誘い方
オレは美崎先生からのアドバイスにより、一緒に勉強しようと夏実ちゃんを誘うことにした。
誘うけど…タイミング‼︎タイミングだよ‼︎
いつ誘う⁉︎
やっぱりひと気がない場所で誘いたいな。
となると…帰り道とかだよねー。
でも、なかなか一緒って難しいんだよなー。
‼︎
あ、朝があるじゃん‼︎
明日早起きして、窓から夏実ちゃんが何時に出るか確認したらいいんだ!で、次の日その時間に出ればドンピシャで一緒に登校できるぅ〜。
…なんて思っていたけど、次の日…
朝ごはん食べてる間に夏実ちゃん学校行っちゃった⁉︎
いつまでも窓の外覗いてたらオレ遅刻しちゃうよ?
夏実ちゃん出てこないね?
仕方ない…
今日は、諦めて学校に行くか…
夏実ちゃんって学校出るの早いんだなぁ…
オレが朝ごはんに餅なんか食べてのんびりモキュモキュしてたから?
…
うん。
だってお餅ってついたくさん食べちゃうんだよね。
しょうゆ風呂に浸かったお餅が海苔のバスローブなんかにくるまってたらそりゃいくつでもぱくぱくいただいちゃうよねー。
そしたら、もう仕方ないよね⁉︎
夏実ちゃん学校行っちゃってても仕方ないよね…。
さ、言い訳ざむらいは、おしまいにして走ろう‼︎
もちのぶんもカロリー消費しなきゃ!
そして頑張って走って、ギリギリで教室に滑り込んだ。
セーフ‼︎
そしてカロリー消費成功ー‼︎
たぶん…。
でさ、
ギリッギリで滑り込んだから昨日席替えしたのに、間違えて席替え前のところに座っちゃってたよー…。
ちょうどその席の人は、トイレに行っていたみたいだった。
バックをかけようとしたら違う人のバックがあって、アレっ⁉︎てなってきがついた。
それを見ていたクラスメイトの春野さんが、朝から元気だね。といいクスッと笑った。
あはは…。
春野さんは、一見大人しそうなんだけど実は合唱部の部長でめっちゃ歌が上手いのだ。
去年合唱コンクールのソロの部分で美声を披露していたからよく記憶に残っている。
たぶん今年も合唱コンクール張り切って歌ってくれるだろう。
のどぼとけが随分といいほとけさまなのだろう。
オレののどぼとけさまは、ボケ様だ。
たまに声裏返るし…。
あぁ。
オレののどぼとけよ…
春野さんののどぼとけ様を見習ってもらいたいもんだ。
そんな春野さんに朝から笑われたオレは、昼になっても、放課後になっても夏実ちゃんを未だに誘えていない…。
部活が始まる前に美崎先生に相談した。
「せんせえ〜…、誘えませんー…」
と。
すると美崎先生は、
「どんまい」
といいあっさりバッシュの紐を結んで行こうとしたじゃありませんかっ‼︎
「せ、先生…」
と子犬のようなキュルルンな視線を送ると美崎先生は、
「昔を思い出せ‼︎幼馴染‼︎幼い頃はよく遊んでたんだろ?」
と、アドバイスをくれた。
あぁ、そうか。
「なーつーみーちゃん、あーそーぼって言えばいいのか‼︎」
とオレは名案な誘い方が見つかって一安心した。
すると先生は…
「それはヤバくね⁈」
とのお返事だった…。
ええぇー…、そうなのぉ〜…。
昔は、そんな感じで遊びに誘ってたんだけどなぁー…。
昔を思い出せって言うから思い出したのに…
昔…昔…昔々…って英語でなんだっけな…ロングロングアゴー…か‼︎
って…だからどうした⁉︎
‼︎
もしかして、美崎先生がおっしゃっていたのは、誘い方じゃなくて昔みたいな心で誘えばいいんじゃないってことかしら?
そうなのねっ⁇きっとそうよねっ⁉︎
先生…。先生は、やっぱり偉大です。
間近で美崎を見つめた。
するとオレからの気持ち悪い視線に気づいたのだろう。
「あのー、暇ならストレッチしなよ」
と呆れ顔されました。
美崎は、キャプテンでもありオレの先生でもある。
「はいっ‼︎キャプテン♡」
「いや、キモいわ」
「いやです…キャプテン…お冷たいですわ」
ピトリ。
そっとキャプテンの肩に手を添えた。
「もー、生ぬるい手のせんなや〜…」
「ふぁーい」
仕方なく大人しくストレッチを始めることにした。
続く。
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