第23話 幼馴染と歌い手(笑)夢のタッグなんてあるはずが……エッ?!


今日の放課後はタテヨコと一緒に俺の部屋でドローンちゃんを愛でながらだらのんびりタイム。いやぁ、ドローンっていいものですね。


「おぉ、これがたっくん殿のドローンでござるかぁ。業務用で使える高級機でござるな、しかもばりばりに手を加えられている……これは、いいものだ!」


「わかる?あれから結構手を加えてカメラとかもいい奴にアップグレードしたんだよ。明日あたりテスト配信してみるつもり」


 タテが俺のドローンちゃんをみて目を輝かせていた。ヨコも同じように反応しているけど、さすが違いが判る男たちである。


「そういえばまさおが一時的に野に放たれてしまったようでござるが、たっくんは大丈夫でござるか?」


思い出したようにヨコが言うので驚く。まさおあいつシャバに出てこれたんだ。


「余罪も色々とありそうですが、有能な弁護士がついてるみたいで裏では不起訴にするべく被害届の取り下げに奔走したりしているみたいですぞ」


 毎度ながらヨコの情報通っぷりに驚きつつ、そっかーまさおシャバに帰ってきたのかーと聞き流す。まぁ俺は被害届を取り下げるつもりないけどね。


「ヒメネコ氏とまさおが合流して凸してくる可能性も無きにしも非ずですからな」


「さすがにそんなアホじゃないでしょデレシシシシシ」


 そんな雑談をしながらも3Dモデルの動かし方の勉強をしたりした。……さすがに30越えてるんだしまさおもそんな馬鹿な事しないでしょ。


 タテヨコが返った後のその日の食事は母さんが修羅場で部屋に引きこもって作業していたので、俺と父さんで料理をした。そうそう、と父さんが思い出したように元・学年主任の顛末を教えてくれたが、普通に離婚したようだ。というかあの学年主任バツ2みたいで、過去2度元生徒と結婚離婚していた模様。これでバツ3というわけですか。そもそも元生徒と結婚って……あっ(察)。となるけど、何か知らない間に破滅ルートまっしぐらしてるなあのおっさん。大変だよねー、俺には関係ないけど。

 ……もしあのおっさんクビに追い込まなかったら姫子に手を出してたりした可能性あるんじゃない?姫子の肩を持ったのってそういう下世話な下心があるようにも見えるよね。図らずも姫子を助けた形になってしまったのは不本意だけどまぁいっか。


 そして翌日の放課後、しゅーこちゃんに頼まれて学校行事の買い出しに行く事になったが暇を持て余した草鹿さんと朝倉もついてきた。

 放課後はカスタムしたばかりのドローンの運用テストをするつもりだったのでついでにドローンを飛ばしながら買い物をしているが、身内向け配信をタテヨコ達や、レンやキララがみている。レンやキララの仲の人達には、新しいV活を手伝ってくれたお礼に何か協力できればと提案させてもらい、いずれドローンを使った配信もしてみたいというのでどういうものか一緒に見てもらっているのだ。順調に動作しているようで、映像はより鮮明になり、ぶれも減ってお顔もくっきりだぜ。


 そんな配信をしつつ(買い物中はドローンを店内にいれれないから俺だけ外で待ってる形になったが)買い物をを済ませて草鹿さんや朝倉と歩いていると、学校からホームセンターへの近道の並木道を歩いていると俺の前に小汚い男が立っていた。


「よぉ、待っていた……この時をよぉ、……たっくん!!」


「何この小汚いオッサン」


 ポケットに手を突っ込みながらニヤニヤしているスウェット姿の男には見覚えがある。不健康にげっそりとしているが、まさおだ。…はぁ?!まさおなんでこんなところにいるの?!


『??まさおがいるの意味が解らないでゴザル』

『なんで加害者が被害者に接触にし来てるんだ?とりあえずつーほーしました』

『まさおなんでこんなところにいるの?!?!は???』

『アイエエまさおナンデ?!しゅーこに連絡してるけどつながらないんだけど!?』


 配信を見ているギャラリーも驚いているが、俺も驚いている。いやなんでまさお俺に接触しに来てるんだよ、しかも一人でとかどう考えてもアウトだろ。


「たっくんよぉ、お前のせいで俺はこんな有様だ。そのてめえが女侍らせてるなんてそんなのメチャゆるせねぇよなぁぁぁぁぁ?!」


「言ってることの意味が解らないんですが仮でも釈放中に接触したら社会的に即死じゃないんですか?」


 驚きもほどほどに冷静に突っ込む。俺にも父さんの血が流れているようで、(主にアホすぎるものをみた)ショックの割には冷静に言葉が出る。いや、勾留期間すぎたからか弁護士が優秀だからか知らんけど留置場でたら大人しくしてないとだめなんじゃないの?なんで俺にお礼参りに来てるの?あと様子もちょっとおかしいよね?


「う、う、う、うるせーよタンカス!てめえはボコってよぉ、二度とおれれれれに歯向かえないようにしてその女たちは俺が貰ってやるからよぉ。処女だ!処女だろう?!なぁ、処女だろう?!処女おいてけ、なぁ!!」


 草鹿さんや朝倉を指さし涎を零して股間にテントを張りながら何か言ってるまさお。おハーブでもキメてんのか??……だってまさおだもんなぁ。


『はいアウト、RECしました』

『逃げるでござるよヤングメェ~ン&ガール。あとは証拠警察に叩き付けてまさお人生ゲームセットでござる』


 まさおどうしてわざわざドローンに飛んで火にいる夏の虫してるんだろう。破滅願望でもあるのかなぁ?

 俺はともかく草鹿さんと朝倉をどうにかしないとなぁ、と思っていると背後から声がした。


「久しぶりだね、たっくん♪」


 うわっ、姫子だ。なんでこんなところにいるんだよ。髪もぼさぼさだし全体的にやつれてなんか不潔感マシマシになってるし。ぶっちゃけきもちわるい。


『白々しいでゴザル、こいつら絶対ツルんでるでゴザル』

『うわぁいフラグ回収はやかったですね(棒』

『あの子ってアシェルの中の人の犯罪者ちゃん?』

『まさおが人生オワタなのはさておきなんとかしないと』


 うん、そうね。ヒメネコはいけるかわからんけどまさおは実刑役満ルートまっしぐらでしょこれ。

 まぁ、それはさておき今この状況をなんとかしないとなぁ。うーん、ここは民家もない道だ。はてさてどうしたものかって考える位には結構余裕あるな、……相手、まさおだしなぁ。


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『幼馴染の婚約者を寝取られた挙句、聖女の義姉諸共追放されたので裏切った連中が滅亡していくのを眺めていることにした。」

異世界でも“眺めていること”をはじめました。

お暇つぶしになれば幸いです、よければそちらもよろしくお願いします。

https://kakuyomu.jp/works/16817330661881705770

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