幕間:セイメイ曰く1
事件を振り返って彼曰く
道の先に二つの村がある。
片方は正直な村人のみが住む「正直村」。
もう一つは嘘つきばかりが住むという「嘘吐村」である。
一人の旅人が分かれ道の手前で困っていた。どちらの道がどちらにつながるのかを忘れてしまったばかりか、分かれ道に置かれていた木の看板も雨風によって読めないものになってしまっていたのだ。
どうしたものかと考えていると、道の端に座って煙草をのむ老人が座っているのが見えた。このあたりには他に集落はなく、彼はどちらかの村の男であることは間違いない。しかし、どちらの村の男かは判断できるものがない。
正直村の者なら絶対に正直な答えが返ってくるが、嘘吐村の男ならば百発百中で嘘が帰ってくる。
旅人は少し考えて、老人に尋ねた。
「あなたは、どちらの村の方ですか?」
老人は「こっちだ」と一つの道を指した。
さて、有名な論理パズルの「正直村と嘘吐村」だが、相手がこれを選んだことで事件がより強化されたことだろう。実際に嘘つき村を作ってしまおうだなんて、誰が考えつく?
あの地では嘘の方が圧倒的に信用度が高い状況にあった。
嘘こそが誠だった。
まあ、だからこそアレはそう願ったんだろうな。
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