第5話 罪滅ぼしのカフェ

 鳥の声で起きた春樹は、大きいあくびをしながら起きた。


 ウィルとキキも同時にあくびをしながら起きた。


 朝ごはんを食べ、歯磨きをし、リュックを背負い、早速旅をし出した。


 眠気が残る中、旅の中でなくなった物をこんびに近くにあったコンビニで見つけ、リュックに入れ、旅をしていた。


 地図を見ながらも、春樹たちは歩き続けていた。


 腕時計を見てみると、早々と10時となっていた。


(時間が経つのは早いなぁ)


 春樹はそう思いながら再び辺りを見渡した。いつかは怪物に襲われるか分からないために見渡さなければならない。


 見渡すことをやめてしまうと、その怪物に襲われる危険せいがある。あの事があって以来、春樹は人のことを警戒しようと思った。


 そして、春樹はあることを言った。


「なぁウィル」

「ん?」


 春樹の声を聞いたウィルは返事をした。


「死んだ人を生き返せることはできるのか?」


 春樹は辺りを見渡しながら言うと、ウィルは否定をした。


「いや、刺されて、すぐに俺の魔法で直せたら傷は無くなって消えるが、時間が経って死んでしまった奴を生き帰らせることは出来ないんだ。それがどうしたんだ」


 ウィルは春樹が言う言葉に頭を傾げると、春樹は訳を言った。


「もし、母さんの遺体があったら、ウィルの力で直せないかなって、思ったんだよ。でも直せないならいいよ。ただ母さんを何処か安全な所に埋めたいからさ」


 春樹はそう言うと、再び黙り、辺りを見渡した。


 上の道を示す看板には姫路と書かれている。ここまで来たかと思いながらも、何故か前の方だけ灰色の雲が出ている。吹雪の音が聞こえる中、春樹の頬に冷たい感触が来た。


 春樹は頬に触れた。雨かと思うと空から次々と雪が降ってきた。


「うわっ。雪が降ってきた」

「あぁ。そうだな。この感じだともう少ししたら強くなるぞ」

「まっ、マジか」


 春樹は雪が降り続ける空を見上げながら言い、キキを服の中に入れ、もらったマフラーを首に巻いた。


「これでよし。じゃあ早めにどこか寝られる場所と、薪とマッチでもなんでもいいから何か温めるものを探そう」

「あぁ。燃やすとしても奴らにバレないようなところでしよう」


 ウィルは言いながら周りに何か木がないかを見渡した。


「建物の中に薪を売っている店もあるから、大きいショッピングの中にも入ろう。ライターでもなんでもあるからさ」

「おぉ。人間界のものはたくさんあるから色々便利なものがあるんだな」

「へへへ、まぁな」


 二人が話していると、だんだんと吹雪が強くなっていった。 


「やべっ。ていうかなんでこんな吹雪が。こんな吹雪すごいぞ」


 顔に付く雪を払いながら春樹はウィルに言った。


「もしかしたら怪物が現れたせいで天候がおかしくなったのかもしれない」

「えっ! まさか能力を持っている」

「あぁ、だが海のところにいる大人しい怪物が寝ている時に台風とか吹雪とかが邪魔でそれをどかしている可能性もある」

「海の中って、それって」

「大人しい奴もいるからいいが、下手に刺激をすれば殺されるに決まっている」


 ウィルは説明し終えると自分の頭に着いた雪が鬱陶しくなったのか足で拭いた。


「じゃあ泊まる先をどこかに」


 言いかけた瞬間、どこからか凄まじい気配を感じた。春樹はすぐに剣を抜き、ウィルは体を縮こませた。


「ウィル」

「あぁ、奴らがこの吹雪を使って襲ってくるぞ」

「オッケー。なら尚更警戒心を保たなきゃな」


 春樹は言いながら剣を強く握った。


 周りを見渡した。吹雪で真っ白な周りに息を飲んだ。すると、吹雪の中から足音が聞こえてきた。


「春樹! 右からくるぞ!」


 ウィルの言葉に春樹は剣を右に振った。その瞬間がチンという激しい音と共に風が頬を触った。


 振り返ると、毛がどこにもない真っ白い肌、鋭い爪に棘の様に並んだ歯、目が斜めに細くなっている二メートルぐらいの怪物がいた。


「なんだよこいつ。気味が悪りぃ奴だな」


 春樹はそう言うと、怒ったのかそいつは唸り声を出して突進し始めた。


 春樹は斬りつけようと飛びついた瞬間剣を横に振ったが、奴は能力が高いのかすぐに自分の爪でガードして後ずさった。


 春樹はこのままではやられると思ってウィルの背中から降りると、剣を両手で握った。


 化け物は大勢を低くすると、飛びつくかの様にしながら左手を大きく振った。お互いにその攻撃を避け、春樹は怪物に向かって剣を降ろうとすると後ろから銃声の音が聞こえた。


 振り返ると、そこには同じ怪物が血まみれで横たわっていた。


(なんで血まみれなんかに)

