爆弾発言

 なんだか、最近はお昼ご飯が楽しみになってきた。

 

 男避けとはいえ、こんな素敵なお方とお昼をご一緒できるなんてほんと光栄だ。

 

 光栄なんだけどさ、オレがお昼をむしゃむしゃたべていたらいきなり、

「好きな人っていらっしゃるのですか?」

 なんて聞いてきた。

 

 ゴフッ。

 …むせたよね。

 純子さんにいきなりそんな質問されたらそりゃあ、ね…。

 

 でも、なんでオレなんかにそんな質問を…と疑問を持ちつつ、いないよと答えると

「あぁ、いないのですか。わたしは、いますよ。」

 と純子さんは、言いましたよ?

 

 その人は、許嫁のことなのだろうか…?

 

「純子さんは、いつからその人が好きなのですか?」

 の質問に、

「だいぶ前になりますね。」

 と空を見上げた。

 

 そっかー。

 そんな前から…。

 

「あの、わたし…、どうしてもある方と口付けを交わさないとならなくて。やっぱりそうなると、こちらの都合だけじゃいかないんですよね」

 とオレを見つめた。

 

 真っ直ぐな瞳。

 お美しい。

 

 たぶん許嫁との誓いのキスなのだろう。

 

「純子さんは、許嫁とはもうお会いしたのですか?」

「ええ。もちろんです。」

 

 あー、そっかー。

 

「それで、わたし…練習がしたいのです。」

 と、いきなり爆弾発言。

 

 ⁈練習⁉︎

 

 え、

 

「あの、練習…とは?」

「もちろん練習なのです。それで、その練習にお付き合いいただけないでしょうか?」

 なんて真剣に申し込まれてしまった。

 

 

 えと…

 

「えっ、オレじゃ練習にならないっていうか…そのやっぱり練習なくても許嫁さんとするのが一番いいかと…」

「…そうですよね。やっぱりそう思いますよね。でも、許嫁にバレないようにキスしたいのです。もしくは、おもいが通じあってからしたいのです。」

 とオレの手をがっしりと握った。

 

 うーん…。

 

 これは難しい問題ですね。

 

 続く。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る