第3話 学校1の美少女と今後について話します
前田と野口は俺の発言を受けてスマホを見つめる。
「確かにそうだね。気づかなかったよ。」
「そう見せかけるための何らかのトリックを使った可能性も否定はできないが、さすがに両手をあげて撮影などしていたら不審者だからなあ。ドローンを使った、というような大型な撮影機器を使える可能性もないだろう」
「すごいね、今井くんは頭がいいんだね。さすが例の事件を解決しただけあるね」
前田に褒められて少し恥ずかしい気持ちになる。しかしやはりあの事件を解決した、という実績はこれからも役に立ちそうだ。何かと信頼を得るには有利になるだろう。
「さて、問題はここからどうするかだが…… 今の所、盗撮を警戒することしかなさそうだ。俺は撮影をしているような怪しい生徒がいないかを確認するようにするよ」
「そうね、私もそうするわ。前田さんと野口さんは今まで通り過ごしてくれればいいわ。油断している方が犯人を現行犯で捕まえることができる可能性が上がると思うの」
「わかった! そうするね。じゃあ私達はそろそろ教室戻るね。色々ありがとう!」
そういうと前田は野口と一緒に部室を出て行った。
「ふう。また事件だな。ちなみに俺はあまり詳しくないんだが、学校掲示板から何か情報を得ることはできないのか?」
「そうね…… 実際に見てもらった方が早いわね。リンクを送るわ」
「ありがとう。しかし伊藤も知ってたんだな。有名なサイトなのか?」
「まあ、有名と言えば有名ね。あまりいい意味ではないけど。昔悪口を書かれたことがあってね」
俺は伊藤から届いたリンクを開く。そこには昔ながらのシンプルな掲示板サイトがあった。
「ああ、投稿日時はわかるが、投稿者が誰かはわからないんだな」
7月9日 22時1分 155 木内の授業めんどいわ。なんであんな面白くないんだろうな?
7月9日 22時15分 156 なんであんなに歴史を面白くなく話せるんだろうな。寝てるとキレるし。授業の勉強してきてほしいよ
7月9日 22時30分 157 >155、>156、 そんなお前らにプレゼントだ。いい写真をあげようではないか
7月9日 22時45分 158 おおーマドンナの写真! やっぱマドンナは可愛いなあ。157、お前天才だ!
このように投稿者は数字で表現される仕組みになっている。そしてこの後、深夜まで前田に関する投稿が続いていた。卑猥な話から悪口まで何でもありな掲示板だ。
「なるほど…… しかしこの掲示板、アングラ臭が酷いな。伊藤がこの掲示板に書き込みしていると思うと複雑な気分だぞ」
「しないわよ。私を何だと思ってるの?」
「こんなところで議論をふっかけてるのかと思ってな」
「日常生活で誰彼構わず議論をふっかけてるキャラみたいにしないで。TPOは弁えています。けどまあ、この掲示板を見たことないという生徒は少ないんじゃないかしら? 書き込む人は限られると思うけどやっぱり自分の学校の話は気になるからね」
匿名でしかできない話はこういう掲示板に書き込まれるのだろう。俺はSNSをあまり使用しない人間ではあるが、何となく理解することはできる。俺は最新の投稿までを確認する。
「しかし前田は人気だなあ。前田の話がずっと盛り上がってるな」
「まあ男子人気はすごいでしょうね。あの顔であのスタイルで人気でないわけがないでしょ。私はちょっと苦手だけどね」
「なんかあったのか?」
「いや、そういうわけではないけど…… ちょっと完璧すぎるというかね。女子にもみんなに優しいし、明るいし…… 何となく警戒しちゃうのよ。裏の顔があるんじゃないかってね」
「ああ、嫉妬みたいな感じか」
「…… そうかも」
まあ全員から好かれるなんてことは不可能だ。その人の特徴を好きと評価する人もいれば嫌いと評価する人もいる。完璧な人間でも完璧すぎて嫌い、という人が出てくるのは仕方ないことである。
「わかるぞ。井口に関しては、俺もそうだった。最後にちょっと親近感が湧いたが……」
「そうね……」
井口は例の事件で転校することになったパーフェクト人間だった。俺達が深く関わった事件である。元気にしているだろうか。俺はそんなことをふと考える。
「まあとりあえず調査ね。とは言っても全員のスマホを確認するわけにもいかないからね。とりあえず怪しい動きをする人がいないか確認する感じかな?」
「まあ、それしかないだろう。スマホで撮影した可能性が1番高い。スマホで変な動きをする奴がいないか目を配るしかないだろうな」
掲示板の最新の投稿にはこうあった。
7月11日 7時15分 238 盛り上がったようで良かった。また写真撮るから期待してくれ
おそらく犯人による犯行予告だろう。しばらくはなるべく教室にいるようにしないとな。
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