第4話 ご飯はみんなで食べるのです!

「お、わりわりぃ。面白くてついな」


 ようやく耳や尻尾やほっぺを触るのをやめてくれたのです!

 そして、机の上に下ろされたのです。

 やっぱり、耳と尻尾は仕舞っておくのです!


「んーしょ」


 耳と尻尾に魔力を集中させたのです! そして、ボシュン! と隠したのです!


 ふぅ、魔力を使ったら。


 ぎゅるるー。


「——……」


「はははっ!」


 お腹が、空いたのです……。


「ちょっと待ってろ」


 私を騙したクレイさんは部屋を出たのです。


 そういえば、私の足ではいつ着くかわからないから、真夜中に家を出発したのです。

 魔法を使えばひとっ飛びなのですが、楽をしていると思われたくなかったのです。


 そして、気づけば朝方。お腹も空くわけなのです。


「待たせたな」


 クレイさんが、何かを持って戻ってきたのです。


「ほらよ」


 そして、机の上に、黒い六センチくらいの小皿を置くと、その上に丸いものを置いたのです。

 つるつるキラキラ紫色の宝石みたいなのです。


「これは何なのです?」


「果物だ。もう朝飯の時間だからな」


「それなら私たちも広間に行くのですっ。挨拶もしないとなのです!」


「俺だけは一緒に食えねぇんだよ」


「何故なのです?」


「泥狼がいると、飯が不味くなるんだとよ」


「——もー!」


 ボシュン。


「あ! 耳と尻尾が出てしまったのです! でもっ、もうどうでもいいのです! 人間族ヒュームの王族は! “何なんだ”がいっぱいで! プンプンが収まらないのです!」


「俺は別にいいけどな。堅苦しくなくて」


「よくないのですー!」


 お行儀悪いのですが、机の上で地団駄を踏んだのです!


「ご飯はみんなで食べるのです! それを! クレイさんがいるから不味くなる!? そんなわけないでしょー! なのです! もー! はっ! そうしたら、どうやってこの果物をもらってきたのです?」


「頭下げてきた。嫁さんが食べたがってるから、一粒くださいってな」


「…………」


「気分が良さそうだったぜ? 「汚泥狼ファンゴウルフが頭を下げた! こりゃー縁起がいい!」 ってな」


「そんな思いをして、わざわざ……」


「食べたくね? 王族しか食べられない果物。王城の庭で育てられている果物、“悪魔の舌オルコラング”」


「王族しか食べられない……、“悪魔の舌オルコラング”……」


 涎が、出てきたのです……。


「ふはっ、わかりやすいなお前」


「し、仕方ないのです! いっぱい歩いたから余計に美味しそうに見えるのです!」


「あーはいはい」


「あ! ではあなたは、どこで何を食べるのです?」


「俺か? 太陽市場ソーレ・メルカートで食べ歩き」


「では! 連れて行くのです! 太陽市場ソーレ・メルカートへ!」


「相変わらず偉そうだな」

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