第四章:それぞれの夢。

05/01日


今日は自分の夢とは何なのか。を授業をするらしい。


緑川先生「今日は夢にとは何なのかを勉強します。」


俺「まだ夢が決まっていない人はどうしたら良いですか?」


緑川先生「それならこれから考えても良いと思いますし、クラスメイトの夢を参考にしてみても、良いと思います。」


俺の夢は【友達を作る事。】だ。


今は大分落ち着いたが、小学生の時の俺は今より馬鹿で、自分の思いどうりにならないと、よく癇癪を起こしていた。


幾つか挙げるとすれば、学校は朝の会だけ受けて帰ったり、何か気に入らない事があると、暴力や暴言、人の物自分の物を壊したりしていた。


他にもあるが、挙げたらキリがないのでやめておく。


俺が暴れていたせいで、皆俺を恐れていた。


それを良い事に、色んな人を虐め、楽しんでいた。


そんな生活を三年生になるまでまで繰り返し続けた。


三年生になると、ずっと母が相談していた支援学級が出来て、俺はそこに入る事になった。


普通学級、支援学級どちらで授業を受けても良いらしく、普通学級で受ける事も度々あった。


だが、やはり癇癪を起こさない訳がなかった。


俺は癇癪を起こす事に、とても悩んでいた。


五年生頃になると、理解してくれる奴が沢山増え、心が少し軽くなった。


一緒に遊んでくれるし、話もしてくれる。


俺は初めて、友達が出来た気がした。


だが、その考えは大きく間違っていた。


【友達が出来た】のではなく、【俺にあわせているだけ】だけに気付いてしまった。


中学から特別支援学校に入ったのだが、そこから俺の考えは変わってしまった。


友達に話しかけても、睨みつけてくるだけで、返事すら返えしてくれないのだ。


そこで、初めてやっと【合わせているだけ】って事に気づいた。


俺は、友達だと思っていた奴らに、裏切られたと思い込み、誰も信用できなくなってしまった。


だが、やはり友達は欲しい。


大勢で、ワイワイ遊びたい。


だからこそ俺の夢は【友達を作る事。】なのだ。


だが、この話は、皆から避けられるのを恐れて、隠して、性格を作っている。


この話をした時、怖かったので、色々あってと友達が少なかったと誤魔化し、自分の夢について話し終えて、今日の授業は終わった。


給食を終え、昼休みに宝城さんが来たので、思い切って話しかけてみた。


俺「えっと…宝城さん…でしたっけ?」

宝城さん「うん、そうだよ。どうしたの?」

俺「えっと…その…えっと…」


中々のチキンボーイっぷりを見せてしまった。


俺「その…きょ、今日の給食美味しかったですね。」

宝城さん「うん!!そうそう。すっごく美味しかった〜。」

俺「前の学校の給食はどうでした?」

宝城さん「前の学校も美味しかったよ。」

俺「そうなんですね〜。」

宝城さん「そうだ!!聞いてもいい?」

俺「へ?何でしょう?」

宝城さん「えっと…いそ…じ…ま…君?のクラスは三時間目授業何したの?」

俺「え?あ、ゆ、夢についての勉強をしました。」

宝城さん「へぇ…夢について…磯島君の夢ってなぁに?」

俺「へ?ゆ、夢…ですか?…友達を作る事です。」

宝城さん「なるほど、友達…どうして?」

俺「んぇ!!え、えっと…その…色々…ありまして…」

宝城さん「そっか…」

俺「ほ、宝城さんは夢ってあります?」

宝城さん「私?声優!!」

俺「声優…良いですね!声も綺麗ですし。」

宝城さん「そうかな…?」


昼休みが終わり、午後の授業に突入した。


昼休みの出来事で、頭が一杯になり、午後の授業内容は入って来なかった。



第四章(終)

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