第38話 ショッピングモールでの買い物 Part2
「とりあえず、そろそろお昼だしご飯食べようか?」
「そうだな。ここはフードコートに行くか」
「いいね、フードコートでジャンクフードでも食べようかなあ。普段あんまり食べないもの食べちゃおうっと」
運よく?フードコートは空いている。俺達は席を確保して各自好きなご飯を調達しに行くことに。俺は無難にラーメンを注文した。受け取って席に戻ろうとしたが、自分の席がどこにあるかわからなくて探し回ってしまう。料理を受け取った前田が、キョロキョロしている俺に気づいたのか手を振ってくれていたのでようやく席を把握することができた。
「迷っちゃった?」
「ああ、どこの席を取ったのか忘れちゃったよ。フードコート広いからな」
「ふふふ、なんかあれを思い出したよ。蛙化現象って知ってる?ネットで話題のやつ」
「聞いたことないな。どういう内容なんだ?」
「好きな男の子のことが冷めちゃう瞬間、みたいなことを蛙化現象っていうみたいなんだけど、その例として、彼氏がフードコートでキョロキョロしてて冷めた、っていうエピソードが話題になっててね。そんなんで冷めるか? って議論になってたの。それを思い出して笑っちゃった」
「ああ、まさに俺のことだな。かっこよく真っ直ぐ来て欲しいっていうことか?」
「そうなんじゃない? まあ色々積もり積もっての話だと思うけどね。流石にそれだけで冷めるのは厳しすぎると思うよ」
「蛙化現象って普通にある話なのか?」
「私はわからないけど…… まあ彼氏に冷めたっていうエピソードが些細なことだった友達とかはいるかな。彼氏のかけているメガネが似合わなくて、とか」
「なるほど。まあ女心と秋の空っていうもんな」
「私はあんまりそういうタイプではないと思うけどね? なんとなくだけど」
「今はそうでも彼氏ができたら変わるかもしれないぞ?」
「まあ、そうだけど……ないと思うけどなあ。ねえ、男の子もそういうエピソードってある?」
「いやあ、あまり聞かないな。ふとしたことで好きになった、だったらあるかもしれないが。寝顔が可愛くて、とかな」
「ああ、そっちは普通にありそう。友達だと思ってたのにふとした瞬間に異性であることを意識して…… とかだよね?」
「そうそう。俺は経験ないが、話に聞いたことはある」
「今井くんはどういう女の子が好きなの?」
「うーん、中学の時に付き合った子は幼馴染だったから、タイプだったとかではなく自然な流れで、という感じだったしなあ…… あんまりタイプというタイプがあるのかはわからない」
「そうなんだ。芸能人とかYoutuberだとどういう人が好き?」
「そうだなあ。普段見ているのは男グループの動画が多いから、難しいな。何人か名前は出てくるが。知ってるか?」
俺は芸能人とYoutuberの名前をあげる。
「なるほど。なんというか、幅広いって感じだね。可愛い系から綺麗系まで。タイプはこう、みたいなのはない感じなのかな?」
「そうかもしれないな。前田は好きな芸能人とかYoutuberはいるのか?」
「うーん、好きな人はいるよ」
前田は何人かの有名人の名前をあげる。
「そういうタイプか。顔というよりは頭がいい人が好きなのか?」
「そう! 誰にも話したことなかったんだけど、私頭が良い人が好きなんだ。勉強が出来るというのも良いけど、地頭っていうのかな、こう切れ者って感じの男の人が好き! あ、これ内緒にしてね。恥ずかしいから」
「なるほどな。前田の好きなタイプがわからないって話題になっていたから一つ謎が解けて良かったよ」
「そっか、そうだよね。全員タイプじゃないんでってフってるから、じゃあどういう人がタイプなんだってなるよね。自慢じゃないけど私学校の成績結構良いからさ、頭が良い人が好きっていうと変な誤解をされちゃいそうだなって。学校の成績が1番だから付き合ってほしいとか言われたら困っちゃうからね。だからタイプに関しては涼子ちゃんにも言わないようにしてたんだ。変に伝わって広がらないようにね」
「世の中には色々なタイプの頭の良さがあるもんな」
「そうそう、そういうことだよ。よくわかってるね」
俺達は食事を終え、また散策を開始した。今度は2Fを見て回るが、服屋や子供向けの玩具などを販売する店が並び、中々良い店が見つからない。
「あ、ここはどうかな?」
前田が指差したのはアロマのお店だった。良い匂いがする、ということは知っているがそれ以外は全くわからないな。とりあえず前田について行く。
「アロマってね、集中力を高めたり、睡眠を向上させたり出来るんだよ。私はお風呂でリラックスしたい時に使っているんだ」
「へえ、いいなそれは。値段的にもそれほど高くないな」
「うん、高いのはすごく高いけど、結構安いのも多いよ。好きな匂いとかある?」
「好きな匂いか…… 甘い匂いが好きかなあ」
「じゃあこれとかどう? オレンジの匂いなんだけど」
「良い匂いだな。この匂いは好きかもしれない」
「じゃあこれでどうだろう。棒を瓶に刺しておけばしばらくの間空気中にアロマが広がっていくんだ。部屋に置いておけば部屋が良い匂いになるよ」
「おお、アリだな。勉強が捗りそうだ」
「うん、やっぱ匂いがいいと気分が良くなるからね。じゃあプレゼントはこれにするね」
「ありがとう。使わせてもらうよ」
会計を終え、袋に入ったアロマセットを受け取る。これは新しい発見をしたな。効果があればハマりそうだ。勉強にも使えそうだし、FPSにも使えそうなのもいい。疲れた時の睡眠にもだ。そう考えると熱いかもしれない。
「ちゃんと使ってね。ちなみに私もオレンジは好きな香りなんだ」
そういう前田の笑顔は眩しかった。
「そうだ、伊藤さんへのプレゼントも買わないと。何を買おうかな?」
「俺も伊藤の趣味はわからないからなあ…… 伊藤とも一緒に買い物に行ったらどうだ?」
「…… そうだね。それも考えておくよ」
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