第7話 初戦闘
「んじゃ、いっくぞー!!」
ファルが先陣を切る。今の陣形はファルが一番前、そのすぐ後ろの僕。ちょっと後ろにウェルン、一番後ろがルリアだ。スキルを確認してて思ったけど、この中に誰も探知系? ってスキルを持った人がいないのだとか。だからどうしても進むのには慎重になる必要がある。
「前方敵はっけーん! 数は二体かな、鑑定よろしく!」
「わかった」
敵とあったらとりあえず鑑定するっていうのがテンプレらしい。このメンバーの中で【鑑定】を持ってるのは僕とルリアなので二人が鑑定をする。その結果、こんな画面が出た。
――――――
種族名:ゴブリン Lv2
スキル:【棍術】
――――――
初めて使った【鑑定】で見れたのは種族の名前とレベル、スキルだけ。しかもスキルのレベルなんかはまだ見れないようだ。けど、スキルのレベルが上がれば上がるほど見れる情報も多く詳しくなっていっているのだろう。
「敵はゴブリン! 武器は棍棒系統! ファルは前へ!」
敵の情報の共有と戦闘の指揮をする。まあこれは指揮と呼べる代物では全くないのだが。ここからの指示は基本ウェルンに任せる。中衛で一番周りを見る能力にも長けてるからな。
と、僕もそろそろ前に出なければ。作戦ってものが一応あるからな。
「っしゃあい! いっくぞおらぁ!」
大剣と大盾を担いで一人突貫するファル。その後ろから攻撃に参加しようとしている僕とウェルン。洞窟型とは言っても道幅的には結構な余裕があるから後ろにゴブリンたちが抜けていかないようにしなきゃいけないな。
「スキル発動は心の中で意識を強く持つ……『加速』」
ガン! とファルの大盾でゴブリンたちの行動が弾かれる。考えなしに突っ込むことしかできないゴブリンたちは自分らよりも大きな盾の前に怯んでしまっていた。そこを僕は逃さず【加速】を発動させ一気に距離を詰める。そしてザシュッとゴブリンを切りつける。ゴブリンは表示される体力ゲージが0になり、光の粒子となって消えていく。
「あと一体!!」
一体を撃破したとの報告をする。残りは一体、そしてその一体はファルの大盾によって攻撃をすべて防がれており、あとはとどめのみのようなものだ。
「ファル、避けてよ! 『ウォーターボール』」
青色の魔力が水となり、球体を成す。そして、その球体はルリアの一言によってゴブリンへと発射された。水球はファルが遮っていた視界からひらりと躱したことで急に現れた。いきなり現れた水球に、回避も間に合わず直撃してしまうゴブリン。致命傷にはなりえていないが、確かにダメージは与えているし怯んだ。あとは――
「っっっらぁ!!」
ファルが、最後を締めくくる。こちらのゴブリンも先ほどと同じく粒子となって消えていった。
『ゴブリンを討伐しました』
『レベルが1から2に上昇しました』
『ステータスが上昇しました』
『Fランク魔石×2を取得しました』
そんなアナウンスが頭に浮かぶ。ゴブリン二体との戦闘とはいえ、一度目でレベルが上がったのは獲得経験値が多かったのか必要経験値が少なかったのか。一回だけじゃわからないか。
「俺はレベル上がったー! みんなは?」
「僕は上がってない」
「私もー」
上からファル、ウェルン、ルリアだ。同じパーティに入っていてもレベルが上がったかどうかはまばらだ。なぜこうなるのか、気になるが今はそんなことを言ってる場合ではないのだろう。
「先に進むぞ、警戒は続けてな」
ウェルンがパーティ全体にそう声をかける。そして、再びダンジョンの奥へと進み始めた。
♢♢♢♢♢♢
「あれはー……宝箱だ!!」
ドラ〇エなんかでおなじみの、ザ・宝箱って感じの箱が行き止まりの場所に鎮座している。普通の木でできた宝箱だ。
「はーいはい、ファル。ちょっと待ってねー。開けたいのはわかるけどね。罠がないかのチェックだけさせてね」
ルリアはそうファルへと言い、宝箱へと近寄る。そして、宝箱に【鑑定】を施した。
「大丈夫だってー。開けてもいいよー」
ルリアの許可の声を聞いたファルはすぐに宝箱へと駆けより、宝箱の蓋を開けた。すると、ウィンドウが開いた。
――――――
パーティリーダーの『ファル』が鉄鉱石×2を入手しました
――――――
へぇ、パーティの誰かが宝箱を開けたらメンバー全員に通知がいくのか。それで、今回の宝箱に入っていたのは鉄鉱石、と……
「みんなー! 鉄鉱石が入ってたぜ〜!」
「「「知ってる」」」
「えぇ?」
どうやら、僕らにアナウンスがいったのはわかっていないよう。けど、鉄鉱石って今は木製の武器を使っているからかなり有用なのではないだろうか。あれ、鉄の剣とかつくれるんじゃない? けどそれにはもっとたくさんの鉄鉱石が必要か……
「お、この先開けた場所だぞ」
この洞窟型のダンジョンで開けた場所? さっきまでにも開けた場所はあるにはあったけど、そのときはファルはなんにも言わなかった。なら、それよりもかなり開けてる場所なんだろうと思う。どこかおかしい気がするから、警戒はしっかりしていこう。
「……へぇ、ボス部屋じゃん」
ファルが舌なめずりをしながら言う。その様子からは楽しそうな雰囲気が見て取れる。ファルのその戦いと呼べるものにおける嗅覚は、第六感は信じられないほどに精度が高い。なら、その感覚は正しいと思って進むべきだ。
「よし、じゃあ最後に確認しとくぞ。僕たちのパーティの戦い方は、ファルがヘイトを買いつつのファントムが援護+ダメージ役。そして僕とルリアで後方支援だ。崩れるなよ、適宜指示は僕が出す。焦らなくていい、驚かなくていい、僕を……そして、君ら自身を信じろ。――じゃあ、行こう!!!!」
♢♢♢♢♢♢
読んでみて面白いな、と思っていただけたら、★3やフォロー、♡などよろしくお願いします! 更新の励みになります!!!
器用貧乏は万能への道を辿る~最強剣士を目指した男の物語~ 辛味の視界 @yozakuraice
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。器用貧乏は万能への道を辿る~最強剣士を目指した男の物語~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます