第16話 さらば学年主任!隠蔽教師暁に死す(笑)
結論から先に言うと元・学年主任のオッサンは依願退職という形で学校を去る事になった。
教育委員会につーほしました!してからのとかげのしっぽ切りが早いが、裏では恐らく色々と圧力ややり取りがあったんだろう。騒動からほどなくして元・学年主任は学校から消えた……でもそんなの関係ねえ!
「俺はミンジムで行く」
そう言って父さんはブチ切れてた。刑事でいけなくくても民事で行く模様。
あのあと、タテから送ってもらったデータを聞くや否やグラップラーな漫画張りに顔面にビキビキと血管を浮き上がらせていた。インフルエンサーへの暴露を止めてもらったのは、父さんが自分で落とし前をつけさせるとやる気になっていたので任せることにしたからである。普通にあの元・学年主任がやってたことが色々とアウトだからね。観念してほしいところ。
「何が加害者の未来だ、被害者の人権を蔑ろにするような屑教師に遠慮はしない。たとえ便所に逃げ込んでも追い込んでけじめをつけさせてやぁる!!」
姫子の一件以降俺の仲での父さん株は上がり続けているんだけど、この件もあとは父さんに任せておけばよさそう。元学年主任は退職して逃げ切ったと思ってるかもしれないけどうちの父さんそんなに甘くないんだなぁ。安らかに死ぬが良い、元学年主任よアディオス。
そしてこの騒動のお陰で学校内にいたであろう、姫子を擁護する教師陣の動きがなくなった事も大きい変化だった。
ちなみに、教師には擁護隠蔽派・粛々と処罰派・様子見中立の様子見派と3つがあったのだが、隠蔽派は学年主任が初手でブッ飛ばされたので尻込みして雲散霧消したという訳である。危ないと思ったら切り捨てて自己保身とかクソすぎるのでこの隠蔽派いずれあぶり出して全員粛清してあげたいよねー。
ちなみにしゅーこちゃんは処罰派で、成績が優秀であろうと何であろうと校則や刑法にのっとって処罰するべきであると主張していたようだ。なので元学年主任はしゅーこちゃんが出張でいないあの日に俺を呼び出してハメようとしたみたいだったが……結果は残念でしたねというオチ。
タテヨコがどこからともなく仕入れてきてくれたそれらの動きを聞いたけど、結果として姫子は学校サイドでの立場と擁護をも完全になくしてしまっていた。
姫子を擁護しようとすると俺とやりあう事になり、俺とぶつかると退かぬ、媚びぬ、省みぬの精神を持つ高遠一家とぶつかることになるからである……いやこっちに非がないからわざわざ配慮する理由がないのでそこは、うん。モンペじゃないよ、筋が通ってないから怒ってるだけだかんね。
そんな事が姫子本人のあずかり知らぬところで起きてるんだけど学校に来てないんだし知る由も無かろう。仕方ないね。最近だらしねぇな?
そして事態に驚いていたのは、出張から帰ってきたしゅーこちゃんだった。
「すまなかった。君がトラブルに巻き込まれているのにその場に入れなかった」
しゅーこちゃんは申し訳なさそうにしていたが、出張の隙をつかれるかたちになっているのでしょうがないと思う。しゅーこちゃんには気にしないように声をかけておく。
「……何か私に出来る事は無いか?」
……なんてしゅーこちゃんに聞かれたけど、現状特に……と断るのもまたシューコちゃんが気にしそうだし。よし、ここはひとつこれでいこう。
「じゃあ、俺が悪い子になったら先生は叱ってくれますか」
「……あぁ。君が悪い事をしたら怒る。きちんと教師として怒ると思う。
それはそれとしてその台詞は悪落ちフラグが立ちそうだからやめておくように、主に劇場版で3部作ぐらいになりそうだ」
チェッ、残念。でもしゅーこちゃんのそういうハッキリしたところは嫌いじゃないわ。
そういえば変わった事と言えば、俺が元学年主任のおっさんとアレコレしてるうちについに骨折のギプスから解放されたことと、朝倉がさっぱりとイメチェンさせられたのだ。草鹿さんの粘り強い説得に根負けしたようで髪をすいてもらい、短くなった黒髪はショートボブになり黒ぶち眼鏡もお洒落なデザインのリムレスになっている。
リップぐらいしかしていない、というけれど雰囲気が変わって男子がとっても反応していた。やはりあのおっぱいの誘惑には耐えられない奴が多い模様。
「やぁ、朝倉さん。最近可愛くなったよね」
「ハァッ?」
「ねぇ、週末出掛けない?俺映画のチケット余っててさ」
「だが断る」
「え~?いいじゃん絶対面白いからさ~お試しだと思ってマジちょっと1日だけさぁ~俺マジ女の子楽しませるの得意だからさ~」
「イライラするんだよ……!」
「ヒッ?!」
―――そして朝倉に突撃しては玉砕していた。
昼休みの教室で朝倉をデートに誘ったのは確か学校でも有名なイケメンチャラ先輩だったかな。取り付く島もなくて笑っちゃう。
……目に見えて可愛くなったとは思うけど、中身が変わったわけで無し朝倉は朝倉だよなぁと思う。見た目が変わっても人の本質は変わらんじゃろ、俺は今まで通りに朝倉と接するだけよ。
「あぁ~うっとい!鬱陶しい!最近男子が声かけてくるようになって時間が取られてイライラする」
「ははは、朝倉可愛くなったからねぇ。うぅっ、長い長い道のりだった。磨けば光ると思ってたから感無量だわぁ~」
そう言ってうんうんと頷いているのは草鹿さん。そう言えば朝倉はともかく、最近は草鹿さんに声をかける男子が居なくなったような。
「そりゃ皆たっくんと付き合ってると思ってるからでしょ」
チュー、といつものごとくたわわポジションに豆乳をセッティングして呑む朝倉。朝倉も段々と俺の心を読むようになったよね。
「……あぁ、その手があったか。私もたっくんとデキてるって言いふらせば男子が寄ってこなくなるじゃん」
……待つんだ朝倉ァ!それは俺が女子二股まさお野郎という誤解を招くのでは??!やめい、ステイ、ステイ!
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