第32話 学校1の美少女は優しい

予鈴がなったので俺と伊藤は教室に戻る。溝口と前田は…… お互いに友達と会話している。もう問題は解決したのだろうか?とりあえず授業が始まるので後で確認しよう。


ブルブル。授業中にスマホが震える。ちらっと確認すると前田からのLINEだ。授業中だが気になって仕方がない。

「溝口くんと話したよ。盗撮の件、ごめんねって」

「そうか。解決したのか?」

「うん、もう2度とやらないでね、って言った」

「それで大丈夫なのか?」

「まあ綺麗に写真撮れてたしいいよ笑」

「そうか。ならいいんだが」

「今井くんのおかげだね。ありがとうね」

「まあ役に立ったなら良かった」


「おい、前田。何をニヤニヤしてるんだ。スマホを触ってるだろ!」

「すいません!」

 先生から注意されている。俺は気づかれていないようだが、まずい流れだ。これ以上の会話は先生の逆鱗を招くかもしれないな。俺はスマホをそっと閉じ、授業を聴くことにした。


 授業を終え、部活を終えるとまたLINEが届いていた。前田からだ。

「部活終わったら一緒に帰らない?」

「ああ、いいぞ。今終わったから校門で待ってる」

「わかった!今いくねー」


 校門前で前田と合流し、一緒に帰る。

「お疲れ様。今日も暑かったね」

「お疲れ。グラウンドは暑いだろうな。こっちはまだプールの中にいるからマシだが」

「灼熱だったよ。でも今日からもう盗撮とか警戒しなくていいんだと思っていつもより気楽に過ごせたからね。ありがとう」

「それは良かった。とりあえずまたメガネをかけた怪しいやつが出てきたら捕まえるといいんじゃないか?」

「それだとメガネの人が来るたびに警戒しないと行けなくなるよ? あんなの持ってる人もういないと信じたいんだけど」

「冗談だ。まあまたメガネの盗撮犯が出てきたら次はすぐわかるだろう」


「今井くんと伊藤さんの方ではこの件は特に先生に言ったりもしないの?」

「ああ、2人の問題だからな。前田と溝口の中で解決しているならいいさ」

「そっか。私としては大事にはしたくなかったから、これで十分。助かったよ」

「なんで大事にしたくないんだ?」

「うーん、せっかくのクラスがバラバラになっちゃうかもじゃん? 溝口くんが女子から総スカンにあって学校来なくなる、とかになっても後味が悪いしね。変な写真を撮ってたりしたらまた対応は違ったかもだけど、今回はそこまでじゃないから許すことにした。溝口くんも謝ってくれたしね」

「そうか。前田が良ければそれでいいと思う。ただクラスメイトだからって遠慮はしなくていいと思うぞ?」


「うーん、遠慮ではないかな。気味が悪かったのは事実だけど、盗撮してたことを本人に知られるだけで結構な罰だと思ってるの。別にクラスメイトじゃなくて他のクラスの子でもそうしてたと思うよ? あ、でも水着の件は別だけどね。あれは買い直すのにお金がかかってるからきちんと支払ってもらわないと納得できないなあ」


「そうだな。あれは溝口じゃなかったらしいが、伊藤と話していたが解決の糸口は見えてきたところだ。2回目の犯行を現行犯で取り押さえる方向でいこうと思う」

「そうなんだ、わかった。そっちも解決するともう私としては安心だよ。本当にありがとうね」

「まあまだ解決してないからな。無事に解決したら褒めてくれ」

「うん、そうする。そうだ、捜査のお礼に何かお返ししないとね」

「それは伊藤にお願いできるか? あいつ調査のために隠しカメラを何個か買ってくれたんだが…… なかなかの値段でな。本人は気にするなって言うんだが、流石に何かした方がいい気がするんだ」


「隠しカメラって結構高そうだよね。伊藤さんのお家ってお金持ちなんだね……。 うん、後でお菓子でもプレゼントしようかな。でも私からだけじゃなく今井くんからも何か渡した方がいいと思うよ。一緒に捜査した中なんだからね」

「確かにそうだな。後で何か送っておこう」

「アクセサリーみたいな残るものは辞めときなよ? こういう時はお菓子とかギフト券とかそういう消えて無くなる便利なものがいいんだよ? コーヒーショップのカードとかもいいかもね」

「おお、伊藤コーヒー飲むの好きらしいからな。採用させてもらう」


 前田と別れた後、俺はLINEのギフト機能を使って、伊藤にスターバックスのドリンク券を千円分送った。少しばかりの感謝というやつだ。

「ありがとう。急にどうしたの? 前田さんから何か言われた?」

 伊藤にはしっかりバレている。俺はそのLINEは見なかったことにした。

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