第28話 私の自慢の旦那様! なのです!

「だぁー! やっと終わったー!」


 あの後、パレードやら、王城での祝賀舞踏会などがあり、すっかり暗くなった夜。ようやく部屋に戻って来ると、ベッドに大の字で寝転んだのです。


「せっかくかっこよかったのに、なのです……」


「王子らしいこと、したろ?」


「確かにそうなのですが……」


「あーなんかもう、一生分働いた気がするぜ」


「まだまだ働いてもらうのです!」


 クレイさんのお腹に飛び乗ったのです!


「旦那使いが荒い奥さんだなー」


「さっき、クレイさんが自分で言っていたのです!」


「はいはい、やりますよー。騎士団と王政の見直し、その他諸々な」


「それで良し! なのです!」


「ははっ、やっぱり偉そうだな。あー、疲れた。パーティーで飯食ったけど、もう夜だしなー、腹減ったなー」


「みゅ? ……夜?」


 ということは……。


「もしかして初夜なのですー!?」


「そうなるな」


「ど、どうすればいいのです!? 魔法を使ったからさらに小さくなってしまったのです! どうやって! どうやってするのですー!?」


「お前の両親は、どうしてたんだよ」


「お父様が魔法で大きくなったのです」


「じゃ、マルもそうすればいいんじゃね?」


「なるほど! なのですっ」


 ポンっと手を叩き、


巨大化ジガンテス!」


 魔法を唱え、人間族ヒュームの女性とおんなじくらいの大きさになったのです!


「うおっ!」


 そのせいで、クレイさんの上に乗っかる事になり、


「——……」


「——……」


 顔がすごく近いのです!


「や、やっぱり、小さいままでいるのです!」


「ああ、そうしてくれ。心臓に悪い……」


 クレイさんは顔を赤くしながら、髪をかき上げたのです!


「いや……、でも、待て」


「みゅ?」


 クレイさんは私の手を引くと、くるんと、


「……みゅ?」


 体を反転させたのです。位置が、位置が、逆になったのですー! クレイさんが私を跨ぐように見下ろしているのですー! はわわー!


「今日は、初夜、だったな」


 え!? 何故、軍服を脱ぎ出しているのです!?

 な、何か! 上手い言い訳をして切り抜けねばなのです!


「あ、そうだ! クレイさん!」


「あ?」


「私たちは夫婦だから! いつでもできるのです!」


「そうだな。でも、今日はあれだ。王子らしい格好をして、王子らしい事をした。奥さんの願いを叶えた、良き夫への、ご褒美だ」


 ニヤリと笑うと、クレイさんはとうとう上半身裸になったのですー! そして、ぐうの音も出ないとは! この事なのですー!


「あ! そうだ! 先にお風呂を!」


「どうせ汗をかくんだ、後でいいだろ」


「みゅー……」


 もう、上手い言い訳が思いつかないのですー!


 それに、真上に、クレイさんのは、裸が……。


「…………」


「ふはっ! 真っ赤になりながら凝視とか、可愛すぎだろ!」


「——……」


 笑顔と裸のダブルパンチなのですー……。


「じゃあ、楽しい夜を過ごそうな、奥さん」


 クレイさんはほっぺたをいつものようにむにむにしてきたのです。


「みゅー……」


 クレイさんが笑ってくれるなら、何回でも毎日でも、むにむにされてもいいと思ってしまうのです。


 だって、この人が、面倒くさがりだけど優しくて、ちょっぴり意地悪で自信家な、私の自慢の旦那様! なのです!








 fin.






⌘⌘⌘⌘


 あとがき。


 怒涛の完結でございました……。


 私大好き『本当のあとがき。』を、また書かせていただきますが、お話としては、これで終わりです。


 ここまでお付き合いしてくれた皆さん、ありがとうございましたー!

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