第11話 キンニ~ク魔法帝国爆誕

 王城に帰って来ると十重二十重に取り囲まれるかと思ったが、七魔将倒して来たので何故か歓迎ムード。


「儂は引退する、これからはその大きな力で国を導いて欲しい」


 息子の成長?に泣いている王様から禅譲され、次世代の王に任命された第二王子。


「フハハハハハッ、やはり時代はワシを求めておるっ、国号も変えるぞっ、アンデッド筋肉帝国だっ!」


 何とまあセンスの無い国号でしょう。従者に検討して貰って、もう少しマシなのに変えて貰おう。


 そのままアンデッドの第二王子が、自分で戴冠して王座に座った。



 なんとなくプリンセスメーカーのトゥルーエンドで、全ステータスカンストした時の王女エンド。


 バイトで稼がせても全くステータス上がらないで、更に病気になってグレるので、城の周囲を周回させ、アイテム拾わせて魔物倒して歩かせると、ドレスや宝石まで落ちていてステータス上がりまくり。


 毎年の武闘会でも完勝、名前や評判も上がりまくり、全ステータス999でカンストしていると「これ以上あるんか? これでプリンセスどないや?」と思っていると、18歳になって通常エンディングの王子主催パーティー開催されずに、魔王軍が攻めてくる。


 今までのライバルたちと一緒に魔王軍を退け、本陣にまで斬り込んで直接対戦し、魔王の首級を上げてくる始末。


 そうすると王様から「わたくしなどよりも、貴方様の強い力によって、この国を治めて下さい」となって、プリンセスエンドどころか王女エンドのトゥルーエンディング。



 王様も母親ソックリのクズ第一王子とか、ゴキブリ第一王女に国を譲るのは躊躇っていた所で第二王子毒殺。


 王子アンデッドになろうとも国を譲りたかったのか、俺的レベル上げに付き合って貰ったので、経験値倍加アイテム複数でヴァンパイアロード。


 七魔将とその軍団全滅させてきたので、経験値的にもうすぐ真祖になれる。


 ガチムチのバルクとカットでブルンブルン。筋肉帝国名乗りたくなるのも分かるぐらい。



「さてマーシよ、此度の褒美は思うままだ、銀行でも港湾使用権でも、鉱山の採掘権でも鉄道敷設権でも、好きな物を与える」


「はあ、どれも大変そうなので辞退します、今まで通り眠れたらそれで」


 エルフメイドでも爺さんの家令でも、大きめの屋敷でも貰っているのでこのぐらいがいい。


「そう言わず受け取っておけ、お主には侯爵を命じる。領地も良い所を見繕ってやろう」


「はあ……」


 う~ん、騎士爵も貰ってないから、六段階仏血義理で出世?


「相変わらず気が抜けたような返事をするな、次のために出世の余地も残してある。国家としてお主に褒美を与えられぬような小物では、国が立ち行かん」


 普通なら「平民如きがっ」と蔑まれて、放逐されるのが普通だが、第二王子とはキンニク友なので貴族として採用して貰った。


 後に俺の所にオコボレを頂戴しようと、大量のゴミが殺到してくるのだが、それはまた後日。


「他に欲しい物は無いか?」


「え~、家にエルフメイドがいたのはお気づきかと。王様から頂戴したんですが、あいつら滅ぼされたダークエルフ国の姫とか姫騎士とか騎士だったようで、元の国に戻してやって頂けませんでしょうか?」


 攻略した本人である、七魔将とその軍団が滅びたので、簡単に押し返せてエルフ国も取り返せる。


 そうしたら元の国に戻してやって、王国やら王家再建とかもできるだろう。


「ウム、お主には「エルフ王」を命じる、当該地域はお主が治めよ」


「ファッ?」


 エルフのお姫様の帰り道を考えたら、俺がエルフ王に命じられたでゴザルの巻。


 多分、取り返しに行くのも俺。



 それからは俺以降の向も論功行賞が始まってしまい、次の入場者がプレゼン開始したので外に追いやられた。


 他の奴ら何かしたっけ?