「おい! 兄ちゃん! 今すぐにげろ!」


 声をした方に見ると、火縄銃を持ったおじさんが険しい顔を見せながら言った。


「春樹! 一旦避難しよう。今の音で他の奴らも来る!」


 ウィルはすぐに近くによると体を縮こませて言った。


 春樹はすぐにまたがり、ウィルは駆け足で先ほどのおじさんに近づいた。


「おじさん! 早く乗って!」


 手を差し出して言ったが、おじさんはウィルにまたがっている春樹に困惑する様子だったが手を掴んでウィルの背中に乗った。


 ウィルは二人が乗ったことを感じるとすぐに猛吹雪を駆け出した。


「振り落とされないように気よつけてください」

「あっ、あぁもちろんだ」


 おじさんはしっかりと春樹の背中を掴んで言った。吹雪の中でも怪物らの走っている音が聞こえてくる。一匹、二匹ではない。もっと沢山いる。


「この先にある建物に隠れるぞ」


 ウィルは目の前の潰れた小さなコンビニに向かって言った。


 飛び入るとそのままカウンターの中に入り、ウィルの背中を素早く降りた。春樹は外の状況を確認できるものがあるかをバレないようにしながら確認した。


「兄ちゃん。何を」

「静かに。あいつら音に敏感かわかりませんからね」


 春樹は説明しなが探すと、ウィルの側にひび割れた四角い鏡が置かれていた。


 ウィルに声をかけて鏡を持ち、気づかれないようにしながら鏡を少しずつ上げた。すぐに鏡にあいつらの姿が見えた。


 奴らは周りを見渡すとすぐにどこかに行ってしまった。


 春樹は鏡を物音立たせない様にして置くと、ゆっくりとカウンターから顔を出した。


 怪物がいないことを確認すると、大きく息を吐いた。


「ふーー、なんとかなったなウィル」

「あぁ。しかし危なかったな春樹。そこにいる人が助けてくれなかったら今頃怪我をしていたぞ」


 ウィルは拳銃を握っている老人に顔を向けて言った。


「そうだね。あの、ありがとうございました。助けてくださって」


 春樹は分厚そうなジャンバーと黒い長靴を履いている白髪を短髪にしている爺さんにお礼を言った。


「いや、助けるのは当たり前なんだが君、この狼はなんだね? 襲っても来ないから心配はしないんだが」

「あぁ、安心してください。この子は人を襲わない狼です。俺は春樹と申します。この子はウィル。それから」


 春樹はカバンを下ろして蓋を開け、チャックを開けるとキキが黒い顔を覗かせた。


「この子はキキって言います」


 春樹は一通り説明し終えると爺さんは小さく咳払いをした。


「わしは裕之だ。裕之さんって呼んでくれたらえぇ。けれどどうする? こんな吹雪の中を簡単に出歩けばさっきの奴らに会うに違いない。下手に動けば」


 裕之は息を呑んで言い、持っている銃を握りしめた。


「いや、さっきの奴は結構遠くにいる。この近くには怪物は今はいない」


 ウィルの説明に裕之は「なぜわかるんだ!」と小さい声で驚愕した。


「ウィルはわかるんですよ怪物たちの気配が。本当です」


 春樹は簡単に説明をすると裕之は感心した。


「そうでしたか、あっ。もし去っているとすればここにある食料と絆創とか色々持って帰ろう」

「そうですね。あっ、僕が様子を伺っていますので集めてください」

「けど、それは」

「いいんです。じゃあお願いします」


 春樹は剣を握ると、ゆっくりとカウンターから出て外に出た。相変わらず外の吹雪はやまない一方だった。


 後ろから裕之がカバンの中にコンビニにある食べ物を入れる音が聞こえる。


 春樹は出来るだけ警戒心を保ちながら周りを見渡した。


 数分間見守っていると、裕之は春樹の肩を叩いた。


「できるだけつめた。それからここにあった袋の中に春樹君のものも入れといたから」

「ありがとうございます」

「いえいえ、それにしても君、この後どうするんだね?」


 裕之はカバンを背負いながら春樹に言った。


「えぇと、どこか眠れる場所を探します」


 春樹はそういうと、裕之は「それじゃあ俺の家に泊まれ」と銃を握りしめて言った。


「えっ! 良いんですか?」

「あぁ、こんな吹雪の中ではなぁ。建物の中に人間1人と動物二匹っていうのもね。だから泊まっていって良いけど、少しお願いがあるんだ」

「お願いですか。なんです」

「あぁ、ここに警察署があるんだ。そこにある弾をもらいにいきたい。ここからだと役一キロ離れたところだ。良いかな?」


 裕之はそう言うと、春樹は勿論かと言わんばかりに頷いた。


