第24話 大襲撃 ー魔津波撃退(3)ー

 ー司令本部ー


「報告!左翼、探索者たちの崩壊は右翼の援軍により阻止されました!」

 ...

 ギルドマスターは息をつく。

 これで、に事を運べると。

 そして、部下たちに声をかける。

「さて、そろそろ始めるぞ」






 ーアルラ一行ー


 アルラたちは一旦集合した。

 偶然にも、同じ魔物に狙いをつけていたのだ。

「...?!あれ?みんなどうしたの?」

「アルラ様こそ...」

「...」

「みんな、ここにきたの?」

「ええ...ここには何が?」

 オトセラスはアルラに疑問を投げた。

「...わからないけど、とりあえず目の前の魔物を倒してダーリンの元に行くよ!」

「言いたいことはいくつかありますけど...今は同意ですね」

 エスターも珍しくアルラに同意し、魔物を瞬殺した。

 魔物も倒したところで、アルラたちはナギ一行と合流しようと...

「...避けて!!」

『?!』

 アヌの避けて宣言に、全員回避行動をとった。

 アヌの危険信号は今まで外れたことがない。なので、全員がアヌの注意には従っているのだ。

 全員が横によけると、かつて自分がいたところは地面ごと抉り取られていた。

「...っひゃぁ〜...やばいねこれ」

「だれが...」

 攻撃の方向を確認すると...

 オトセラスがいた。

 否、オトセラスに化ていたスライムだった。

「...まさか、オトセラス...」

「いえ、そんなはずはないと...」

 アルラもエスターも狼狽していた。

「...兄、あれ倒して。2人が危ない」

「...嘘だろ...」

 アヌは、この場にいる全員がショックを受けている事を瞬時に察していた。

 だからこそ、次の行動をとったのだ。

焔爆球プロスボール!』

 アヌの放つ焔爆球は今まさにアルラに襲い掛かろうとしているスライムに直撃し、大爆発を起こす。

 その爆音で、アルラたちは現実に戻ってきた。

「今は、それよりも、こっち...!」

 アヌが必死にスライムと戦っている横目で、自分たちはなぜショックをしているのか。

 アヌの方がよほど大人じゃないか。

 だからこそ。

「借りはいつか返すよ、アヌ!」

「とーぜん...!」

「まさか妹の方がしっかりしてたなんて...ジレイン、あなた大丈夫なの?」

「面目ない...だけど、これでなんとか手を打ってくれないか...」

 再起した仲間たちが、スライムに立ち向かう...その瞬間。


 彼らの姿は、一瞬にして消えたのだった。











 ーナギ一行ー


「おかしい...」

「何が?」

 シハルが問う。

「アルラたちと遭遇しないんだ。こんな時間まで歩き回ってたらそろそろ1人や2人くらいは会うはずなんだが...」

「確かに...」

 そうなのだ。

 彼女たちと別れてから半刻たち、もうすでに魔津波デウブラーの勢いは収まりつつあるが、依然として魔物は湧き続けている。だが彼女たちの実力を考えると魔津波で発生した魔物にやられるとは考えられない。

 とすると、一つの考えが浮かぶ。

 それは...

「...人間やつらの仕業...か...?」


 虚響の森の西に陣取り、宣戦布告したのはいいものの、それからびたりと動きが止まり、いまだに陣地で篭り続けている人間軍。

 もしかしたら...と、最悪の事態も想定していた。

 いつでも攻める機会はあったはずなのだ。

 魔津波に乗じて攻め込むのも戦術的には十分有利に事を進められるが...

 依然として、動きを見せない。

 ここまでくると、逆に怖くなってもくるが...


「ナギ、どうする?」

「うーん...」

 アルラたちと合流する。

 それが最善策なのは間違いない。

 だが、何かが引っ掛かる...

 このままアルラたちの元へ行けば、取り返しがつかなくなるような気がする...

 だが...

「...とりあえず、アルラたちの元へ行こう。色々買わさないといけない情報もある」

「わかった」

「承知」

 彼らはアルラたちと合流するために広い戦場を歩き回った。















 これはアルラたちの行方不明から数十分後の行動である。

















 ...


 ......


 .........


 ......!!


 ......ラ!!


「アルラ!!いつまで寝てるの?!」

「ふぁ...ごめんね、ナギ。うっかり寝ちゃってた」

「はぁ...まあ、寝てるアルラの顔を眺めてたら僕も眠くなってきたんだけどね」

「!!?...もぅっナギったら!!」

 とある森のその深く。

 見渡す限り美しい花畑の中。

 そこにはナギという青年と、その青年をぽかぽか叩くアルラがいた。


 ここは、隠されたエルフの集落の一つ。

 だがしかし、この集落は他の集落と明らかに違う点がある。

 それは、人間と交流を持っている唯一の集落という事である。




 アルラ。またの名を、アルラ=■■■■■■■■■。エルフの■■■でも■■■■■■だった。





 ...耳がザーザーする。


 なぜだろうか...


 アルラはそんな疑問を抱きながら、自分の家へと帰っていった。


 彼と一緒に。


 家族に、自分の恋人を紹介するために。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る