vol.3 会いにいこう part2

最終日に備えて早く寝たのにも関わらず起きたのは朝の3時半。普段もたまに目が覚める時間なのだがもう少し寝とくのが正解かと思ったのだが、なんと目覚める6分前に『トルコブルー』を上梓した親友からのLINE。これで目が覚めたのではないかと思ったが、私のスマートフォンは常にサイレントモードだ。これもなんかの偶然だろうとLINEと続け、5時半になったら朝の散歩に誘った。


暑いイメージの名古屋だったが、朝はさすがに涼しく、コンビニで買った無難に美味しいコーヒーを握りながら会場近くの川やららぽーとの広場を巡った。慌ただしい春秋祭の中で、この時間が1番時の流れが遅かったと思う。公園の閉じられた夜店や川の亀、遠くに見える観覧車を見ながら話すのはまた俳句の話ばかり。内容については甘酸っぱい話をした訳でもないが、胸の中にしまっておく。2時間弱程度の散歩を終え、皆さんと朝食会場で合流し本日の健闘を誓い合った。


秋草の句会は人が集まったら直ぐに始まるところがとてもよい。主宰がせっかちなだけなのかもしれないが、前置きが長いよりはとても句会に入り込みやすい。詳細は「秋草」の誌面でご覧いただきたいが、ひとつ感じたのは句数が多いとやはり選句が非常に難しい。2日間を通して選をし損ねてしまった作品が幾つか浮かぶ。テンポよく選を回すことと雑に回すことが全くの別物だと分かっていながらたまに混同してしまっていることがあるのかもしれないと感じた。ただ、周りの皆さんが選んでいない作品をひとりでピックアップできた時にはちょっぴりと嬉しい気持ちになる。そんな喜びと反省を踏まえて次の句会の選句に挑みたい。


春秋祭、そして打合せまで終わり、あっという間の2日間を惜しみながらの18時半過ぎの新幹線に乗り東京へ向かう。名古屋を発車して流れたのは行きと同じ「会いにいこう」。春秋祭の終わりでもあるが、また次の出会いの始まりだということを、新しい車内チャイムは教えてくれた。

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秋草「春秋祭2023」 上川拓真 @bakamikawa

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