「かまいません。ウィル、今は大丈夫か? あいつらが近くにいないよな」


 春樹は聞くと、ウィルは「あぁ、安心しろ」と言った。


「今の所あいつらの気配はない。一様だが影に隠れながら移動した方がいいな。吹雪の中を襲ってくるだろうし」

「そうだな。それじゃあ裕之さんはウィルの背中に乗ってください」


 春樹は言うと、裕之は「えっ!」と驚きの声を出した。


「いやいや、もし何かあったらどうするんだね。その時」

「安心してください。俺は走ってても逃げますから。むしろあなたが何か合った時大変ですよ。それに何か合った時いつでも戦えるようにしないと」


 春樹はそう言うと、カバンの中にキキを入れた。安全確認のために裏口から出て左右に怪物がいないかを確認してウィルに合図をした。


 ウィルは裕之を乗せると、先に外に出た。


 春樹はウィルの隣で歩きながら周りを警戒し、裕之は警察場所を教えながら進んで行った。


 吹雪の冷たい風と細かい雪が顔に張り付き、冷たく少しだけ痛くなっていった。吹雪の中でもなぜだか周りの状況がわかる。歩き続けると裕之は「そろそろ」だと口を挟んだ。


 すると、裕之は止まってくれと叫んだ。


「あそこだ。あそこに銃専用の店がある」


 目を凝らして指した方かをみると、小さいお洒落な建物があった。


 ドアのガラスは破れて床に散らばっていた。


 ゆっくり中に入ると、それぞれの人が自分の身を守ために銃を持っていったのか数少ない。床に落ちている銃も微かに少なかった。


(数が少ないな。まだここにもいるのかな?)


 春樹は周りを見渡して思いながらでいた。裕之は持っているショットガンの弾を探した。カウンターの中に入り、再び探すと。


「よかった。まだあった」


 裕之の言葉に春樹はカウンターの中に入った。裕之はショットガンの弾が入った箱をカバンの中に詰めていった。


「まだ弾がここにありしたね」

「あぁ、けど今の所だとこれだけしかない。もしまた探すとすると他のところだな。警察署にショットガンの弾があれば良いんだが、なかったら別の銃を使うしかないな」


 裕之はカバンを背負った。


「よし。これで私の事情は済んだ。春樹くんは何かあるかね? 食料とか」

「いえ、僕は特に、コンビニので大丈夫です」


 春樹はそう言うと裕之は「そうか」と言った。


「じゃあ早速私の寝床に案内しよう。場所って言ってもこの先の少しあたりで着くがな」


 裕之はそう言うとショットガンに弾を補充をした。


 外に出ると吹雪が少しだけ弱くなったのを感じられた。


「おぉ。ありがたいな。これで怪物の姿とかが見えれる」

「そうですね」


 春樹と裕之は周りを見渡して言った。ウィルは周りを警戒すると、「行くぞ」と声を掛けて裕之を自分の背中に乗らせて歩き出した。


 歩きながら裕之の指示通りに道を歩いた。時々落ち着いている怪物が通ってくるが、そんなことを無視して歩きづつけた。


 歩き続けると場所は木の近くにあるフクロウカフェと書かれた店で「ここだ」と言った。


「ここですか?」

「あぁ、もちろん部屋も付いているから安心してくれたまえ」


 裕之は上を指して言った。確かに上には店の上に家らしきのが見えた。


「確かに。あそこは」

「あそことわしの店が合体していてな。大家は俺なんじゃよ。ほとんどの奴らは逃げたからもぉいないよ。おまけに誰も入っていないところもあるから好きに使ってくれたまえ。あっ、後で鍵を渡しておくから」


 裕之は言いながら扉を開けた。


「さぁ早く。寒いから入った入った」


 春樹はお邪魔しますと言いながら部屋に入った。入ると、ソファと椅子のセットが5つ。そして個人の席が5つあり、その前にはカウンターが置かれていた。


 その後ろには厨房らしきのが見えた。机の辺りには沢山の水が置かれている。


 裕之は全員が部屋の中に入ったことを確認すると早々と扉を閉めるとすぐに鍵を掛け、バリゲートを作った。


「さぁさぁ。座りたまえ、暖かいのを作ってやるからな」


 裕之はそう言いながら銃をカウンターの上に置き、厨房の方に入った。


 蒼はソファに座ると荷物を置き、キキを出してテーブルの上に座らせた。


 ウィルはそばに来るとその場にうずくまった。


 春樹はカーテンから少しだけ外の様子を伺った。外は真っ白な世界になっている。


 寒いと感じた春樹は自分の手に息を吹きかけると白い息が出てきた。


(寒っ)

 

 体をさすっていると厨房の方からガタガタと音が聞こえた。

 

