3ー19【皇女のプライド6】
◇皇女のプライド6◇ミオ視点
地獄の食事を終え、俺は考える。
「あーなんか、腹痛ぇ」
腹を擦り、胃に落とし込んだサンドイッチに受けたダメージを落ち着かせる。
セリスの奴、俺に協力させる為に弁当を作ったんだろうけど……逆効果になる可能性を考えなかったのか?
「まさか、自信満々だったり?」
いや、だけど彼女の手は傷だらけだった。
野菜とベーコンを切る時に怪我をしたのだろう。
そんなに難しい手順でもないし、卵に至ってはなぜそうなる!と言いたくなるレベルで異臭を放っていた。あ、ソースが犯人だな。
「あれで料理上手とか言ってないだろうなぁ。【
知ってたら止めただろうか。
いや、どちらかと言えばセリスの言動には全肯定の部下たちだ、巻き込まれたくなくて口を
「けど、まぁ……皇女の身であんな格好して、料理をね」
思い出しちまうって、あのプリンプリンなお尻を。
それにしても、均等の取れたナイスバディだったな……胸は圧倒的にミーティアが大きい、俺が一番分かっている。それにハリとか感度とか……
「ふへへ……おっと、いけねぇ」
会えていない恋しい人の感触を思い出して、ついアホ見たいな顔をしてしまう。
うん、普通にキモいな俺。
よく見たら指まで動かしてた……最低かよ。
一旦冷静になろう。
「セリスが俺に甲斐甲斐しいムーブをするのは、全て作戦の為だろうけど……」
それ以上の何かがあるとすれば、何だ?
「まさか恋愛感情……な訳はないよな。セリスはユキナリのバカが好きだって、皆も言ってたし。俺への感情は友愛のはずだ、他の男にだって馴れ馴れし……じゃなくて、スキンシップするし」
セリスが持ってきたバスケットを、ジト目で見る。
流石に裸エプロンのような真似は、中々にしないと思うが。
「初めて会った時は、スゲェ女の子だと思ったんだけどな」
実際、今も凄くはある。
最大の領土を誇る帝国の唯一の後継者。
皇帝の肉親であり、民にも愛される皇女様だ。
「……でも、その凄さは影を薄めてる。自分の父親の手によってだ」
俺はデスクの上の筆記用具で例える。
左側にインクの瓶を置き、右側に万年筆。
満タン状態のインクの瓶が、帝国の戦力だ。そしてカスカスの万年筆がセリス
だが。
「いくら父親……皇帝の力が強くても、今の【アルテア】なら対抗できる。問題は、その戦力を全部投入しようとしている事、だ」
セリスは【アルテア】全軍と言った。
もしそうなれば、ここはガラ空きとなる……隙だらけだ。
それは避けなければならない理由は、当然アリベルディ・ライグザールとダンドルフ・クロスヴァーデン。この二人だ。
「勇んで戦うつもりがあっても、時間も限られるし、戦力だって大盤振る舞いでは割けない」
その為の、士気向上。
俺との婚約は、皇女のプライドをかなぐり捨ててでも成し遂げたい“嘘”だ。
少なくとも俺はそう思っているし、その嘘を貫き通し、皇帝を倒す事……それを成さねばならない、それがセリスを成長……いや、【
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