天秤
三年生になったオレは授業中だけ眼鏡をかけるようになった。
ただ黒板がよく見えなくなってきたから眼鏡してるだけなんだけど…
眼鏡するだけでクラスの女子が、
「うわぁ、カッコいい〜」
と囁いているのをよく耳にする。
…え?
眼鏡しただけなんだけどな…
なんて思う。
そして、ひっさびさに下校中夏実ちゃんにあった。
基本帰り道一緒なのになかなか同じタイミングってなかったんだよね…。
「夏実ちゃん」
「えっ、あ…な直斗くん…」
⁇
くん呼び?
前は直斗って呼び捨てだったような…
「久しぶりだね」
「え、あー…うん。」
「夏実ちゃんキャプテンなんだよね。すごいね」
「いや、直斗くんこそバスケすごく上手くてびっくり」
「あー、じつは小学校のころ習ってたんだ」
「へー、知らなかったよ。すごいね」
‼︎
久しぶりに話した夏実ちゃん。
相変わらず可愛らしくて少しやんちゃな笑顔。
でもなんか前と違って少しよそよそしい感じがした。
まぁ、久しぶりだし?
…でも夏実ちゃんって人見知りだったっけな?
めっちゃよそよそしいよ⁇
「あのさ…直斗くんは…」
「うん。なに?」
「あ、背がすっごく伸びたねー…あはは」
と、なにかほんとの言いたい言葉を飲み込んではぐらかしているみたいだった。
でも、言いたくないなら無理に聞かない方がいいよね。
「そうなんだ!牛乳飲んだりしてたら伸びたんだよね。」
「へー、そ、そっかー…」
「うん。」
「あ、じゃまた明日。」
「うん。また明日ね。」
夏実ちゃんと帰るとほんっとにあっという間に家に着いちゃうんだよなー。
あーあ、学校から一緒に帰りたい。
小学生の低学年の頃は毎日一緒に帰ってたのになー…。
それにしても、夏実ちゃんのよそよそしさ半端ないな…。
もう、幼馴染でもなんでもありませんって感じ?
…寂しい。
せっかく夏実ちゃんに釣り合うためにここまでやってきたけど…釣り合うってそもそもなんなんだろう…⁇
天秤に乗ればわかるもんなの?
てか、天秤どこにあるの?
みんな天秤なんかに乗りませんよね?
…どうしたら釣り合いがちょうど良くなるんですかーーー‼︎
…
釣り合うどころかどんどん不釣り合いになっておりますけどーーっ⁉︎
…
夏実ちゃんに直接聞いてみる?
なんか…よそよそしさ半端なくない⁇ってさ。
そりゃ、他人だもんそうでしょ?なんて言われたらやだなぁ…。
あーあー…もう、なにしてんだろ…オレはさー…。
そもそも中学に入ってから千日くらい告白のチャンスあったわけじゃん⁉︎
てかさ、なんなら幼い頃からだとしたら何日よ⁇
もう電卓必要かってくらいの日々をオレは…オレは…っ…
はぁ…
出るのは、ため息ばかりです。
ため息をついていたら美崎にどうしたーと心配された。
オレたちは、すっかり仲良くなり美崎、雪村と呼び合う仲だ。
だから恋の相談にもたまにのってもらったりもする。
「好きです。の言葉が出てきませんっ‼︎なんなら大好きです。の言葉も出てきませんっ‼︎が」
というと…
「好きが言えないから大好きなんて言葉は、当然出てきませんよね…。」
と返された。
「おはようとかなら気軽に言えるんだよ?」
そりゃ、意味が全く違うからねって言われたらそうですねと返すしかございませんけどさぁ…。
あぁ…いったいどうすれば…
続く。
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