 なんだろうと思っていると餅焼きの道具を春樹とウィル近くに置くと再び厨房に戻り、今度は黒いバケツのようなものを持ってきた。


 なんだろうと見ていると、バケツに付いている蓋を外し、トングで中に入っているのを餅焼きの方に黒くて少しだけ明るくなっているものを入れて行った。


「あの裕之さん。それって」

「あぁ、これは暖房用のものだ。これであったまってくれ」


 春樹はありがとうございますと言って餅焼きの近くに行った。入っているのは予想通り石炭だった。


 手をかざすととても暖かい湯気が自分の手に当たっているのが感じられる。


「あぁ、あったかい。なぁキキ」


 春樹は横にいるキキに笑顔で言うと、それに同情するかのようににゃーと声を出した。


「それにしても、ここにいていてずっとこの吹雪はやまん。怪物が現れたせいで天気が狂ったのかもしれんな」


 裕之は暖かい飲み物を作りながら言った。


「それはあっているが、雪を降らす怪物がここらへんで住んでいる可能性が大だ。大人しいやつもいるが、中には凶暴な奴がここらへんをうろちょろしている」

「ほぉ。なるほど。ちなみになんだが、ウィル? だっけか? おまえさんは何者なんだい? そこらへんの怪物とはえらい違いなのはわかるのだが、なぜ馬のような大きさなんだい」


 裕之は不思議そうにしながら言った。

 

 ウィルは簡単に春樹に説明をしたことをすると不思議そうに「ほぉ」と言った。


「不思議そうなこともあるもんだが、神には感謝だな。もし、ウィルくんみたいな子達がいなかったら人間はもっと崩壊していたさ」


 裕之は言いながら「はいどうぞ。ココアだ」と言ってカップを置いた。


「ずっと冬みたいなもんだから冷蔵庫のように牛乳を外に置いてあるからココアを作ってやるから待っててくれ」

「えっ!」

「大丈夫。あるのは網だけの部屋に置かれているから結構冷えているんだ。もしものために頑丈にはしてある部屋なんだ。だから安心してくれたまえ」


 裕之は少しだけ微笑むとココアを作るためにミルクを探した。


 春樹は少しだけ心配しそうにしたが、ウィルは「大丈夫だ。今ここら辺に化け物の気配はない」と言った。


 待っていると「冷えとる冷えとる」と裕之は言いながら牛乳瓶を持って戻ってきた。そのことに春樹は安堵のため息を漏らした。


 裕之はお湯を沸かしていたのかすぐにココアを作り出すと春樹の前に出した。


「はい。どうぞ」

「ありがとうございます」

「あぁ、はい。おまえさんたちもどうぞ」


 裕之はお皿に入れたミルクをウィルとキキの前に出した。


 キキは久々のミルクで大いに喜び、小さい舌でぺろぺろと飲んでいた。ウィルも同じように飲んでいた。


「それにしても、春樹君。なぜ仮面なんかつけているんだい? 狐の」

「えっ? あぁ、すいません。これはある人からもらって、怪物に顔を覚えられないようにって付けているんです」

「なるほど。ちなみになんだが、春樹君。君はー、なんだか怪物を倒すのに手慣れているように見えるのだが、何回かやったことがあるのかいあ?」


 裕之の質問に母親が浮かび、カップを優しく握りながら母親のことを説明した。裕之はその話を聞いて「そうか」と自分の手を握って深刻そうな顔を見せた。


「まさかそんなことがな」

「はい。だから俺は、母さんを救ってからも怪物を全員消すまで俺は戦い続けているんです」

「……結構責任を感じているんだな」


 裕之の言葉に春樹は返事をした。


「でも、俺はもっと後悔なことを犯しているんだ」

「えっ」


 突然のことになんだろうと緊張が走った。


「わしはな、昔刑事をしていたんだ」

「えっ? じゃあショットガンの使い方が慣れているのは」

「あれは単に趣味でやっていたことなんだ。ちなみに、なぜ俺が後悔を犯したことは、妻を疑ったんだ。浮気にな」


 裕之の話に自分の心臓が鳴っているのが感じたれる。


「どうして?」

「友人が俺の妻が他の男と何か話しているところを見たという話を聞いた。俺はその話を聞いて頭が真っ白になった、そして彼女を追い出した。その後すぐに、彼女は事故にあった」


 春樹は喉唾を飲み込んだ。


「最初は何も感じなかった。だが葬式の時、食事をしている時に友人が俺に近づいた瞬間、隣に座っていた嫁の弟に指を指して言った。”こいつが俺が話していたやつだ”と言ったんだ」

「えっ、まさか。その男って」

「あぁ、そうだ。その男っていうのは弟のことだったんだ。弟は自分の姉ということを友人に話した。友人は顔を真っ青にしていたが、俺はその話を聞いて更に頭が真っ白になった。まさか友人が話していた男が弟だなんて思いもしなかった。もちろんその話を聞いた弟は俺を強く、殴った」


 裕之は言いながら自分の頬を手に置いた。


「弟は周りの人に抑えられながら叫んだ。"俺が姉貴と話していたのはあんたことだ! あんたが何かと疲れていそうだったからどうすればいいかを相談受けていたんだ。あんたのことを思っての相談だったのに、なのに友人から聞いたから浮気だって決めつけやがって、人殺し。刑事の仕事が好きなら姉貴と離婚しちまえばよかったんだ! とね」


