第36話 デートのお誘い 再び
夜、いつも通りFPSゲームで遊ぶ。
「こんばんはー」
「こんばんはー」
一通り対戦を終え、休憩時間になる。雑談の時間だ。
「あ、そういえば前お話しした盗撮事件、無事解決しました。なんとか盗撮のシーンを抑えることができまして」
「おお、解決したんだ。よかったよかった」
「スマホでの盗撮だったの?」
「それが、盗撮用のカメラ付きのメガネでした。今時はそんなものもあるんですね。びっくりしましたよ」
「メガネにカメラが付いているんだ? すごいハイテクだね。よく見つけたね」
「というかそんなものを発売しているのも怖くない? 完全に犯罪用だわ」
おなじみのAKIRAさんとマミさんが話に付き合ってくれる。
「こちらも盗撮用カメラを使って怪しい動きをしている人がいないかを探したんです。そしたらメガネをタッチしている人がいて。それでなんとかわかりました」
「そのために盗撮用カメラを買ったんだ? すごい行動力ね。でもそのカメラは捨てないとダメよ? 彼氏の家に遊びに行ったらそんなものを見つけたとなったら…… 即破局だからね?」
「ええ、大丈夫です。そこは気をつけます」
FPSを1時間きっかりで終え、次は学校の勉強だ。夏休み前にも関わらず授業のスピードは遅くなることはない。夏休みの宿題はどれくらい出るのだろうか…… 恐怖しかない。去年の夏休みを思い起こすと、なかなかハードな量が出されるだろう。また前田に教えてもらうか…… それが原因で嫉妬されるくらいの天才少女だ。きっと優しく教えてくれるに違いない。しかし、頼ってばっかりも格好悪いな。少しは自分で頑張ってみるか。
大人しく宿題をこなしていると、ブルル…… スマホが震える。また前田からの電話だ。
「もしもし、どうした?」
「ごめん忙しかった? 大丈夫だが」
「よかった。今回の件、本当にありがとうね。一時はどうなることかと思ったけど犯人も分かったし、もう心配なくなって元気出たよ。お礼に何かプレゼントさせてくれない? 一緒に買い物に行けたらいいなと思ってるんだ」
「プレゼントか。別にそんな気にしなくていいんだけどな」
「そう言われても私が気にするからね。まあ感謝の気持ちというやつです。かなり色々してもらったからね。」
「そうか。ならいいが、俺は全くわからないぞ。欲しいものも特にないしなあ……」
「じゃあショッピングモールで歩きながら探したらいいんじゃないかな? 私が何か見繕ってあげるよ」
「ああ、それなら大丈夫だ。いつにする? 次の休みは……日曜日が休みの予定だがそっちはどうだ?」
「私も大丈夫。じゃあ日曜日、ショッピングモール集合で。朝からでいいよね?」
「ああ、わかった。じゃあ10時集合にしようか。10時ならどのお店も空いているだろう」
「そうだね、了解。じゃあ木曜日にね」
電話を切ってから致命的なことに気づく。遊園地に行った時と同じ服しかまともな服の持ち合わせがない…… また伊藤にお願いするか。
次の日に伊藤に事情を説明する。なんだかんだと文句を言われながらもまた付き合ってくれる優しい伊藤だった。
「意外と他の人の服を探すのって楽しいかも。私こういう仕事向いているかもしれないわ」
「新しい世界が開けたようで良かったよ。将来の仕事になるかもしれないな」
「まあ、もうちょっと色々な服から選びたいけどね。予算が少なすぎるのよ」
「それはすまない。高校生のお小遣いの限界だ。服に使う金がないんだよな」
「夏休みになったらもっと私服が必要でしょ? 何着か買っておかないと、と考えると、安いのでカバーするしかないから仕方ないわね。ちなみに、なんとなくどんな服がいいかわかってきた?」
「いや、全くわからない。伊藤に言われるがままに着ているよ」
「……今後が思いやられるわね……」
「まあ大学生くらいになれば自然とわかってくるんじゃないか? バイトしてお金を貯めてファッションに費やす、そういうオシャレな大学生を目指すよ」
「本当でしょうね? ゲームとかギャンブルなんかにお金を費やすダメな大学生にならないでよ?」
「しかしもう夏休みだな。夏休みの宿題が恐怖だよ」
「露骨に話を逸らしたわね。まあいいけど…… 宿題なんて簡単よ」
「伊藤は勉強得意なのか?」
「いや、全くダメ。でもうちのお兄ちゃんが頭が良いの。だから教えて貰えば万事解決ってわけ」
「おお、仲間だ。安心したよ。これで伊藤も成績優秀だったらどうしようかと考えていたところだ」
「伊藤も? ああ、前田さんね。あの子は特別でしょ。学校全体でも上から何番目、とからしいわよ」
「そんな賢そうには見えないけどな。見た目だけなら伊藤の方が賢そうだ」
「失礼ね。まあ人間重要なのは見た目じゃないし。それか猫を被ってるのかもよ?」
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