友達
パタパタパタパタ
オレに駆け寄る夏実ちゃん。
そして後ろから夏実ちゃんに呼ばれた。
「直斗ー」
「あ、夏実ちゃん」
あえて今気づいた風。
ほんとは夏実ちゃんがくるの知ってたけどさ。
おー、夏実ー‼︎元気かー?
とほんとは言いたいけどさ。
それは無理…。
絶対に‼︎
だから、脳内だけでは夏実ー‼︎なつみ、なーつーみぃーっ‼︎
とお祭り騒ぎ状態なのだ。
…
ヤバいよね。
てか、情け無いよ…自分がさ。
それにしてもかわいいなぁ。
少し息切らしてるところがまた元気っぽいよなー。
うっかり見惚れてしまう。
「ねー、直斗バスケ部入るの⁉︎」
‼︎
見惚れていたら一気に我にかえった。
「あー、うん」
「そっかー。わたし女バスなんだ。で、直斗もバスケ部にいたからビックリしたの」
「そうだよね…ビックリするよね」
陰キャのオレがバスケ部とかさ…
ハハハ…
笑ってくださいよ…
「うん!ビックリしたけど、まぁ直斗がやっと自分から運動する気になってよかった。じゃお互い頑張ろうね」
と夏実ちゃんは、笑顔でお家に入って行った。
またなー。
夏実ちゃーん!
と心で挨拶。
…
いつのまに家の前まで歩いていたんだろう。
全然気づかなかったな…
それにしても夏実ちゃんは、いつも明るくて元気だな…
なのにオレは頭の中で独り言のエンドレス。
脳内でならずっと話してるよ?
うるさいよ!ってくらいずーっとぶつぶつと。
寝る直前までずっとね。
なんなら夢でもうるさいよ。
なのに現実は、ポツンとオレだけや状態…
それじゃダメなんだよね。
脳内でどんだけベラベラ言ってても伝わらないもんね。
…
でも、決めたんだ!
オレはポツンとオレだけやを脱却するんだ‼︎と。
夏実ちゃんに釣り合うような陽キャになるんだ‼︎と。
脳内独り言エンドレスじゃなくて自分から積極的に友達にも話しかけよう‼︎
って事で早速後ろの席の男子に話しかけてみた。
やっぱり異性より同性のほうがハードル高くないもんね。
くるっと後ろを振り向き、
「部活何部に入ったの?」
と。
するとまさかの、
「えっ、バスケだよ。昨日一緒に部活やったじゃん」
と言われてしまった。
…
あぁ、そうだったのか。
ご、ごめんなさい。
昨日一緒にいたんですね…
…
おっと。
ここで話が終わってしまう。
いかんいかん…
とっさにオレは、
「おー、知ってるよー。わざと聞いたんだよ冗談でさー」
と乗り切った。
「あー、なんだ。そうかよ」
と笑顔になる後ろの席の人。
ホッ
よかったーー…、うまく返せてほんとよかったー。
危ない危ない…
で、
…名前覚えなきゃだ。
えと、
うん。覚えた。
いつも脳内でつぶやいてることを声に出せばいいんだ。
頑張れ!オレ‼︎
自分を励ましたところでまた会話続行。
「美崎くんは、どこ小?」
「オレ〇〇小」
「あー、そうか」
…だからどうした⁇
えと…この学校の近くになんか有名なお店とかある?
ないよなー。
習い事とかもその辺じゃなかったし…その学校に友達なんかいるわけないしー…あーもう会話終了…?
かと思いきや美崎くんが会話を繋いでくれた。
「雪村くんは、どこ小?」
と。
「あ、オレ△小」
「マジか‼︎夏実ちゃんって子と一緒じゃん」
⁉︎
「えっ、知ってるの?」
「知ってるもなにもみんなのアイドル的存在じゃん。へー、いいなー。じゃあ話したこととかあるんだ」
「うん。一応…」
「マジかー、最高じゃん」
「…うん」
話が結構繋がった。
それにしても、陽キャで美人だもん夏実ちゃんはやっぱ、すごいんだなー。
でもさ…
オレが幼馴染なんて言ってもみんな信じないだろうな…
…
まぁ、でもなんとかとりあえずは、友達ができそうだ。
幸先よろしいようでなにより。
あ〜よかった。
後ろの席の美崎くんありがとう‼︎と、心から感謝した。
存在自体昨日まで知らなかったけどさ、ほんと美崎くんには、感謝だわ。
大感謝祭開きたいくらいだ。
何するのって…握手とか?
…
それは大感謝祭では、ないか。
そんなこんなで、あっさり大感謝祭は幕を閉じたのでありました。
てか、開催すらされていない…のでありましたとさ。
続く。
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