第20話 幼馴染、学校辞めるってよ


 タテと昼食をとりながら、3Dモデルの動かし方について色々と教えてもらっていた。最近はタテに教えを乞う事がおいのでタテヨコと一緒にいることが多く、草鹿さんや朝倉からは埋め合わせを要求されて中々に多忙だ。それはそれで充実してるしいいんだけどねー。

 3Dモデルを触るってのも色々と楽しいなぁーと思いつつ食事をとっていると、思い出したようにタテが言った。


「そう言えばヒメネコ氏が垢BANされたのはご存知と思うでござるが恐らくヒメネコ氏と思われる人物がネット掲示板にコテハンで粘着してましたぞ」


 うへぇ、諦めの悪い奴だなぁ。動画投稿が封殺されて掲示板で必死にあがいても多分それ炎上のネタにしかならんぜ。自分を客観的に見て見苦しいと思う羞恥心とかないのかなぁ。

 今は色々と考察動画出されてるし、アシェルとして活動していた時の動画よりもアシェル=まさおといっしょにいた女って考察動画の方が勢いあるぐらいだし、余計な事はまた自分の首を絞めることになると思うけど。

 まさお実家の不祥事が今は連日ワイドショーやネットニュースになってるせいでまさお案件のトリガーになったまさお動画で一緒にいた女は誰だ?ってのはずっとHOTなNEWSなんだよねぇ。

 そういえばまさおって今どうしてるんだろう?世の中のために去勢でもされてほしいところ。

 そういえば母さんのSNSにもクソリプが飛んできてるんだよなぁ、母さん即座にブロックしてるけどいい加減諦めてほしいところ。


「まぁ姫子だしなぁ。いい加減諦めることを学んでほしいけど」


「無理でしょうなぁ、持って産まれたサガはどうにもなりませんぞ」


 タテと顔を見合わせた後に2人で遠い空を見上げ―――哀しみを知る事が出来たよ~。


「そういえばえくすとべのむ凄く好調だよね」


 姫子の話をしていると気が滅入るので明るい話にしようと切り替える。


「あ、そこは個人V大手のレンやキララがSNSでちょくちょくリツイートしていたり、放送中でも名前を出しているからでしょうな。

 2人ともここ最近動画投稿が停まっていたのですが、投稿再開しはじめてからえくすやべのむの事に触れる事が少なからずあるのでレンとキララの知名度がそのままえくすとべのむのブーストになっていると思われでござるよ。

 言ったらコラボとかしてくれるのではないでござらんか?」


 おっと、そうだったのか。あの2人にはお世話になってるからまたお礼いったり、何かの形でお返ししないとなぁ。


「勿論、キャラデザがたっくんの御母上というのも大きいですな。

 たっくんの御母上がキャラデザしたソシャゲの人気キャラのアナザーverが実装された丁度いいタイミングで、えくすとべのむについてSNSで告知したことも大きいと思うでござるよ。

 ネックなのはアシェル絡みで質問突してくる厄介さん達でござるが、そこおはたっくんが排除とブロック頑張ってるようなので今後も頑張って下され。あと粘着してる奴の中にヒメネコ氏がいると思うので情報開示請求したら引っかかる気がします」


 そうなんだよなぁ、えくすとべのむが伸びていく過程で何かきもちわるい粘着というか荒らしがわいているんだよな。そっか……姫子かもしれないんだよな……。


「ヒメネコ氏が自爆したのは、そもそもマンネリとワンパターンだったことが最大の原因でござる。……結局のところV活で伸びる伸びないって中の人の実力と、周知されるだけの要素を持っているからでござるからなぁ。

 伸び悩んでのお色気路線で自分から死にに行ったのを抜きにしても、やっぱり顔をスケブで隠した現役jkってだけでは一発屋にしかならないでござる」


「そーなのかー」


 そう言われるとえくすとべのむが成功した理由というのも見えてくる。おぼろげに見えてきたんです……成功というイメージが……って違うか。

 前提としてキャラデザは母さんのネームバリューがあり、同ジャンルへの情報の拡散力が強いレンやキララがそうやって触れていてくれれば認知度は上がる。

 気になって見に来てくれる一見の分母が多ければ、チャンネル登録や配信を見に来てくれる人も増える。……きっと高校生の子供でしかない俺達だけじゃこうはいかなかっただろう。いろんな大人に助けられてるんだなぁという感謝するしかない。


 それから少し遅れて昼食に合流したヨコが、むふん、先ほど小耳にはさんだのですが、と前置きをしながら言った。


「―――浦桐、学校クビだってよ」


 ありゃー、姫子しんじゃったかー。いや死んでないし生きてはいるけど。ですよねー、としか言えない。学校もついに重い腰を上げたか。


 とはいえ退学を予想していたけど、どうも付属の通信制高校への編入という形で学校を去る事になるらしい。……普通の生徒なら普通に退学なんだろうなぁ、と思うけど。

 それでも姫子を利用できると期待してるあたりはこの学校の上層部にいる人間やっぱりアレなんだろうねぇ。


 ……そっか、もしかしたらさっきタテがいっていた恐らく姫子の荒らしも、V活も、学校も、俺の一家との交流もなくして孤立したからなのかもね。

 高校生活はあきらめて、反省して大学から人生リスタートとかしたらまだまだやり直せると思うんだけどなぁ。


「やはり可哀想だと思ってるでござるか?」


「いや、全然?」


 微妙に気にした様子のタテだが、俺はこれっぽっちも気にしてないのでけろっと言い返す。

 実際姫子ともうずいぶん直接喋ってないしなぁ。そういえば電話もメッセージアプリもブロックしてるけど今姫子どういう状況なんだろうね。このまま何事もなく大人しくフェードアウトしてほしいよね、うー☆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る