 裕之は弱く笑みを浮かばせていた。春樹はその話を聞いて胸が酷く傷んだ。


「俺はその後、刑事を辞め、ここに来た。最初は何もやれる気力なんてなかった。俺の勘違いと話を聞かないで追い出した。……最低だろ、わしは」


 裕之は軽く笑うと、ココアを一口飲んだ。


「ちなみに、この店は」

「昔嫁がよく言っていたんだ。昔私、カフェを開くことが夢だったんだぁとな。それで、カフェのことを勉強をして、この店を立ち上げた。そして」


 裕之は立ち上がるとカウンターの近くに行き、何かを持って再び座った。


 見てみると写真立てを春樹の前においた。見てみると、そこには優しく微笑んでいる女性が写っていた。


「彼女がわしの妻だ。これは昔、私が撮ってあげた一枚だ。これを壁に飾って仕事をしていたんだ。彼女も一緒に働いている感じになるからね。一種の罪滅ぼしみたいなものだ。私がカフェで働いているのは」


 裕之はそう言うと、ふぅと息を吐いた。


「すまないね。ここに来てこんな暗い話をさせてしまって」

「いえ、大丈夫です」


 春樹はそう言うと、何をいえば良いか分からずココアを一口飲んだ。


 裕之は「そろそろ炭を入れなければな」と言って立ち上がり、厨房の中に入った。


 春樹は話の内容に少しだけ胸糞悪い感じがした。勘違いで家を追い出し、その次に勘違いをされたまま事故あって亡くなる。


 それをされた奥さんの弟さんは怒るのは正しいことだ。


「なぁ、裕之よ」


 ウィルの声になんだいと返事をした。


「弟とは、その後どうなった」

「おっ、おい。ウィル」


 ウィルの質問に春樹は止めようとしたが、裕之は大丈夫と一言言うとその後どうなったのかを話した。


「あの後はほとんど絶縁状態になったが、一度だけ弟さんがわしの店に来てくれたんだ。どこから聞きつけたかは教えてくれんかったが、店の雰囲気とか周りを見て姉貴の夢を代わりに叶えてくれたんですね。ありがとうございますと頭を下げたんだ。聞いてみると、弟にもこのことを話していたんだとさ」


 裕之は本当におしゃべり好きな子だったんだと笑顔で言うと「飲み物をおかわりするかい?」と声をかけた。


「お願いします」


 春樹はコップを渡した。


 渡すと、もう一度だけ外を見た。外はいつまでも吹雪が降られ続けられ、晴れる様子が一切感じられないほどだった。


「怪物が滅ぶまで晴れんよここは」


 裕之は言いながら暖かいココアを机の上に置いた。


「他のところに行けば晴れや曇り、雷、雨が来るはずだがそんなことはここでは一切でないはずだよ。私がここに住んでいて思った」


 裕之は窓の外を眺めながら言うと、コップに入っている水を飲んだ。


「あっ、飲み終わったら部屋に案内をするよ」


 裕之の言葉に春樹は「はい」と返事をした。


 ココアを飲み干すと、左奥にある扉を開けた。


「ここから部屋に向かうんだ」


 裕之はそう言って春樹と一緒に階段を上がって行った。


 2階につくと、すぐ近くにある扉の鍵を開けた。


「さぁ、ここだ。好きに使ってくれたまえ」


 中に入ると、中は茶色の床とキャンプに使うランタンと布団が一式、そしてだけ置かれていた。


「ここを好きに使ってくれ。あっ、鍵も渡しておくから。それからゆっくり休みなさい。疲労が詰まっているはずだからね。それと、歯磨きとかするときは、洗面台の横に水のペットボトルを入れているからそれでしてね」


 裕之はそう言うと、鍵を渡した。


「それじゃあ私は少しだけ、隣の部屋で休ませてもらうよ」


 裕之は笑顔で言うと、隣の部屋に入った。


 春樹とウィルは深いため息を漏らすと部屋に上がり、寝転んだ。


「あーー、今日も疲れた」

「あぁ、ただ吹雪とはいえ、この家の中でも油断は禁物だ。あの化け物どもが歩き回っているとなると、結構危険だ」

 

 ウィルは窓を見つめて言った。


「そうだな。でも、こうして温まる場所とかがあって嬉しいよ」


 春樹は暖炉に手を翳して言った。


「まぁそうだな。だが」


 ウィルはそう一言呟くと壁に顔を向けた。


「今日は吹雪が強いな」


 そう言うと体を丸めた。春樹は荷物を置くと、大きく息を吐きながらその場に寝転んだ。冷たい藁の感触を感じながらも、キキを自分の上着で寝床を作り、その上にタオルを二重にさせて包み込ませた。寒気を感じながら洗面台に行った。


 洗面台の横には裕之の言うと通り水のペットボトルがある。見る限り開けられていない新品だった。それを開け、何回かうがいとすると部屋に戻り、布団に被るとスヤスヤと眠気が襲い、そのまま眠りこんだ。



