第12話 粛清の嵐

 眠れない…… 忙しすぎて眠れない。


 爺さんの執事もダークエルフの姫も、姫騎士も騎士も全員不幸になった。


 書類仕事に忙殺され、誰かがオークションで銀行権とか港湾権とか鉱山権を落札するまで、書類書類書類書類……


 例えそれが終わったとしても、ダークエルフの土地に派遣されて奪還作業。


 もう王国の一部に組み込まれてしまい、他の護衛騎士達も全員不幸になった。


 例外的に王子の爺やだった人物が大臣として権力を振るっているが「ドス黒いほどの孤独」と言うのをたっぷり味わっていて、肝臓でも悪いのか真っ黒な顔をして、歴代総理みたいな油まみれの顔になり、目の下にクマ作って苦しんでる。


 ケネディみたいにキューバ危機に陥って、二十年は年食った顔して、無能部下がドンドン失態犯して、ソビエトの潜水艦に手榴弾投げ落としたり、撃墜されて墜落したりして、核攻撃で反撃喰らう所を相手側の参謀か誰かに「核攻撃反対」の投票で救って貰って、どうにか全面核戦争回避したぐらいの無能揃い。



 爺さんの執事のオヌヌメにより、臨時に百人ほど雇ったが、ソイツらに関しては監督官庁側としてこれからも不幸になって貰う。


 高級官僚みたいに野党の後出し質問に答えるように、深夜残業に翌朝まで帰れまてん営業。


 平気で28時とか32時のスケジュール表があって、やっぱりの〇ぴーみたいに眠らせない。


 眠らないための阿片とか平気で並んでて、眠らせないよ。



 他でも粛清の嵐で、皇帝陛下から直々に、魔族に媚び売って生き残ろうとした貴族は全員処刑。


 領地も没収して残りの家族も「平民」に落としてやり、亡貴族様のお姫様王子様を量産。


 地元領地で武装蜂起して、住民と一緒に出陣しようとしたのがいたけど「領主殺して首持って来た奴が次の領主」と言い渡してやると、忠誠心なんか存在しないから、即座に領主殺して争奪戦して殺し合ってから持って来た。


 皇帝ヴァンパイアロードだから、今からでも魔族側に付いても良さそうな気もしたけど、一応人間側らしい。


 教会とは敵対してるから、いつか決戦が控えている。



「どうか、どうかお救い下さいましっ、貴方様のお力で我が家を再興させて下さいっ!」


 今は亡き貴族家のお姫様? 四十過ぎのババアだったので却下。


 若作りして来てダークエルフの姫様みたいに篭絡して来ようとしたけど、ブサイクでデブで香水臭過ぎたので却下。


 せめてお前の娘連れて来ようと思わなかったのか?


「お断りします、反乱勢力とは見られたくありません」


 爺さんに沢山金と言うか賄賂払って来たみたいだけど却下。


 一週間はちゃんと眠れていないので、大変狭量になっている。


 お家再興とかもさせない。散々「平民如きがっ」と蔑んで来たのに。手柄取り上げて処刑しようとしたくせに、今更掌返しかよ。


 その願いが「あいつを挽肉機に掛けて殺してくれ」なら喜んでやってやる。



「今回、銀行権は我らが落札することが決定した。言う通りにしなければ不幸なことが起こりますぞ? ふふふ」


 こちらにも何か分からないオッサンが面会求めて来て、圧力掛けて「自分が落札することになった」と脅して来た。


 過去の同僚とかの指だけ差し出して来たが、それ誰なんだよ?


