第6話

「だって、あなたは、私達の森の大精霊様、オミ様ではありませんか!」

「え、大精霊様!?ど、どこに行ってらしたんですか?」

んー…?話が上手く飲み込めない。バルは、精霊って言ってたはずなのに…。オミはただの森の精じゃないってこと?

「あー…。うん、まあ、私が大精霊なのは大正解なんだけど…。」

正解だったのね!?なんで今まで黙ってたのかしら…?

チラチラとこっちに目配せしても、なにもわかりませんわよ。

「オミ、どういうこと?私は“精霊”としか聞いていませんわよ。『森にいると暇だから、一緒に遊ぼ!』っていきなり来て、なんだかんだで使役契約まで結んで…。この子達を放ってきていたの?」

「実は…森の精みんなでエリーシアとお友達になりにいこう!って話になって…まさか連れて行き忘れがいるなんて知らなくて…ほんとごめん!!!」

あらあら。オミはだいぶ鬼のようね。こんなに小さい子達を森にふたりぼっちだなんて。

「もう…点呼をとるなり、行く前に確認するなりあったでしょう?ほんとにもうオミは…。」

「あ、いえ、あの…。私たちもごめんなさいっ!」

「あら、あなたたちは何も悪くないのよ?オミに置いて行かれちゃっただけなんだから。」

「あ、いえ、その…。」

「ほかにも何かあったの?」

まあ、原因はおおかたオミのことでしょうけど。

「実は…私たち、みんなが消えた夜は、森にいなかったんです。」

その言葉に、オミがいち早く反応し、険しい顔つきになった。

「どういうこと?私たちが出かけたとき、あなたたちはせいぜい12そこらよね…?森の掟で、15を超えるまでは森の外に出てはいけないと、何度も言い聞かされたはずよ?それとも、だれも教えてくれなかったのかしら?」

「いえ、掟は…知ってました。」

「じゃあ、なんで…?」

「あの、ちょっと出来心で…」

今までしゃべらずうなずいていただけの、さっき話した感じたぶん超元気な子が口を開いた。

…うーん。わかりにくいわね。頭がこんがらがりそうだわ。

「ちょっといいかしら?」

「なーに?エリーシア。いま、大事な話、してるんだけど。」

「いや、そろそろ二人の名前を聞かないと、ちょっとわかりずらいなーって。」

「「私たちですか?」」

「そう、名前。」

「えーっと、名前…」

「うーん、名前か…」

「「ないですね。」」

あ、二人もなんだ。私が今まで友達になった(使役した)精霊たちには、みんな名前らしい名前がなかった。だからみんな私が名付けてたんだけど…。

「うーん…呼びにくいから、私が名前つけてもいい?」

「「精霊姫さまから名前をいただけるなんて…!!ぜひつけてほしいです!」」

うーん。名前ねえ…。この子達が双子なら、ペアみたいな名前にしたいなあ。

「二人は、双子なの?」

「あ、いえ、二歳差の姉妹です。私が姉で、元気なほうが妹です。」

「あら、姉妹だったの。よく似てるわね。」

「私が年の割に童顔で…。妹は逆に大人びてるので…。」

うーん、姉妹…。童顔ってかわいいわよね…。

「うーん、じゃあ、今日からは、お姉ちゃんのほうがマリで、妹のほうがメリね!」

「私は…マリ。」

「私がメリ!!」

「そう。これからよろしくね。」

「「はい!精霊姫さま!!」」

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