「おい! 何をやっているんだ!」


 ウィルの怒号の声に春樹は飛び起きた。周りを見渡したがウィルはいない。


「お願いだ、死なせてくれ」


 隣から裕之の声を聞いた春樹は駆け足で隣の部屋に向かった。


 入ると、そこにはウィルが裕之を取り押さえるかのようにしていたが、裕之は抵抗をしていた。


「おい! ウィル。どうしたんだよ」


 春樹はウィルに向かって言うと、ウィルは取り押さえながら説明した。


「こいつが持っていた銃で死のうとしたんだ!」

「えっ!!」


 春樹はすぐにそばにあった銃を取り上げた。


 ウィルは手を離すと、裕之は泣きながら「お願いだ、死なせてくれ」と言った。


「もぉ、死にたいんだ。妻の、妻のところに行かせてくれ、頼む、頼むから」


 裕之は泣きながらウィルと春樹に向かって懇願した。


「……少し眠れ」


 ウィルの言葉を聞いた裕之はそのまま眠りについた。


 春樹は突然のことにあまり上手く状況を飲み込めていなかった。


「ねぇ、何がどうでこうなったんだ?」


 春樹は思わずウィルに声をかけた。


「俺がちょうど、起きた時に死と悲しみが混ざった感情が隣から感じたんだ。それがとても強いから思わず見たら、先ほどの有様だ」


 ウィルはやれやれと言いながら横にある瓶を見た。小さな机の上には大きいお酒の瓶が置かれていた。


「これでも飲んだのか?」


 ウィルは瓶を見つめて一言言った。


 飲んで酔っているうちに過去のことが蘇り、過去のせいで奥さんを死なせた。そのことで死のうとしたんだと考えた。


 春樹は悲しい気持ちになりながら、近くにあった毛布を掛けた。


「それだけ、後悔をしていたってことだよ」


 春樹は一言呟いた。足元に何か感覚を感じ、見てみるとキキも声を聞いたのかいつの間にかいた。


「あぁ、キキ。大丈夫だ。驚かせてごめんね」


 春樹は撫でると、また何かあったら溜まったものじゃないと感じ、ウィルに見張るように言うと自分用の毛布と荷物を持ってきた。


「また何かあったときには最悪だからな。起きるまでここにいよう」

「あぁ、食べ物もパンというものがあるからそれにしよう」

「あぁ」


  そう言いながら、暖炉をそばに置いて何があった時のための剣を握りながらただ暖炉一点を見つめていた。


 2時間後、いつの間にか眠ってしまった春樹はすぐに起きた。


「あぁ、起きたか」

 

