそれだけだ。だから男の高校生というものがどんなものなのかまったくわからない。未知の属性を備える生物を相手にすることになる。私こそ緊張してたかもしれない。雑談とかどんなことを話せばいいのだろう。


 男子高校生というと気になってしまうのが正直言えばあっちの方面のことだ。男子高校生という言葉の響きが女子校出身の私にとっては抽象的であり、かつ性的妄想を喚起する言葉でもある。

 現実の男子高校生は、そのへんどうなんだろうか。現在の周りにいる男子の友人たちの説明では、男子高校生は性欲の塊らしい(中学生も同じとのこと)。四六時中、そっち方面のことを妄想しているとか、昼間からセックスのことばかり考えているとか。本当にそんなことってあるんだろうか。人の言うことをそのまま真に受けるもんじゃないとは思うけど、周りの男性友人がみんな口を揃えてそういうので本当なのかもしれない。でも全く実感が湧かない。街で見かける高校生とか、家庭教師の私の生徒とかを見てもそんな雰囲気は感じられない。


 女である私としては、事前にそんな情報を耳に入れられるとやはり気になってしまう。部屋で二人っきりで過ごすわけだし。性欲の塊ということは、いつ襲われてもおかしくないということ?まさか。教えているこの子がそんな暴挙に及ぶようには見えない。


 とか、私こそ変なことを妄想してしまているわけだけど、勉強の方は順調に進んで、教えている英語と数学の学校の成績はとりあえずぐんと上がった。よかった。

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