第6話 お兄ちゃん、一緒に住んでもええ?

「あ、このゲーム機、実家にあったやつやん。引っ越しで持ってきてたんや」


「ソフトも色々あるなあ。あ、このレースゲーム、懐かしい~」


「うん。やるやる!」


「あっ、そこ、きゃっ! お兄ちゃん、すごすぎ。さてはウチがいない間にめっちゃ遊んでたなあ?」


「『勉強はちゃんとしてるから大丈夫』? ほんとかな? お兄ちゃん、ちゃんと勉強せえへんと、パパとママに大阪に連れ戻されちゃうかもよ。……そっちのほうがウチは嬉しいけど。お兄ちゃんとずっと一緒にいられるし」


「え? な、何でもない! ただの独り言やから気にせんといて」


「お兄ちゃんは高校卒業したらどうするん? そのまま東京の大学に行くつもり?」


「へえ、まだ決めてないんや」


「ウチら歳二つ違いやろ。……もしウチも東京の高校に受かったら、ここに一緒に住んでええかな?」


「何でって……ほら、一緒に住んだら節約になるやろ? 家賃かからへんし」


「ほんまにええん!? ありがとう、お兄ちゃん! パパとママはウチが説得するから心配せんでええよ」


「確かにパパは反対するやろうけど、パパはママに弱いから。先にママを説得すれば何とかなると思うねん」


「ふふっ。せやろ。ウチはよう家族のこと見てんねん。……一番見とるんは、やっぱりお兄ちゃんのことやけど」


「ううん、なにも。ちょっとした独り言や。お兄ちゃんの言う通り、まずは中学の勉強しっかりして成績上げへんとな」


「そやお兄ちゃん、やったら今ちょっと勉強教えてや。一応、勉強道具も持ってきてん。――ここの問題がよう分からへんねんけど」


「ふむふむ……なるほど。そうすれば解けたんか。お兄ちゃんの教え方は上手いなぁ。将来は先生なれるんちゃうか。こっちの問題も教えてもらってええ? お兄ちゃんはやっぱりウチの救世主やね」

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