「バット? んなこといいから帰ってくれ」
「バット? んなこといいから帰ってくれ」
「貸してほしいのは普通のバットね。股間のバットじゃなくて」
「下ネタの初歩!」
「ピッチャーだったあなたでも持ってるでしょ?」
「……全部ゴミ収集車が持ってったよ」
嘘だ。押し入れの最深部にあるが野球の話をされたくなかった。
「あ、そう。スイングできる棒状のものなら何でもいいよ。早く貸して」
「そんなの、うちには……」
「オ任セクダサイ」
「わあっ!? いたのかミルチャ」
「ズット坊チャマノ背後ニイマシタ。ヴぃっきーサマ、ばっとノヨウナ棒状ノモノヲ、スグオ持チシマショウ」
――数分後、ミルチャが古びた西洋剣を持ってきた。
「王乃家ノ秘剣『ジェイソン・ドール』デゴザイマス」
「何それ知らねえぞ!? どっから持ってきた!!」
「駐車場ノ車止メニ刺サッテマシタ」
「勇者しか抜けない剣の台座的なアレがそんなとこにあってたまるか! ってか剣はバット代わりにならねえ!」
「デハ、念ノタメ一緒ニ持ッテキタ、コチラノ『便所のすっぽん(使用済)』ヲドウゾ。正式名称ハ『ラバーカップ』デース」
「よーしこれなら振っても危なくない……いや汚ねえわ!」
「高層びるハ、水ノ流レガ悪クテ、コレ常備シテマス。王乃会長ノかったいかったいう○こモ、コレデ瞬殺デース」
「親父の話やめろ!」
「会長ノ腸ハ、快調ジャナイヨウデース」
「駄洒落もやめろ!!」
ヴィッキーがほほえんで、
「ありがとミルチャさん。ちょうどバット代わりになります」
「ならねえよ!」
「薫うるさい。自分でフグ捌いて食べたくせに常識人ぶらないでよ」
「うっ……(返す言葉が見つからない)」
「今から素振りするから離れてて」
「素振り?」
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