第7話

「エリーシア、終わった?」

「ええ、話を続けていいわよ。」

「ありがと。それで?なんで掟を破ったの?」

「えっと、実は…」

聞くと、二人の森の精、改めマリとメリは、森の精霊の中でもまれな、強い聖力を持って生まれてきたらしい。オミの二番、三番目くらいの。オミがいなくなったあとの一族の柱だということで、森の中で一番大きい、生命の樹と呼ばれる木の中で、大切に大切に育てられたらしい。しかし、安全な生活は時に退屈になる。二人もそうだったようで、自分たちの生活がつまらなくなり、なぜか木の見張りをしているはずの精霊から、お世話係の精霊まで、みんな木からいなくなった隙に、逃げ出して森の外に秘密基地をつくったらしい。

…この子達、生きる力がすごいわね。お嬢様のはずなのに、自分たちで秘密基地を作れちゃうのね。

感心していると、オミが頭を抱えながら言った。

「多分その、みんな木からいなくなったときって、私がみんなにエリーシアの話をしてるときだ…」

「…え?私?」

なんでここで私が出てくるの?

「さっき、みんなでエリーシアのところに行ったって言ったでしょ?その話を、みんなにしてたの。こんな子がいるんだけど、会いに行かない?って。」

はぁぁぁぁぁ…

そんなの、責任感じちゃうじゃないっ!?

もうそれ、私のせいって言ってるもんじゃない!?

あー、でも、オミが勝手に言っただけだもんね!私、関係ないもんね!

「それで、会いに行ったあと一回帰ろうと思ってたんだけど、エリーシアが想像以上に懐いてくれて…それでそのまま契約した…。」

はい!私のせい!それはもう私のせい!

「…確かに、オミに初めてあったとき、なんかすぐ帰りそうだったから、めっちゃ引き止めた覚えはありますけど…」

「うん。それ。あんな帰るの渋られるとは思ってなくて…」

ごめぇぇぇぇぇんっっ!!

もう完っ全に私のせい!こんな小さい子を、森に二人にしたのは、私ですっ!!

「ごめんなさい…。私のせいですね。あまりにもオミと気があったものですから…。」

「うんっ!あのころのエリーシアは無邪気で、元気で、遊ぶの楽しかったなぁ。」

「今は楽しくないって言うの?」

「たのしいけどー。なんかダメって言うことが増えたし〜。」

「それはほんとにオミが危ないことするからでしょっ!!」

そんなこんなでケンカが勃発。もちろんノリ。こんなことよくあったし〜。最近は無かったから楽しい〜。

とか、のんきに思っていると、メリが口を開いた。

「…お二人共、楽しそうですね。そんなふうに自由に旅をするの、楽しいんだろうなぁ。」

「じゃあ、いっしょに来る?」

すると今度はマリが、

「あ…行きたいんですけど、実はもう一人、森に住んでて…その子が気になります。」

え…?そんな子、見たかしら?

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