第6話
教室に戻ると、俺は男子に囲まれた。
「さっきの北山美桜ちゃんだよな!?」
男子が口々に美桜のフルネームを出す。
「そうだけどなんだ?」
悪い癖だ。他人に対して高圧的になってしまう。
「い、いや、なんで佐藤が知り合いなんかなって」
「俺が知り合いだと悪いか?」
「そ、そんなことないって」
どこか怯えたような男子たち。
「ただの親戚だ」
違うけど。
俺と美桜は赤の他人。
「そうか、よかった」
俺の言葉に男子が安心する。
俺に絡む前に自分から美桜に話しかけろよ。
「おかえり伊織ー」
「っち」
俺の席の前にニコニコと笑顔の拓也とその後ろにスマホを弄る紅葉。
「連れないなあ。親友だろ?」
「元、な」
お前と親友だなんて吐き気がする。
親友なんて思ったことないくせに。
まだ、紅葉の方がマシだ。アイツはあれ以来本性を隠していない。
まあ、付き合ってた時にすら本性出てたが。
でも、コイツは違う。コイツが紅葉と同じく俺を金づるとしか見てなかったことは知っている。コイツ自身も認めている。
そんなやつと馴れ馴れしくできない。俺は嫌悪感丸出しでいる。だが、コイツはかつてのように接してくる。
「ま、それでいいけど。そんで、なんで学校一の美少女がお前のとこに来てたんだ?」
学校一の美少女?
初めて聞く単語だな。
「知らないのか?北山美桜ちゃんのことだよ」
なんだそれ。
一部のやつからはそんな風に呼ばれてんのか。
「どうせ、金で仲良くなったんでしょ」
紅葉が毒を吐く。相変わらずスマホから目を離さず。
……なんでお前はそんなに俺の神経逆撫でするんだよ。
金を求めて来たのは……いや、この話はやめよう。
それに、仲良いわけではないが間違ってもないしな。
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