 そばにいたウィルは平然としながら座っていた。周りを見渡したが裕之はいなかった。


「おい! 裕之さんは?」

「あぁ、あの男は今料理を作っている」


 ウィルは平然と答えていたが、春樹にとっては先ほどあったことがフラッシュバックして不安が高まった。


「そんなこと言っている場合じゃ」

「大丈夫だ。それよりもほら、帰ってきたぞ」


 ウィルは扉を見つめていった。みるとそこには申し訳なさそうな顔をした裕之がお盆を持ってたっていた。


「……おはよう、と言ってももう少しで夜だがな」


 裕之はそう言いながらお盆を机の上に置いた。甘い香がし、思わず見てみるとパンケーキだった。


「絶望する前の卵がまだあったんだ。だから、最後に来た君に食べさせてあげようと思ってさっき作ったんだ。おまけにはちみつもね」


 裕之は言うと、ゆっくりと春樹とウィルに向かって土下座をした。


「先ほどはすまなかった。死にそうな所を助けてくれて感謝をしている」

「あぁ、いえいえい。むしろ、ウィルが気づかなかったらなんですからウィルにお礼を言ってください」


 春樹はウィルに目をやりながら言った。


「あぁ、ウィル君にも感謝をしている。本当に本当に、ありがとう」


 地面にめり込むかのような感じで土下座をしていた。


「いや良い。ただ正常に戻っていただけでよかった」

「あぁ、寝たら完全に戻ったよ」


 裕之は言いながら「食べてくれたまえ」と言って、自分用のやつも食べた。


 春樹はいただきますと言うとパンケーキを齧った。とても甘く、心が穏やかになれるような味だった。


「おいしいです!」

「それはよかった。久々に作ったよ。パンケーキだなんて」


 裕之はコーヒーが入ったカップを一口飲んだ。


「だけど、今日は少しだけ強いな」

「えっ」

「いつもなら、こんな吹雪をするのは滅多にないんだ。なんでだろうね」


 裕之はそう言いながらパンケーキを食べ続けた。


 春樹はそうなのかと思いながらパンケーキを食べた。


「なぁ、ウィル」

「ん?」

「今って」

「怪物の共の気配はしない。だからまだ安心はして良い頃合いだ」


 ウィルはそう言って裕之が持ってきたご飯に齧りつづけた。


 安全ならまだいいが、少しだけ不安を感じながら食べ続けるといつの間にかパンケーキを食べ終えた。


「じゃあ、そろそろわしは寝ようとするかの」

「良いですけど、寝るとしたら一緒ですよ。先ほどのことが起こるなんてとんでもないですからね」


 春樹の言葉に裕之は少し微笑んで「はいはい」と返事をした。


 歯磨きをし、布団を持っていき、春樹は裕之の隣で布団にくるまりながらキキとウィルと一緒に寝た。


「春樹!!!!!」


 ウィルの叫び声に飛び起きた春樹はまさか裕之が死のうとしたのかと思ったのだが、当の本人は銃を握り締めていた。


「どっ、どうした」

「外を見ろ。ゆっくりだぞ」


 ウィルの言葉に春樹はただ事じゃないことを感じ、カーテンをそっと退かすと驚愕の声が出てしまいそうだった。


 そこには、数時間前に倒した怪物が数匹建物の下にウロウロとしていた。


「なんでここに」

「わからない。だが、ここを一旦逃げなければならない。もう一匹が今ドアを破壊しようとしているのかいじっているんだ」

「マジかよ。キキ、カバンの中に」


 春樹は剣を握りしめるとカバンの中にキキを入れ、裕之に行きましょうと声を掛けた。


「あぁ、わしはいつでも大丈夫だ。また来たらでも他のところにでも移るさ。だが今は命を最優先じゃ」


 そう言いながら銃を握った。


 すると、外からドアを壊される音が聞こえた。


「入ってきやがったか」


 ウィルはそう言うと、裕之は逆の出口を案内してくれた。部屋を出るとさっきとは逆の方向の道に行き、扉を開けた。


 すぐにとても寒く、冷たいのが顔に当たった。目の前には長い階段が下まで続いていた。


「途中からは俺が遠くまで運ぶ。さぁ、乗れ」


 ウィルの言葉に春樹はすぐに鞄を前にし、裕之をすぐに自分の後ろに背負わせた。


「しっかり捕まっていろ」


 ウィルの言葉に、春樹は毛を。裕之は春樹のことを掴むとウィルは駆け出した。


 吹雪の中、何度も顔に張り付いてくる雪にイライラをさせながらもウィルは出来るだけ距離を離そうとしたが、急に走るのをやめた。


「どうした」


 春樹はそう言うと、ウィルは「嵌められた」とつぶやいた。


「えっ」

「さっきの奴らは囮だ」


 ウィルの言葉と同時に、目の前にから先ほどの化け物が出てきた。


「マジかよ」


 春樹は剣を握ると、怪物は襲ってきた。ウィルはすぐに避け、そばにある建物に春樹は鞄と共に裕之を隠した。


「裕之さん。キキと僕のカバンよろしくお願いします」

「えっ! おい!」


 裕之は止めようと声をかけようとしたが、春樹は襲ってくる怪物を倒して行った。


 今目の前にいた怪物を倒しても、先ほど囮でいた奴らも次々と来た。


「くそっ。また」

「いや、は今きたぞ」


 ウィルの言葉に振り返ると、そこには大きさが違う怪物が現れた。


「ボス居たのかよ!」


 春樹がそう言うと、怪物は鋭い爪を振り翳した。すぐに避け、体勢を整えて暴れさせないようにしなければと剣を握りしめ、足を目掛けて剣を振った。


 足を切り落とすと悲鳴をあげ、足音を辿って腕を振り下ろした。


 音と共に地面も割れる音が響き渡る。


 ウィルは耳を潰そうと背中に飛びついて、耳に近づこうとすると仲間がそれを阻止してきた。


「くそっ! 春樹! この際だがもぉ銃に形を変えて構わん! そうしなければこいつを倒せん」

「わかった! ありがとう」


 春樹は剣をマシンガンに改造させ、耳に向けて発砲をした。


 だが、後少しで当たりそうだったが仲間が盾になってボスの耳を守った。


「くそっ」

 

 春樹は前々からくる化け物を銃で殺し、再びボスに向けて発砲をしたがボスは腕で春樹を吹き飛ばした。


「うっ!」


 そばに倒れている車にぶつかり、銃を離してしまった。


(やばい。今回のやつは強すぎる)


 春樹はそう思いながらもすぐに立ち上がり、銃を握ると再び怪物に近づこうとしたが手下の怪物が襲ってきた。


 そいつを倒し、再びボスの方に向かった。吹雪はます中、そいつは音を頼りに春樹を攻撃する。


 春樹は避け、頭に向けて銃を撃つと手下が銃弾を庇った。次の瞬間、ボスは春樹を捕まえた。


 力が強まり、春樹は息を吸うにも苦しさを感じていた。その拍子に武器を落としてしまった。


「春樹!」


 ウィルは助けに行こうとしたがそれを手下は襲いかかって行った。


 ボスの怪物はその間に春樹を食おうとすると、銃弾の音が響き渡り、ボスが悲鳴を出した。

 

