幕間【神鳴、人智にて解明せし事】・清涼殿の怪

 皇紀一五九〇年のころである


 宮中・清涼殿に神鳴が落ちる。

 その頃から藤原時平の霊が幾度となく姿を見せるという話になった。

 

 陰陽師たちが調査し、祈祷を済ませ、きちんとした供養を行った。

 さらには九州の地に社を建て、彼の魂を鎮めるように帝が集めた僧侶たちが祈りを捧げた。

 それで一度は確かに静まったのである。

 

 現在、東北・九州の地は90パーセントが国有地となり、多くの土地がオートメーション化された農地となっている。

 

 大宰府の社の奥、彼の魂の安寧のための観音菩薩がある。

 それは今も人知れず誰かの手によって丁寧に清められている。

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