オラストラン②『EQUAL』
第2話『EQUAL』
昼休みになった途端、俺はすぐさま弁当を持って教室を出た。向かう先は屋上。そこが僕にとってのベストプレイスなのだ。階段を上りきり扉を開くとそこにはすでに先客の姿があった。
「やっほー陽ちゃん!」
彼女はこちらを振り向くなり手を大きく振ってきた。その様子からはどこか幼さが感じられる。
彼女の名前は春風 優衣。僕の幼馴染であり、学校一の人気者である。長い髪をサイドテールにしているのが特徴的で、その可愛らしい容姿と相まって男女問わず人気を誇っている。ちなみに僕は昔からこいつのことを"ゆん"と呼んでいる。
「おう、ゆん。久しぶりだな」
「ねえ、また一緒にご飯食べよう?」
「ああ……まあいいけどさ」
「やった」
ゆんは小さくガッツポーズをする。
「高校生にもなって、まだ俺に惚れてるのか」
「惚れてるのは陽ちゃんのほーでしょ。私は自分が美少女すぎてモテまくってるから、たまには対等な関係の幼なじみと話してたいなーと思ってさ」
「学園一の人気者さんも意外とわがままなんだな」
「もぉ~。陽ちゃんだって、私と喋ると楽しそうにするくせにー」
「し、してねえよ。勘違いすんな。ほかの奴らには好かれるかもしれないが、俺は絶対お前なんか好きにならないからな!」
そう俺が啖呵を切ってみせると、思いのほかゆんは反応を示さず、ただ少し遠くを見つめて儚げな表情をした。そして、ぽつりとつぶやく。
「うん……私が一番しってる」
「どういう意味だ?」
「…………そのまんまだよ」
それ以上の返答はなかった。お互い無言のまま昼食を食べ終え、「じゃ」と言って別れた。なんだよ、ゆんらしくもない。学園一の人気者、なんだろ?
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