 そして、春樹を手から離した。春樹は何事かと思ってみると、そこには裕之が銃を構えていた。


「今のうちに早く!」


 裕之の言葉に春樹はすぐに地面に落ちた武器を拾い上げ、怪物に向けて放ったが怪物は自分の手で阻止をし、再び鳴き声を上げる。


 春樹は駆け足で裕之のそばに行った。


「ありがとうございます裕之さん。でも、なんで」

「君たちが戦っている間に呑気に見ている奴がおるか! キキは安全な場所にいるから安心しろ!。わしも参加する」


 裕之はそういうと、次々と手下が近づいてきた。


 ウィルは2人に近づいて叫んだ。


「おい! 手下が次々とそっちに向かっていく!」


 ウィルの言葉に見ると、数匹の手下が近づいてきた。春樹はすぐに銃口をそいつらに向けて放ったがすぐに避けてしまう。


 裕之もすぐに銃口を放ちながら避け、駆け足で怪物のボスに向かっていった。


「気をつけてください! 相手は音に敏感です!!」


 春樹の叫びに裕之は返事をするとボスに向かって銃を放った。銃の音と共にボスの頭に穴が空いた。


(やった! ボスを倒せた!)


 春樹は安心をしながら手下を殺そうとすると、いつの間にか背後にいた怪物が刺し殺そうとしてきた。


 やばっと思っていると、ウィルがすぐに擁護をしてくれた。


「よそ見は禁物だ」

「ありがとう! ウィル」


 春樹は礼を言うと、銃を健の形に戻して戦いを続けた。


 数分後、ようやく全ての怪物を倒し終えた。


「はぁ、はぁ。ようやく終わりましたね」

「あぁ、じゃああの場所に戻ろうとするか」

「そうですね。ウィルは大丈夫か?」


 春樹はウィルをチラリと見た。


「あぁ、だがまさか囮まで使われるとは思わなかった。今回も含めて色々と勉強だな」

「まぁ、確かにそうだな。じゃあ帰ろう」


 春樹はそう言うと、2人もそうだなと口にした。すぐに鞄を取りに行き、カバンの中にいるキキが無事かを確認した。


 キキは泣きながら春樹に抱きついた。


「よかった。怪我はしていないな」


 春樹はキキの体を見て確認をすると再びカバンの中に入れてウィルたちの方に向かった。


 店に戻ると、扉が爪で壊されていた。


「うわぁ、すげぇ壊されている」

「これは仕方ない。ともかく、朝まで保つために扉を封じとこう。そのための道具もあるから」


 店の中に入ると、鞄をソファに置いて裕之が持ってきてくれた板と釘でドアを塞いだ。


「これでよし。あとは残りのソファで塞いで、明日を迎えるとしようか」

「そうですね。それに、そろそろ眠りましょう。裕之さんだって疲れていますでしょう」

「あぁ、久々に動いたものだ」


 2人で話しながら2階に行き、それぞれの荷物を置くと布団を敷いた。


 歯磨きをし、何も変なところがないかを再び確認すると吹雪の音を聞きながら眠りについた。



 朝になり、起き上がると裕之がいないことに驚いたがそばにいたウィルが「大丈夫」と声をかけた。


 すぐに扉から美味しい匂いが漂ってきた。


「さぁ、甘いもんとしょっぱいもんを食べて気合いをつけてこい! 母親の仇を取るんだろ」


 裕之はお盆の上にのせたご飯を春樹の前に差し出した。

 

 お盆の上には水と卵が乗っているパン、そして昨日のパンケーキが置かれていた。


「ミルクはもぉパンケーキとキキのご飯で使い終わった。存分に味わってくれたまえ」


 裕之は笑顔で言った。


 春樹は感謝をしながらいただきますと言い、お盆に乗っている朝食を食べた。


 しょっぱいパンを食べた後に甘いパンを口の中に入れていく。隣でキキはミルクをぺろぺろと飲んでいた。その隣ではウィルは隣で裕之が解凍をした肉を食べていた。


 全て食べ終わり、歯磨きをすると支度をした。外は昨日よりは弱めの吹雪となっていた。


「じゃあ、ここでお別れです。ありがとうございました」

「あぁ、俺も久々に話せたからお礼を言う。ありがとうな」

「いえ、久々に甘いものとか食べられて嬉しかったです……それと、お願いがあります」


 春樹の言葉になんだいと裕之が声をかけた。


「絶対に死なないでください」


 春樹の真剣な眼差しと言葉に、裕之は一瞬だけ目を見開いたがすぐに微笑んだ。


「あぁ、そう言ってくれてありがとう。お前さんもしなんようにな」


 裕之の言葉に春樹も元気よく返事をした。


「さて、そろそろ行くとする。裕之よ。達者でな」


 ウィルはそういうと、歩き出した。春樹もではと一言いうとウィルと共に立ち去って行った。

 


 


 

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