 今まで保守本流だった第一王子派は、首魁が全員殺されたので解散。


 その娘や息子は殺され無かったが、修道士修道女にならされて断種。縫い合わされてしまい、もう二度と出て来ないと誓わされ、魔法契約されたので出て来れない。


 第二王女派も同様で、部下も沢山いたのだが全員冷や飯食い。


 全然目が無かった第二王子派が幅を利かせるようになり、墓場で泣いていた爺さんが大臣。


 胃袋に穴空かないか心配だったが、結構やばい爺さんだったようで、平気で権力振るいだした。


 親族採用なんか当たり前で、殉死予定だった護衛騎士なんかも返り咲き。


 一般人や貴族家三男四男に戻っていたのが、急遽王城に呼び出されて騎士団長とか魔法師団長とか拝命。


 前任者は第二王子のマジパンチ食らって爆散したので、血の生贄には成れた。



 時間かかるので一旦家に帰って寝ることにしたのだが、家の前までダークエルフの姫様とか姫騎士に騎士に爺さんまで勢ぞろい。


 家の前に馬車が停止すると、先触れが出ていたのか、姫様ガチ泣きのまま馬車にまで突入。


「あああっ、あああああああああああっ、うわあああああああああああああああああっ!」


 もう両目開き切っていて、役者が目薬で目の中央からポトリと落涙する方じゃなくて、目の両側から涙垂れ流し、全面決壊で目の幅で泣いて俺にしがみついた。



 新聞記事によると、エルフ軍騎兵を含めて一万少々。周辺の同盟国の軍も合わせると、合計二万少々。


 兵隊引き連れてきた上位貴族の騎兵なんか役に立たなくても、魔王軍一万程度なら勝つると思っていたら、魔王軍ストーンゴーレム(屋外用)を前面に押し立てて来て蹂躙。


 馬もスッ転んで怯えて逃げ、平原戦で大敗させられて、恐慌状態で逃げ出した奴らがどうにか籠城。


 ストーンゴーレムのタックル数発で、普通の城門なんか消し飛んで簡単に落城。


 王家用の脱出口から、第一王子とか逃がすのが精一杯で、姫様とか逃げ出すこともできずにあっちフラフラこっちフラフラ。


 どうにか護衛騎士立てて逃亡したものの、騎士討たれまくって、子飼いの女性騎士まで討たれ、最期の一兵になった騎士も、儀典用の銀色の鎧着てたから背中からスコンスコン弓で撃たれ、這いつくばって倒れて半死半生。


「姫様、私を置いて先に逃げて下さい……」


「これまで一緒だったのです、貴方を置いてなど行けませんっ、死ぬ時は一緒ですっ!」


 となった辺りで王国から向かわせた救出軍が到着。両親の国王も、弟妹親戚の命がどうなったかもわからない所まで壊滅させられたのに、超無能扱いだった俺と、毒殺された第二王子殿下だけで七魔将の軍壊滅と、七魔将討伐までして来た。


 両親とか国の仇討って来てやったので、発狂して縋り付くのも仕方がない所か?



 もう一人、目見開いて全開で、両目の端からダラダラ涙流しているのがいたので聞いてみた。


「何かお褒めの言葉は?」


「わ…… 私の命はお前の物だ……」


「そうか」


 キッツイ性格で「その汚い手を姫様から離せっ!」系統の、話通じない奴だった姫騎士がデレた模様。


 普通の騎士だったメスガキも、オイオイ泣いて縋って来て、メスの顔してご褒美と言うか子種を欲しがっていた。


 自分達ではどうしようもなかったストーンゴーレムの群れを、土槍とかでどうにかしてしまったのに感激している。


 その更に内側にいた、不死系の将軍とか参謀とか通信兵までぶっ殺して来てやったので、俺の事を神か何かだと思い込んでいるのかも知れない。


 セイグリッドターンアンデッドぶっ放してやったら、レベルが違い過ぎたのか勝手に全滅してくれた。


 間違って王子側にぶっ放さないで良かった。



 その後は寝室に案内され、処女で肌を見るのもダメだった姫様が、自分からストリップして脱いで、全裸のまま覆いかぶさって来た。


 王家的にも元老院的にも、そういった行為は駄目なんじゃないだろうか?