「ソイツ誰だ? 知らんぞ」


「なっ? 何を馬鹿な? お前の親友の……」


「知らん」


「そんな馬鹿なっ?」


 明後日の方向の情報で「親友の指」持って来たオッサンだけど、そんな奴知らない。


 魅了魔法で働かされ続けて、そいつも延々働かされてて、顔合わせした覚えがない。



「指か? じゃあお前の孫か曾孫、手足からひき肉機に掛けてやって、タップリ泣き喚かせてその悲鳴聞かせてやるよ。お前にはその挽肉食わせてやる」


「何だとっ?」


 余り眠れていない、クマができた顔で言い渡してやると、冗談だと思ったのか聞き直して来た。


 お前も眠れないようにしてやる。


「冗談だと思うか? 俺にはそれができる」


 他にもダークエルフの姫か姫騎士でも攫ってレイプする計画があったのか? 不遜な笑みを浮かべていた奴だが、姫は今も王宮で忙しく働かされている。


 人間やらなんやら、てんてこ舞で働かされていて、内通者がいても誘拐とか不可能。


「くそっ!」


「バインド」


 席を立って出て行こうとしたオッサンだが、そのまま拘束してやり、地下の拷問室にご案内~。


 ウン、眠れない仲間のご招待、もう眠らせないゾ。


 奪還作戦?報復に身代金に、圧力掛けて来た理由とか、俺を亡き者にしようとして誘拐?そんなもん知るかよ。


 拷問官が足から挽肉機に掛けて、盛大に泣き喚かせてやったそうだ。


 護衛?全員範囲魔法で電気で焼き切って、フィニッシュブローぶち込んで肉の塊に変更。



 主人が帰って来ないと脅迫か相談に来た執事に、拷問室まで案内してやって、足が無くなったまま上からぶら下がっている所をご対面。


 逃げても不便なように、手首から先も挽肉に変えられて無くなってた。


 あれだけデブってたのも、軽量化を含めてガリガリw


 治療呪文駆け続けて死なないように、ほぼ眠らせないでわざわざ生かしているのを見せてやると、驚いて「だ、旦那様~~っ!」とか泣き喚いていた。


 ウン、君も今日から眠れない仲間だっ、僕と後楽園球場で握手だっ!


 もちろん舌を噛んだりできないように歯は全部抜いてある。生爪も全部剥がされてて、指絞め機で全部の指も裏返ったり、ひん曲がったり大変なことに。


 受け出すのは不可能だと伝えてやり、皇帝陛下の粛清リストに載ったのだと伝えてやった。


 ソイツと連合組んだ奴らも、誘拐とか暗殺とか仕出かす前に粛清。暴力組織か商人の集団だったらしい。


 他にもトップ取れそうにない輩とか、何組かは脅して来たから吊るしてやった。


 苦しまない程度に吊るしたのから、本当に孫の挽肉食わせてやったのまで、多数吊るした。



 まあギルドマスターとかは、いつもの「な、何を言ってるのか分からないと思うが」案件で、どうにか誤魔化して説得して、口八丁手八丁で貴族にまで取り入って、幻術でも使ったのか叙爵されて出世してた。


 ある意味恐ろしい奴らだったが、皇帝陛下の前ではゴミで、血を吸われて死んで呪われてるから良しとしよう。


 これが眠れない所から来る幻覚じゃない事を祈ろう。


 俺も教会から見たらお尋ね者で、ハンスウルリッヒルーデル様と同じで人民の敵で、懸賞金まで掛かってるそうだ。



 いつもの「元平民如きがっ」「成り上がり者がっ」と言った奴には、即座にフィニッシュブローをご馳走してやった。


 家にマイクとか、録画機設置されたのに気付かない連中。


 寝てないからとても狭量、何様か知らないけど許さない。


 吊るしてからどこの誰か吐かせて、関係者全員拷問室にご案内。


 拷問官も沢山増やして「三度の飯より虐めが大好き」なのを雇ってあるからサクサク処理した。



 何処かから「本当にオークションさせるつもりかっ?」などと数人からお叱りを受けたり、押しかけて来たり呼び出しを受けた(会わない、行かない)。


 いつも通り「昔から銀行権はウチが」「港湾権は私達が」というのも一杯来て、止められてるのも聞かないで俺の部屋にバーンと扉破って突入。


 夜中に扉ガンガン叩く、頭腐ってる奴らと同等。


 逆に「お前誰だよ、知らねーよ、何で口出してくるんだ? 何様のつもりだよ、誰に面会許可得た?」と即座に拷問室にご案内。


 衛兵と合戦になったり、本気で殺し合いになったり、俺を殺しに来た。


 何でも「王家専用後見人」とか「指導的立場」のクソジジイらしかったが処刑。そんなもん聞いたことねえよっ!


