side≪???≫
「どうしたの?」
いちばでうずくまっていたわたし。やさしくかけられたこえはだれのもの?
「ひとりぼっち?まいごなの?」
ちがう。かえるところもひともないの。このこはしあわせそうだなあ。
「そうだ!いっしょにあそぼ?」
あそぶ?なんで?わたしなんかと、あそびたいの?
まっくろな、”いみこ”のわたしと。…そんなわけないよね。わたしはひとりぼっち。おかあさん、おとうさん、もしわたしがまっしろなこどもだったら、ぎゅーってしてくれたのかな。
「え!?ないちゃった!?えーっと、ごめんね!」
ふるふると、首を横にふる。このこがごめんなさいすることじゃない。わたしのせいだもん。
ぐぅー…
あ、おなかがすいてたから、おなかがなっちゃった。はずかしいなあ…
「もしかして、おなかすいてるの?じゃあ…はい!くっきーだよ!」
そんなのでおなかいっぱいになるわけ…おいしい。
「おいしい?いっぱいたべてね!いくらでもでてくるから!」
…ほんと?ほんとに?いいの?たべてもいいの?なんでそんなにやさしいの?
「…なんで?」
はじめて、こえがでた。
「なんでって…ともだちでしょ?」
「ともだち?なあに、それ。」
「いまおはなしして、いっしょにくっきーをたべたでしょ?だから、ともだち!」
なに、それ。へんなの。でも…
でも、あったかいなあ。くっきーをとられないし、かくされないし、すきなだけたべていいんだ。だれかとたべられるんだ。おはなししながら、ゆっくり。
しあわせだなあ。
「あ、でもさっきなかせちゃった。」
「だいじょうぶ。あなたのせいじゃない。…ところで、おなまえ、なんていうの?」
「え、えーっと…」
おんなのこはすこしまよったあと、わらって
「エリー!!」
と答えた。たいようみたいだった。
「あなたは?おなまえ、なあに?」
「…サリーシャ」
「じゃあ、サリーだね!」
「…うん。」
はじめてよばれた、わたしのなまえは、とてもかわいくおもえた。
…ただ、過去に浸っていた。私は、いつか見た彼女のために、この仕事をしている。彼女が死なないように、彼女が幸せであるように。彼女が笑っていられるように。
そのために、殺す。彼女を傷つけようとする者は許さない。誰であっても。それは彼女のためであり、私のため。
願わくば、彼女の笑う未来の、ほんの隅でもいいから、私も一緒に笑っていたい。
これまで何にも不満を持たず、ただ生きてきた私の、人生をかけた我儘。
神様、これくらい、叶えてくれたっていいでしょ?
それとも、神様は呪われた黒髪はお嫌いかしら?
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