「マーシ様、今宵よりわたくしは貴方様の妻となります」


 まあ相手が「エルフ王」を任じられているので、抱かれて妻になってしまえば自動的にエルフ女王。


 政治的打算とまでは言わないが、感激して暴走し過ぎて人間と交尾する気になった模様。


 その後もオイオイ泣きながら腰を落として来て、上下逆だったら完全に号泣レイプ中。


 一応親の仇取ってやった形か?



 細い体を抱いてからは、姫騎士の方まで抱き着いて来て腰降ろして来て、ぎこちない動きでガンガン腰使って終わった。


 そんな殺すような目つきして泣いてる女に「気持ちいいですか?」なんて聞かれても気持ちよくない。


 腰も腹の上もシーツも血塗れで、血の海の中で動かれても気持ちよくなんかならない。


 騎士のょぅじょまで乗っかって来て、もう子供産む気になったのか、やっぱりオイオイ泣きながら交尾。



 珍しく眠れて起きてからもう一回。今度もシーツが「すわ殺人事件?」みたいに酷いことになったが、交換して保存して無問題(モーマンタイ)。


「ウフフ、コレでワタクシ、貴方様の妻にナレタンデスネ」


 怖ぇーよ。


 午後から論功行賞からハブられたと言うか、何もしなかった奴らが家に殺到して、ドアガンガン叩きまくっていたので、全員にフィニッシュブロー叩き込んでやろうと思ったが、爺さんが対応してくれて助かった。


 アラビアのロレンスでダマスカスが陥落して、主人が変わってしまったので、巻紙とか持ってる奴が怒号上げて申請とか許諾とか雇用の紙持って殺到して来たような感じ。


 ウチでは受け付けてねえよ、でも鉱山採掘権とか銀行権とか貰ったので、全部俺通さないとやっていけない。


 今までの第一王子派とか第一王女派は「無許可営業」www



「マーシ様、御許可をっ、この国が何とかやって行けているのは、わたくし共の鉱山があったからですっ!」


「まずこちらをご覧くださいっ、当銀行では民間銀行として通貨の発行を認められておりましたっ、これが許認可されないとなれば、市場は大混乱となりますっ!」


「おうっ、俺は港の冲仲師だっ、許可を出しやがれっ、もし出しやがらなかったらただじゃ置かねえっ!」


 ウン、あの王子全部投げてこっちに寄越したな。俺も全部投げて逃げださないように、姫様とか爺さんまで人質。


 多分、「マーシの所で許可貰って来い」これだけで全員無許可営業開催中。


 無許可で営業続けてると、次にはいつもの「引っ立て~~~~いっ!」の馬鹿が派遣される。



 ドアを開けてやると我が家最大級に「ドバアアアアッ!」と傾れ込んで来た。


「私共に営業許可をっ!」


「ウチの鉱山に使用許可をっ!」


「通常、国家規模の経営権ですので、国家が手数料として数パーセント程度の使用料を得ます。その権利が今回マーシ様に譲渡されたため、このように皆来ておりますのよ」


 姫様と爺やさんが代行してくれていなかったら死んでた。


 鉱山使用権や港湾使用権は後日オークションで売り出し、相手が出せる金額を出して落札する。らしい。


 全部莫大な権利なので、次に抑えた奴が天文学的な利権を得る。


「先に俺の所に許可を出しやがれっ、この業突く張りの小僧がああっ!」


「フェムト・ライサンダー・ハートアタックッ!」


 ちょっとブチ切れた沖仲師のオッサンにブッ殺されそうになったが、フィニッシュブローを叩き込んで躍らせた。



 どいつもこいつも自分の所で落札しようと会合を重ねて談合し、この屋敷の規模では受け入れられなくなり、他で会議室借りて談合開始。


 色んなグループが離合集散合従連衡して、金出し合って誰がどの金額で落札するのか? 国家規模の後出しジャンケンが見られた。


 通常、こんな時は商工会議所の黒幕とか、議会のドンとか、財界の鞍馬天狗とか、銀行界の今天皇ってのが出て来て「ドーン」とか「バーン」とか「ビャアアアアン」と出現するはずだが、全派閥の首魁が第一王子とか第一王女と一緒に死んでるので出ない。


