円佳の笑顔は屈託のないまま
円佳の笑顔は屈託のないまま変わらない。自分の行動が人のためになると信じている「誤用じゃないほうの確信犯」である。
「だ、誰か助けて……」
「大丈夫、いま楽にします! お花さん、しびれ○な!」
「それもポケ○ンの技うぶぶぶぶヴヴヴヴビビビビ――!?」
でっかい花粉が頭上から降ってきて、付着するやいなや数万アンペアの電流を出した。
「最後にもっかいギ○ドレイン!」
「ぎょおおおおおおおーっ、あ? おほっ……」
力を吸われつくした。
ツルがほどけて地面に落とされた。
もう動けない。うすれゆく意識。
薫が最後に見たのは正義をやはり疑わない心堂円佳のほほえみだった。
「ぐっすり寝ててね。午後の授業は代返しておくわ」
「学年、違うんですけど……」
ガクッ……。
……土のにおいがする。
たくさんの女子に囲まれてるにおいもする。
地べたに大の字で寝かされている感じがする。
なぜか金縛りみたいに動けない。
そして全身をモミモミされてる気がする。
「……?」
まぶたを開けたら想像通りのものが見えた。十人以上の女の子たちが寄ってたかって薫にマッサージしていて、薫が目を開けたと気づいたら「あっ、起きた?」と笑った。悪の組織にこれから改造手術されるみたいな光景だった。
「あのう……何してるんですか……」
「そこは、うちがお答えしますえ」
京都弁の少女が言った。垂れ目の美人で、後ろ髪にかんざしを挿し、作務衣を着て地下足袋を履き、なんか温泉の従業員みたいだった。
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