 後になってから王様の友達なんだとか、親戚なんだとか言って来たけど却下。


 引退した王様も知らなかったようで、何処かの誰かが勝手に元老院とか元勲とか名乗ってたらしい。



 暗殺者も一杯、以前顔合わせた奴まで来たので、一応話は聞いてやった。


「おい、ギルドマスターとか殺して手打ちと言ったはずだなあ? 何で生かしたまま解放した?」


「ククク、違約金払えないと言い出してな、何をどうやったのかは俺も知らん。奴らは違約金支払いの為に釈放された、とんでもない政治力だ」


 ソイツも逃げられないように手足の腱切られてグリフィスさん状態。救出作戦とか鼻薬とか効かないようにまず処理。


 自爆も自殺も何もできないように、全裸で拘束されて吊るされてた。


 目も潰してあるそうなので、もう外ではやっていけない。


「こいつは暗殺ギルドの奴だ、手打ちしてあるから実行して貰おう。手足戻してやって、目が見えるようにできるならそうしてやれ」


「は? はっ」


 珍しく拷問室から出る奴が出て、拷問官も目が点。


 杜撰な仕事が定評になった暗殺ギルドだが、話し合いは効くので実行。俺への殺人依頼は解除して貰おう。


「もう俺殺すのに前金貰ってるのか? 余り仕事には忠実にならないで、前みたいな杜撰な処理をお願いしたい。依頼人の方を殺して欲しい、受けてくれるか?」


「ああ、ここから出してくれるなら大抵の事は受けよう」


「できればこれからも、王国と皇帝陛下の為の、汚い仕事はお前らの総取りだ。新生暗殺ギルドとして受けて欲しい」


「フフフ、承った」


 上から鎖で吊るされてた奴と汚い取引をして、旧暗殺ギルドの奴らは釈放。新しいお仲間は釈放させて、敵は牢内でそのまま処刑。


 別に右腕じゃないが、新しい眠れないお仲間が誕生した。眠らないための阿片は供給してやらないといけないが、眠らずに生活する方法を教えてくれ。



 それからも粛清の嵐で、沢山断頭台の露に消えたり、絞首台でぶら下げられたり、教会に教唆されて皇帝暗殺とか弑逆とか、そういった行動した貴族は全員吊るされた。


 もう「貴族制廃止じゃね?」というぐらい殺されまくった。


 先王の勧めとか救命依頼で首が繋がった奴もいたが、大抵は引退蟄居させられた。



 元護衛騎士とか、第二王子派の側近も眠れていないようだ。


 これだけ殺しまくったら人材不足で眠れない。俺からも悪魔的笑顔で「眠れない兄弟(ブラザース)」を見送った。


 俺は上級国民様じゃないから、毎日三時間睡眠のショートスリープで生きられるような体はしていない。


 毎日そんな生活してたら世界がクルっと回って倒れ、ブラック企業勤めで病院送りか、二度と目を覚まさなくなる。


 いや、それもいいか? 眠れるならそれでもいい。



 王宮


「マーシよ、眠れておらんようだなあ? 目の下にクマができておるぞ」


「はあ、銀行権とか貰ちゃったんで眠れません」


 王子を「安楽の籠手」で復活させたのは俺だから、なんか恨まれてるのかも知れない。


 皇帝からも悪魔的な笑顔?で笑われて、いつもの十メートルもある巨体で見下げられた。


 うん、もうオーラで巨大に見えているとか言い訳が無理。いつも通り巨大なビール瓶とかワインの樽を運搬させられている一団がいる。


 俺が観測してしまったので、二重スリット実験とかシュレディンガーの猫用意しても無理。


「ゴフッ、ゴフッ、ゴフッ」


 何かの飲み物か血を樽飲みしている。


 断頭台や絞首台に掛けた貴族が血液にされて、皇帝の喉を潤しているのだろう。


 処刑した数からも吸血王とか噂されているが、本当に吸血鬼。


 俺は人間を止めるぞオオオッ! でURYYYYYYYYYYした後。


 この皇帝を倒すには「波紋」とか用意しないと無理。