 皇帝が全部ガラガラポンで破滅させたので、向こうも一から出直し。



「マーシ様、交渉団が五十人以上おりますので、こちらも早急に雇用が必要です。信用が必要なら奴隷としてご購入下さい。失業した第一王女派でも宜しければ、顔が効きますので失業した者でも声をかけてみますが?」


「はあ、そうしてください」


 こっちも執事の爺さんに丸投げ。


 ここまでで、皇帝は俺に「銀行財務権」「港湾権」「鉱山権」の三つを丸投げしたことが判明している。


 そこで俺は出来るだけ悪魔的な笑顔で言い渡した。


「執事さん、今から貴方はこの国の財務大臣です」


「何ですとっ?」


「いやあ、こうなったらみんなで不幸になりましょう」



 次の標的を見付けた俺は、その女で姫騎士にも不幸を言い渡した。


「やめろっ、こっちを見るなっ!」


「君は今からこの国の鉱山大臣だ」


「いやだ~~~~っ!」


 次に笑顔で姫に顔を向けた俺は、爽やかな笑顔でこう言った。


「やめて下さいっ、わたくしは国に帰って国家を再建しなければならないのですっ!」


「いやあ、パートタイムと言うか臨時に、貴方はこの国の港湾大臣だ」


「イヤ~~~~~~~っ!」


 残りの女も見付けたので、コイツにも不幸になって貰おう。


「やめろっ、こっちに来るなっ、俺を見るんじゃねえっ!」


「マイハニー、君は今から二人の補佐、副大臣になって貰うよ」


「いやだ~~~~~~~~~~っ!」


 全員、とても不幸になった。



 王城


 明かに身長が十メートル以上ある、私立極道高校(しりつきわめみちこうこう)の生徒会長か伊達臣斗みたいな皇帝陛下が、手下使って一メートル級のビール瓶かワインボトル運ばせてた。


 あちらは後に「オーラによって大きく見えていた」と設定変更されたが、一話のインパクトを忘れた者は居ない。


 こっちもオーラでは通じない大きさだ。


 何やら「デカイ」話をしていたら、乳がデカイアイドルの画像が集まるスレのはずが、野球解説している肩幅がデカイ奴の話に乗っ取られ、アイドルの画像と肩幅がデカイ野球解説の写真が交互に貼られるレベルでデカイ。


「フハハハハッ、マーシよっ、お前も既にコチラ側っ、逃がさんぞおっ」


 皇帝陛下は相変わらず、口と鼻から蒸気吐いて「ゴッファアアッ!」と言っていた。


 その「コチラ側」と言うのがアンデッド側なのか、政権側と言っているのか分からなかったが、教会からは超~~睨まれているはず。


 逃がさないと言う事は、銀行券とかも与えられている事だし、エルフ国を取り返してくるのも俺の仕事、次の七魔将ともブチ当てられて、全員倒すまで帰して貰えない。


「はあ…… 差し当たり、銀行券と港湾権と鉱山権を頂けたようですので、当座の代表者を任命いたしました」


 死体みたいな顔してる爺さんと「無」状態の姫様と姫騎士、ついでに泣いている副大臣の騎士も紹介。


「ふむ、家にいた時には世話になったな。もうあの程度の家では収まりきらんだろうから、城でも屋敷でも好きな所を使うと良い」


「はい」


 確かに足りねえよっ、談合とか会議させるにも手いっぱいだったよっ!


 元の家は第二王子殿下復活の地で、皇帝陛下爆誕の聖地?として指定された。



 ちなみにこの国の国号は、ベハリタス・アンデッド・アルキンニ~ク魔法帝国と言う名前になった。


 恥ずかしい所を隠すのに、定冠詞を付けたり魔法帝国と入れたり、伸ばすことによって隠蔽しようとしたらしい。


 キンニクとかアンデッド部分を省略するのは禁止された模様。

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