第13話 領地開発
橋の建設工事が終了しておよそ1年が経過した。
この半年の間に本当に色々なことが起きて中々に大変な日々をすごしていた。
1番大きなニュースと言えばサーシャの妊娠だろう。
妊娠が発覚した時には大いに盛り上がった。
男の子ならクリード家の跡取り息子になる。
俺としては別にどちらでもいいのだが、周りからの期待が大きい。
無事に産まれてきてくれることを願うばかりだ。
サーシャ懐妊の知らせからおよそ1ヶ月、サーシャに続けてソフィアの妊娠も発覚した。
ソフィアに関しても、ソフィア自信が騎士爵を持つ身なので男の子が望まれている。
ソフィアの産んだ男の子がクリード侯爵家の分家、クリード騎士爵家となるのでこちらも期待が大きい。
妊娠はまだだが、アンナの産む男の子も同じなので実家からは早く産めと急かされているらしい。
もっとも本人はソフィアが妊娠したことで警備が手薄になるかもしれないとソフィアが出産するまでは妊娠するつもりは無いようだ。
イリアーナに関しても、先日身内だけの小さな式を挙げて正式に俺の妻となった。
身内だけの小さな式とは言っても帝国皇帝の名代として皇太子が出席したり、国王の名代として王太子が来たりで中々大変な結婚式になってしまった。
その時に前回花嫁衣裳を着ることが出来なかったベラにサプライズで花嫁衣裳を用意したら泣かれたりもした。
まぁ警備の人からすれば胃の痛い結婚式だっただろうが個人的には満足だ。
だが問題もあった。
イリアーナが女の子を産んだらアーヴィング本家の跡取りの嫁にくれと言われてしまったのだ。
丁重にふざけるなバカヤロウ。娘はやらんと答えておいたが後から何か言われそうで面倒くさい。
また、断る俺を見て皇太子が「それなら私の息子に……」などと言い出したので大変だ。さすがにふざけるなバカヤロウとは言えないので勘弁して欲しい。
ちなみに王太子はその話の最中チラチラとこちらを見ていた。
なに? お前も欲しいの?
娘が欲しいなら俺を倒すべき。
まぁ結婚の話はこのくらいにしておいて……
領地開発の方だが、こちらも順調だ。
サーシャの兄、ライノス家三男のマークくんを最高責任者に任命、その補佐としてヒメカワ家四男のダニエルくんを付けた。
2人共優秀なので任せておけば問題無いだろう。丸投げだ。
俺は数日に1度様子を見に行って2人の後ろで後方領主面で頷いているだけの簡単なお仕事だ。
気になる点があれば言ってくれと言われているが特に無いんだもの。
ちなみにウルトはこの2人とは仲良しらしい。
ウルトの能力で街や村を作るのに適した土地を洗い出して2人と1台で相談。決定するとそこにウルトが赴いて整備するそうだ。
ダニエルくんを乗せてヒメカワ領まで戻って資材調達をしたりもしているそうだ。
ウルト……自由だな。
他にもライノス領やヒメカワ領は当然として、聖都や他の貴族領からも移民を募って移民の移動にも一役買っているんだってさ。
街や村の位置の選定、整備、物資調達に移民の移送と獅子奮迅の大活躍のようだ。
もう領地のことはマークくんとダニエルくん、それとウルトに任せておけばいいだろ。
一応領主は俺だけど、クリード家は君臨すれども統治せずの方向でいこう。
開発資金については、マークが予算案の作成、ダニエルとウルトが見分、問題が無ければウルトがスマホにデータを送ってくる。
それを俺が確認してオーケーを出せばその場でウルトが【無限積載】の中の俺の資産から支払っている。
もはや俺は領地に居る必要すらなくなってしまった。
とはいえたまに視察に行って頷いて帰るだけではさすがに申し訳無いので頷きに行った日には領内の魔物狩りを率先して行っている。
ウルトに乗って軽く探索した時にはゴブリンしか見つけられなかったが、森の中などにはやはり別の魔物も存在していた。
観察するがそういう魔物は基本森から出てこないようなので放置、平野部を彷徨いているゴブリンわ狩るに留めた。
将来的に冒険者ギルドも出来るだろうから仕事は残しておかないとね。
森から出てこないのなら開発の邪魔にもならないから後でいい魔物は後で狩ればいいのだ。
「うう……」
そんな生活を送っていたある日、リンが体調を崩してしまった。
最近、クリード侯爵領内にあるとある森の調査を一緒に行ったばかりなので変な病原菌でも拾ってきたのかと不安になる。
「大丈夫よ。微熱と、ちょっと吐き気がするだけだから」
「でも……未開の森に踏み入ったわけだし、なにかあったら」
「ええ。だから特にレオとサーシャちゃん、ソフィアはあたしに近寄らないでね」
サーシャとソフィアは分かる。妊娠してるし赤子になにかあったら大変だから。
でも、俺なら特に問題は無いはずだよ?
リンと一緒に森に入ったのに俺には何ともない。
それに浄化魔法もあるんだから最悪感染してもどうにかなると思う。
「仕事あるでしょ?」
「あるけど……」
仕事より嫁が大事でしょうよ。
「旦那様、ここはわたくしたちにお任せ下さい」
「こういうの、慣れてる」
俺が困っていると、ベラとイリアーナが話に入ってきた。
「旦那様はクリード侯爵家当主、何かあっては困ります」
「こういうのは聖女……じゃなかった。治癒士に任せるべき」
「ですので旦那様は心配なさらずお仕事に行ってくださいな。今日は王城に呼ばれているのでしょう?」
そうなのだ。
これが領内の視察ならどうにでもなるのだが、今日は王城へと呼ばれているのだ。
いや、それでも国王からの呼び出しよりリンが大事だな。うん。
「レオ様、わがままを言ってはいけませんよ。ここはベラさんとイリアーナさんに任せて行ってきてください」
「サーシャまで……」
サーシャにまで言われたのなら仕方がない。諦めて登城しようかな……
さっさと要件を済ませて帰ってこよう。
「レオ、行ってらっしゃい」
「ああ、行ってきます」
後ろ髪を引かれる思いで俺は王城へと向かった。
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