詩  「穴掘りの日記」

@aono-haiji

第1話 詩  「穴掘りの日記」


あたしは 今 目を閉じてるんだけど

あたま  重すぎるのかな

首の角度 きつすぎて

あんたが ユーフォニアムかついで

下りていく坂道

まるで  茶色くて 臭くて 古代の色だよ

あんたも 地下世界知ってんだ うらやまし

何処行くの? って訊いてんの

あたしじゃないよね

やだな

みんなに好かれてる ネコの仲間たち

長靴はいて

地下を 仕切ってんのね

かってにしたら いいよ



霧のない 朝は

つらい

ひとりぼっちに なってしまったら

一人に なれない

階段に うつる 影



通しで    演じてください

3月31日から 何日までですか?

あたし   からだ

半分でも  いいですか?

もし

こわれかかったら

注射してください

あの  長い

学校の廊下に

どうにも重くて 無理なんです

やわらかくして


ここに居やがれば いいさ

湿気でぶくぶくになった

あたしの ぬけがらは  よ

切れるかどうか  やってみろよ

ごむみたいなんだ

メチャクチャ  くさいよ


何処へ行くか なんて

誰も知らないのに

なぜ

行かせたがるの?

行くのは

大むかしの

あなたたちでしょ?

いまは

1ミリでも動いたら

あふれてしまう

全部溶けてなくなる

血になって


きれいだろうな

それなりに



昨日 食べた

とうもろこし   いっぽん

まるまる 残ってる気がする

これだけは  埋められない

のこしといて

のこしといて

土の上に光る

きれいな一本

何だこれ?って

あんたが手に取ってくれたら



せめて

このままでいたい

このままでいたら

朝は

そっとこのまま

あたしを

埋めてくれる

これが夜なんだよ  って

永遠に嘘をついて


永遠に



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