第13話 できないとは言わせないのです!

『けれど、ふたりのけっこんをよしとしないものがいました。


 それは、しょうじょがたすけたはぐれおおかみストレーウルフのこどもでした。


 おうじとけっこんしてから、しょうじょはあいにきてくれなくなり、はぐれおおかみストレーウルフは、こうおもいました。


「にんげんの、おうじというやつがあのこをさらった。あいつをくいころせば、あのことずっといっしょにいられる」


 と。


 こうして、はぐれおおかみストレーウルフは、しつけられたおりこうなおおかみウルフのふりをし、おうじがひとりのときにちかづき、とびかかろうとしました。


 けれど、はぐれおおかみストレーウルフをみていたものがいました。それは、たすけてくれたしょうじょでした。


 しょうじょには、たとえふりをしても、あのときてあてをしたきずあとがあり、はぐれおおかみストレーウルフだとわかりました。


 しょうじょは、はしりました。むがむちゅうで、はしりました。はぐれおおかみストレーウルフがおうじにとびかかるすんぜん、ふたりのあいだにはいり、しょうじょははぐれおおかみストレーウルフにくびをかまれました。


 おうじはいかりました。もっていたけんではぐれおおかみストレーウルフをさしころしました。

 しょうじょは、ちをながし、ぜつめいしていくはぐれおおかみストレーウルフと、ひとがかわったようなおうじをみて、なみだをながしました。


 しょうじょは、しろのめいいにより、いのちをおとしませんでした。


 くびにはぐれおおかみストレーウルフのかみあとはのこりましたが、すくすくとびじんにせいちょうし、おうじとのあいだに、あかんぼうをさずかりました。


 しかし、そのあかんぼうは、はだのいろがくろい、きけいじでした。


 おうさまは、さけびました。


「ばっ、ばけものだ! こんなのにんげんではない!」


 おうじも、さけびました。


「ぼくときみははたがしろいのに、なぜこのこはくろい! ぼくをだまして! ちがうおとこのこどもをうんだな!」


 しょうじょは、ぜつぼうし、あかんぼうをだいて、しろをとびだしました。


 そして、がけからみをなげ、あかんぼうとうみのそこへしずみました。


 おうじはしばらくして、じぶんがとんでもないことをいったと、こうかいしました。

 しろのいしゃから、あのはぐれおおかみストレーウルフはきょうけんびょうだった。あかんぼうはおそらく、それのえいきょうだろうときき、なみだをながしました。


 しょうじょのあとをおいかけ、がけのうえについたときにあったのは、けっこんゆびわでした。


 こうして、いまのメネストルのまわりには、はぐれおおかみストレーウルフがたくさんいるようになりました。


 おしまい』


「…………」


 パタンと本を閉じたのです。


 ぐすん。


「悲しいお話なのです。でも、これでわかったのです。何故クレイさんがあんな酷い待遇なのかが。ぜーんぶぜーんぶ言いがかりなのです……」


 小人族ホビトンにだって、肌の黒い人はたくさんいるのです。それだけじゃないのです。焦茶色だったり、黄土色だったり、色んな肌の人が仲良く暮らしているのです。


 小人族ホビトンができるのだから、知恵も力もある人間族ヒュームだってできるのです。……いいや! できないとは言わせないのです!


 そのためには!


「味方を増やすのです! よいしょっと」


 本を棚に戻し、魔法を解除したのです。


 さっきの人は……、いたのです!


 気づかれないよう近づくのです! タタターッと走っていると声が聞こえてきたのです。


「オレはぁ、別にクレイ王子は嫌いじゃねぇし、王子の中じゃあ一番まともだと思うけどよぉ。メネストルは絶対王政だろぉ? ……あぁー! 無理無理! オレ一人じゃどうにもなんねーって」


「なっ……。何でそれを口にしないのですー!」


「は? どっかから声が……。気のせいか」


「気のせいじゃないのですー! ここにいるのですー!」


 ぴょんぴょんと飛び跳ねたのです! 


「ん?」


 軽鎧けいがいの人はしゃがんで私を見ると、


「喋って動けるぬいぐるみアニマーレ? 今のぬいぐるみアニマーレは高性能だなぁ」


 クレイさんと同じようなことを言ったのです?


「だからー! 私は小人族ホビトンなのですー!」







⌘⌘⌘⌘


 あとがき。


 ひらがなばっかり、すいませんでしたー!

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