 何度も暗殺計画が失敗して、俺も何度も殺されそうになったけど、悪運とか眠れない事に関しては、俺の右に出る奴はいないので死ねない。



「貴族が沢山死んだ(殺された)、お主にも沢山働いて貰うぞ」


「そろそろ眠らせて下さい、俺には一日三時間睡眠とか無理です」


 ナポレオンとかショートスリープを極めた者だけに栄冠がやって来る、俺にはムリ。


 このままでは電通とか入れても、100日後にはワニか東大生みたいに死んでしまう。



 オークション会場


 やっとこさオークション当日。姫とか姫騎士も目の下にクマ作って、関係ない時には寝てる。


 高木ブーさんみたいにケツの下にスイッチ着いてるみたいに、座ったら眠ってた。


 何日も帰れてないとか風呂にも入れない、着替えもできないので薄汚れている。


 たつき監督みたいに二年も家に帰れてない訳ではないだろうが、全員もう限界。


 これでやっと経済大臣とか港湾大臣とか鉱山大臣から解放される。


 お次は落札した奴か、皇帝陛下が選んだ大臣から選出される、はずだ。


「まずは港湾使用権、100万ギーンから開始します」


「150万っ!」


「200万っ!」


 こっちではテレビ局の電波使用権みたいに、談合しまくったり現在放送してる奴らしか入札できないで、激安で販売されたりせず、後の権利を目指して一円入札とかもさせなかった。


 入札じゃなくてオークションなので、値段が高くなっていく方。


 これも車の製造協会みたいに「生産者団体でなければ加入できない」ような、ふざけた談合団体だったので、解散させてから取得させた。


 これも脅されて殺されかけて暗殺者一杯だったが、全員処してやった。


 奴らが依頼しに行った暗殺ギルドが、俺が請け負っている窓口で代表だとは思わなかったようだ。


 話が通った奴が現在の頭領。他は粛清されて死んだ。



 渡世の仁義とかも一切存在しなかったから、兎に角殺し合いのヴァーリトゥード。


 まあ仕返しに衛兵で囲んでマジ殺人技。


 泣き叫んでる子供とか孫とか、親やジジイの前で殺し尽くしてやって、挽肉食わせて「もう殺してくれ」と泣き叫ばせてから処刑。


 俺も吸血王の手下で、吸血侯爵ぐらい有名になった。


 アタマオカシイのばっかりだったから、こちらからもアタマオカシイ仕返し。


 俺が秘密警察だ、ってぐらい盗聴してやって、マイクとか録画とかの概念がない奴が「あの成り上がり者め、思い知らせてやる」と言った瞬間に処刑。


 暗殺計画立ち上げ中、夜中にでも殺到してやって、娘でも孫娘にでも思い知らせてやって「娘だけはーーっ!」「孫娘だけはーーっ!」と言う目の前でぐっちゃぐちゃにしてやって「時計仕掛けのオレンジ」方式で、アレックス君と同じで貴族家当主に強制視聴覚装置付きで観戦。


 娘でも孫娘でも、前も後ろもズタボロで赤紫のボロ雑巾で、以後はオムツ生活。


 どの兵士の子供か分からない種で、人生最後の腹ボテ、永遠に嫁に行けない体にしてやった。


 化粧取ったら「もたいまさこ」みたいなブッサイクな娘とか孫娘の方も「コロシテ…… コロシテ……」と言われたけど、仕返しの為に最低の売春宿に放り込んでやって、監視の目掻い潜って刃物かロープ用意できて、自殺出来たら解放。



 気が付いたら、上級貴族とか偉そうな奴らの大半が消えていて、息子や娘なんかの世間知らずでクズが、影で偉そうに言っただけで「皇帝弑逆の計画」で処刑してやった。


 生き残ったのは超イエスマンの男爵とか騎士爵程度。良くても子爵程度が生き残れて、形式的にはヴァンパイアロードの皇帝以下、清潔なイエスマンで固められた。

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