第21話 エッチなのですー!

「…………」


「…………」


 勝手に飛び出し、迷惑をかけ、なんだか、気まずいのです……。


 でも、顔や髪が、弟さんに触られ、ベタベタなのです……。


「……クレイさん」


「あ?」


「お風呂に入りたいのです……」






 こうして、クレイさんのお部屋に戻ってきたのです。どうやら、浴槽付きらしいのです!

 素晴らしいのです! でも! 人間族ヒュームの浴槽だと溺れてしまうのです!


「クレイさん! 小人族ホビトンの私は! 溺死するのです!」


「あー、なら」


 クレイさんは棚に置かれていたシンプルなティーカップを取り出すと、指を鳴らし魔法でそこにお湯を入れたのです!


「これで丁度いいだろ」


「はいなのです! クレイさん! 後ろを向いているのです!」


「はいはい」


 クレイさんはティーカップをテーブルに置くと、背を向けたのです。


 今の内に、服を脱いで、下着も脱いでテーブルに畳んで置いて、ティーカップをうんしょっと跨いで、お湯に浸かったのです!


「いいお湯なのですー」


「入ったか?」


「入ったのですー」


「じゃ、お前も後ろを向け」


「みゅ? 何でなのです?」


 不思議に思いながら、背を向けると、


「このまま連れていくからだ」


 ティーカップを持ち上げられたのですー!


「みゅー!?」





 浴室に来たのです。


 クレイさんは私が入ったティーカップを洗面所の淵に置くと、服を脱ぎ始めたのです! 私は思わず顔を両手で覆ったのです!


「後ろを向いてんだから見えないだろ」


 くくっと笑うクレイさんの声と、服が擦れたりベルトを外すカチャカチャした音が聞こえるのですー! ドキドキするのですー!


「さて、と」


 ティーカップを持ち上げられたのですー! キャー! なのですー!


 クレイさんが浴室を開けると、湯気がもわっとやってきたのです!


 浴室は、部屋のようにシンプルで、黒タイルの壁、そして、狭いのです。


 クレイさんは窓下のタイルにティーカップを置くと、シャワーで体を流し、湯船に浸かったのです!


「クレイさん! エッチなのですー!」


「ここからじゃ見えねぇって」


「私は見えるのですー!」


「見なきゃいいだろ」


「見なきゃ……?」


 ティーカップから顔を出して、チラリ。


「ふはっ、見てんじゃねーか」


 クレイさんと目が合ってしまったのですー! 楽しそうに笑われて、恥ずかしくなりまた背を向けたのですー!


 それにしても、チラリと見たクレイさんの体、左目だけじゃなく、傷痕だらけだったのです。


「……クレイさん」


「何だよ」


「その体の傷も、盗賊と戦った時にできたものなのです?」


「ああ」


「痛く、ないのです?」


「もう何ともねぇよ」


「よかったのですー……」


「しかし、マル、お前」


「みゅ?」


「傷痕までしっかり見てんじゃねぇか」


 また、くくっと笑われたのです!


「ぐ、偶然! 目に入ったのです!」


「一緒に入るか? 持ってやるから。お前にならいくらでも見られていいぜ?」


「——やっぱりエッチなのですー!」


「ははっ」






⌘⌘⌘⌘


 あとがき。


 たまにはイチャコラ。お風呂回でしたー。


 ティーカップお風呂マルちゃん。可愛いだろうなー、クレイ、見たいだろうなー(笑)

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